現在の閲覧者数:

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←7話:重要参考人 →9話:ゴミ賊
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  • 【7話:重要参考人】へ
  • 【9話:ゴミ賊】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter16 SoulFull Bridge

8話:見えない陰謀

 ←7話:重要参考人 →9話:ゴミ賊
 レビアで大量の雪を降らせた雲が空風を吹き降ろし、とても冷え込む山岳部のルセン。
その夜を野宿で過ごすと、干物にでもなってしまいそうなひもじさだが、
今日はシャニーもルンルン気分に鼻唄が小気味良い。

「はあああ!久しぶりの・・・ベッドだああああ!」

フロントで貰った鍵を指先でくるくる回しながら部屋を目指し、
中へと入ってすぐに彼女が駆け出して確認しに行ったのは寝室だった。
ベッドがある。いつも寝心地の悪い寝袋だが、今日は違うのだ。

「とーうっ!あああ・・・ふかふかだぁ・・・あああ・・・幸せえええ・・・。」

荷物を放り出すと何の躊躇いもなしにベッドに飛びついた。
柔らかな感触が体全体を包み込み、彼女は枕に頬ずりしながら心地よさそうにベッドに泳ぐ。
温かくして寝られるなんて実に何日ぶりだろうか。

「ベッドで寝られることにこんなに感動されると何だか辛いぜ。」

後からたくさんの荷物抱えながら入ってきたゲイルだが、
彼女の歓喜の声は部屋の外にまで響いていて、ゆっくりと荷物を降ろすと
彼女の柔らかな満面の笑みを見下ろしてぽつりと漏らす。早くこれが日常になるようにしてやりたいものだった。

「今日はこうしてぬくぬくして寝られるんだぁ。 はぁ、幸せだなぁ!うーん!疲れたぁ!ひゃー、大の字―!」

今日はきっと飛びきり疲れが取れるに違いない。
今まで溜め込んできた疲れをすべてここに出してやろうと、敢えて口にしたあと
それを吹っ飛ばすかのようにベッドの上で大の字に広がって天に召されたような笑みを浮かべだす。

「お前な・・・女だろうがよ。そんな恰好してて恥ずかしくないのか?」

だが、その笑顔をゲイルは見つめることが出来ずに視線を逸らしていた。
何せ相手は大の字である。おまけに彼女がきているのはいつも通りの白のミニワンピだ。
明らかにスカートの下から青色の見てはいけないものが見えていて、事件がおきかねない状況なのだ。

「え?だってゲイルしかいないじゃん?メルトとエルピスが見張りしてくれてるんだし。」

ところがゲイルの遠慮をシャニーはまるで分かっていないらしい。
ルケシオンでだって寝室も一緒、ベッドも一緒だった間柄なのに今更何をと、彼女は笑うばかり。
思い切り伸びをしながら大の字のまま体を反るものだから、ついにゲイルは背を向けてしまった。

「いや、そういう問題じゃなくてだな・・・。見てるこっちが恥ずかしいんだが。」

彼女が良いのなら別に良いのかもしれないが、振り返ってみるとやっぱりそこには
青色のパンツが視界のど真ん中に入ってきて、彼は顔を真っ赤にすると慌ててまた背を向ける。
その様子を見ていたシャニーはようやくに彼の言いたいことがわかって頬を膨らせた。

「まーたスケベなこと考えてるのね!
 もう、ゲイルはホントおっぱいとパンツのことしか考えてないんだから。」

彼は隙さえあればパンツを覗こうとするし、ミニワンピの横から胸をチラ見しようとしたりする。
正面から襲い掛かってくるわけではなくこそこそ見ようとするのが許せないというもの。
尤も、正面から来たらコテンパンにするだけなのだが。

「は、バカ言うんじゃねえ!だったらそんな格好してないでもっと緊張感持てよ!」

ゲイルにとっては今でも被害者意識が強かった。何せ彼女の着ている服は目が行き過ぎるのだ。
ミニワンピだからスカートは短い上にスリットが入っていて嫌が応にも視線が大腿付近へ行くし、
ホルターネックになっているから見ようとしなくとも横乳がチラリ。
本人に言ったら激怒しそうだが、まさに歩く公害である。

「えー?何でゲイルの前で緊張しなきゃいけないのさ?そんなことしてたら疲れちゃうじゃん。」
「だったら見られたって文句言うんじゃねーよ・・・。」

おまけに彼女の場合は、ゲイルの気を惹くためにあれやこれやと自身で口にしているぐらいで
この恰好もその一環に決まっている。それでこんなことを言うのだからどうしろと言うのか。
呆れたようにため息を漏らすものだから、シャニーも大の字を止めてうつ伏せになって足をパタパタさせだした。

「だからちょとのことじゃグーでパンチしないでしょ?だってさ、ゲイルはもう私の究極を見ちゃってるもんね?」

ゲイルにとっては今の恰好ですらごくりと生唾を飲み込んでしまうもの。
大きく開いた背中や健康的な大腿は見ていてとても旨そうで飛び込んでしまいそうだ。
おまけに今は制止する者もいない・・・今日こそはチャンスかもしれない。
一歩ベッドににじり寄った彼だったが、途端牽制するような一撃がシャニーから飛んでくる。

「まだ根に持ってやがる・・・。もう2年も前のことなんだぜ?そろそろ時効にしてくれよ。」

薪拾いから帰ってきて、誰が素っ裸でいると思うのだろうか。
確かにそれは事実だ。シャニーの生まれたままの姿を見てしまったというのは。
だがそれはあくまで事故であり故意ではないし、もう2年も前のこと。
おまけにもう婚約者同士なのだ。見たって別にいい・・・とまではなかなか面と向かっては言えずともいい加減許して欲しかった。

「ダーメ!ふふ・・・まぁ2年前の私とは比べ物にならないくらい今の私はスゴイけどね!」

いつまで経っても許してやるつもりはいらしく、彼女は小悪魔な笑みを浮かべながら舌を出してきた。
それどころか、彼に同じ過ちを繰り返させようとでも言うのか何とも意味深なセリフを口にしてくるではないか。
これでもうゲイルはいよいよ何とか抑えていた理性がパチンと飛んでしまった。

「そういうこと言うなよ。見てみたくなるだろ!」

飛び出したらもう止まらない。今回は相手が悪いのだと己に言い聞かせ、
ゲイルは顕になっている彼女の華奢で妖艶さすら滲む背中目掛けて飛び込んだ。
まるでそれを待っているかのように、シャニーは逃げ出す素振りも見せなかった。

「へっへっへ!ついに捕まえたぜ!今回は文句ねーよな、お前から誘ったんだし!」

ここまでシャニーが露骨な言葉で誘ってきたことは初めてでゲイルは大興奮。
羽交い絞めにして腕の中にすっぽり包んでやると、どこから攻めてやろうかと舌なめずり。
まずはやっぱりキスからと、無抵抗な相棒をそっと抱きしめる。

「いつまで枕にチュッチュしてんの?ばーか。」

ところがゲイルはシャニーを我が物とすることで夢中で、彼女が盗賊であることをすっかりと忘れていた。
目の前にいるはずなのに、どこか遠いシャニーの声に見下ろすが彼女は無反応。
それでも飛んでくる痛い視線は明らかに彼女のものである。

「ホンットゲイルっておっぱいのことしか考えてないんだね?」

ゲイルのスケベ振りは十分に心得ていたつもりだが、ここまで野獣振りを見せられると呆れるしかない。
もちろん、こんな風にすぐ興奮してくれるから、彼女も服装だの言葉だのあれこれ仕掛けやすいのだが。
ぱちんと指を弾いてやると、きょとんとするゲイルの目の前で、
抱きしめていたはずのシャニーがもやもやと背景に溶け込んでいく。

「ん・・・?うえ?!お前!男心を踏みにじりやがって!」

散々キスをして胸を鷲掴みしていたはずなのに、何とシャニーは向こうの椅子に座っており
呆れを顕にジト目でこちらを睨んでいるではないか。じゃあ今抱いているのは・・・
キスしている相手を見てみれば何と枕ではないか。爆発物を投げ捨てるかのように放り、目を白黒させて怒り出すゲイル。

「なーにが男心よ。どうせゲイルの頭の中なんておっぱいとごはんのことだけでしょ?
 あら、忘れてたわ。武具のこともそう言えば詰まっていそうよね。」

両手を広げながら顔を真っ赤にして怒るゲイルに呆れてみせるシャニー。
食欲にしてもなんにしても、彼はまさに野獣そのものである。
またしてもいたずら好きな彼女に一杯食わされてしまい、ゲイルはベッドの上で枕をくしゃくしゃにしながら悔しがるばかり。

「ま、どっちにしたってそのくらいよね!あはは。」
「ぐぐぐ・・・。」

言われたい放題なのだが、今自分がとった行動が行動だけに何も言い返せない。
このときほど、ゲイルにはシャニーが小悪魔に見えたこともなかった。
一応熾天使である。まさに白い羽の生えた悪魔とは彼女のこと。

「・・・せめて反論してよ。はぁ、男ってやーね・・・。」

だが、言い返せないというのは認めているも同じ。
ますますシャニーに呆れられてしまい、彼女はぽっきり首を折る。

「ふふ、前にも言ったけど、欲しかったら捕まえてみなさい?」
「くっそう!お前なんだか最近エルピスに似てきたんじゃねーのか?」

恐れていたことが現実になろうとしている。エルピスと一緒になってからというもの、
シャニーがますますいたずら好きにならないかと心配してきたが、何だか口調まで似て来た気がして
彼はシャニーに向かって枕を放り投げるとベッドの上でじたばたと地団駄を踏んだ。

「何言ってるの、私はエルピスよ?ふふふ、熾天使様の体を奪おうなんて、欲しかったらもっと貢献しなさい?
 ただでさえあなたは熾天使のこの私に炊事に洗濯に扱き使ってるんだから。」

投げつけられた枕をナイスキャッチすると、ゲイルの顔面目掛けて投げ返してやる。
受け損ねてボフッと言う音共に顔で枕を受けた彼を笑いながら
指を立てながら得意げな顔をしてくるシャニーに言い返せないのが何だか悔しい。

「こいつ・・・こういうときだけ熾天使面しやがって・・・。」

エルピスがいるときは大人しいものである。
熾天使を名乗ると説教が飛んでくるし、下手をすればスパルタに発展するからだ。
彼女がいないことを良いことに、自分と二人でいるときは結構この殺し文句を使ってくるのでたちが悪い。

「反省がないからしばらく私はお預けかな?っと、新聞新聞・・・。
 ふっ、コーヒーを飲みながら窓辺で新聞を読む・・・デキる女っぽいよね!」

慣れない手つきで新聞の端を両手で摘んでぎこちなくページを開くと
コーヒーカップを片手に新聞を読み始めるシャニーの顔は相変わらず得意げだ。
外は雪が降っているというのに、わざわざ窓辺にいるものだから鳥肌が見える。

「へいへい・・・っと。慣れない事してると頭が痛くなるぜ。」

シャニーがデキる女なんて言うのはちゃんちゃらおかしいと鼻で笑い飛ばす。
彼の態度にぶうっと頬を膨らせたシャニーは開いた新聞のページを指差すと
ベッドを整え始めるゲイルに目を三角にしながら猛反論。

「何言ってるの!私は毎日新聞読んでるんだぞ、ゲイルと違って!」
「どーせ占いとかテレビ欄だろ?そんなの読んでるって言わないぜ?」

確かに彼女が新聞を見ているのは知っている。ただ、読んでいるかといえば話は別だ。
今だって、広げられているページは今の旅とは全く関係ない投資関係のページ。
両手を広げながら呆れてみせると、シャニーはむっとして何も言い返してこなくなった。

「あれ・・・ねえ!ゲイル!これ見てよこれ!」

むすっとしながらとりあえず今日の占いのページを眺めたシャニーは、
ぱらぱらとページをめくってゲイルにちゃんと読んでいるアピールをし始めた。
だがその時だ。ふいに目に止まった記事のタイトルに彼女は思わず声を上げる。

「ん・・・錬金術研究所襲撃の記事だな。あいつら、きっと内部資料がなくなって大騒ぎだろうな。」

研究所襲撃からはや1週間くらいは経過しているためか、もう1面トップとは行かないようだが
いわゆる3面記事として大きくクローズアップされており、
国内や研究所の混乱が赤裸々に綴られて、相当なダメージを負った事を伝えてくる。

「そりゃ国家威信をかけたプロジェクトをぶっ潰してやったんだもの。記事になってくれなきゃ困るよ。」

当日はあんなにビビッていたくせに、シャニーの何と得意げなことだろうか。
ジト目で彼女を見下ろしてやりながら記事の内容を追っていく。

「あれ・・・おい、ちょっと貸せ。」

その時だ。ゲイルの眉間にしわがより、彼はシャニーから新聞を取り上げるとまじまじと見つめだした。

「シャニー・・・何だか妙な事になってるぜ?」
「“犯行は白の騎士団か?”ですって?!な、なにこれ、犯行声明まで出してるって・・・どういうこと?!」

記事の大半は犯人の行方についての話に終始してしまっていた。
おまけに、名前が挙がっているのは自分達ではなく何と白の騎士団なのだ。
それだけではない。白の騎士団は犯行声明まで出しているという。何が何だかまるで分からず顔を見合わせる二人。

「何で白の騎士団がわざわざ名乗り出てんだ?おかげでそいつらのことしか記事になってねえじゃねえか。」
「肝心な・・・ホムンクルス実験のこと・・・すっかりもみ消されてる・・・。」

今回の襲撃のひとつの目的は、民にあの場所で行われている恐ろしい研究内容を伝える為だった。
自分達だけではなく、民にもその危険を知ってもらい、止める為に立ち上がってもらおうと。
だが、白の騎士団が犯人として名乗り出たことで彼らに関する記載ばかりとなり
読み手受けしにくい焼失した研究資料の話などはほとんどがカットされてしまっている。

「アスクと白の騎士団はやっぱりグルなんじゃねーのか?何かやたら互いの手の内を知っているというか。」

わざわざ人の罪を被るなんてお人よしがいるだろうか。
おまけにタイミングが良すぎる話。帝国が事実を隠したくて、元から知名度の高い白の騎士団を使って
ホムンクルス実験の隠蔽を図ったとしか考えられず、ゲイルは腕を組みながら舌打した。

「にしても、俺達が命を賭けてやったことを横取りしやがるとはムカツク野郎だぜ!」

こっちは命を賭けて潜入して、相棒をひとりにしてまで作戦を完遂したというのに。
その目的のひとつを台無しにしてくれた上に手柄まで横取りされては胸糞悪い。
両手を重ねてボキボキ音を鳴らしながら牙をむき出しにするゲイルにシャニーも目を尖らせる。

「今度カミユに会ったらこのこと問い詰めてやろうよ!一体何を意図してこんなことしたのか!」

何かあると神出鬼没に現れては邪魔しようと立ちふさがるカミユ。
今回はまさに彼に一杯食わされた形になって、二人とも意気投合して顔が真っ赤だ。
シャニーなんかはワン・ツーパンチを繰り出して怒り心頭である。

「問い詰めるだけじゃねえ、今度会ったらぶっ潰してやる!白の騎士団をな!」

散々にシャニーにトパーズを寄越せだの、旅をやめろだの、お節介を過ぎた言動ばかりが目立つカミユ。
あのやたら気取った語り口調がゲイルには気に入らなかった。そして今回、ついに自分達の邪魔をしてくれたのだ。
もうこれ以上は放っておけないと、シャニーと二人でパンチ・パンチ。

「でも・・・あそこにはヴァンがいるんだよね。何かあるんじゃないかなって思っちゃうんだ。」

ゲイルがぶっ潰すと言ってパンチを繰り出した途端だ、シャニーのパンチが下を向いてしまう。
自分のパンチはただ問い詰めるだけだが、ゲイルの太い腕が繰り出すパンチは本気で相手をノックアウトさせてしまう。
彼女はまずその前に話を聞きたかった。あの組織には、ライバルも所属しているから。

「シャニー、あんな信用のおけない奴の事なんか放っとけ。
 今でもお前のこと狙ってる節があるんだし、何考えてるか分からん。」

ヴァンは2年前の旅で同行した仲で、最後のハデス戦でも絶体絶命のシャニーを守った騎士。
最初は彼女の命を狙っていた彼も、彼女と正義が一致したことで最後は彼女を仲間と認めた。
だが、あの時はあの時。シャニーは今でも彼を仲間と思っているようだが、ゲイルはそれを戒める。

「うん。悪い方向へと進まなければいいんだけど・・・。」

― キミを倒すのはオレだ。他に負けることは許さない
気障な言葉を残して別れたが、シャニーは知っていた。彼は決して己の正義を曲げる男ではないと。
その彼が所属する白の騎士団。ただ真正面から敵対していいとは思えなかった。

「ま、今は心配したってしかたねーよ。ああ、驚いたら腹減っちまったぜ。」

ゲイルも口ではシャニーがこんな性格なので厳しいことを言っているが、
内心ではヴァンが何を考えてあの組織に所属しているのかはとても興味があった。
もしかしたらあるいは・・・だが、今はそれを考えても仕方ない。
つまらない事で相棒が悩みださないように、彼は敢えて話題を変えると彼女を食堂へと引っ張る。

「もう・・・。ヴァン、あなたは一体今度は何を正義と捉えているの・・・?」

きっと今も彼は一人でどこか旅をしているに違いない。彼にとっての“正義”を貫く為に。
一体彼が何を知り、何をしようとしているのか。一度会って話がしてみたかった。
もし彼が一戦を条件にしようとも、きっと彼なら教えてくれる。そう信じて今は祈るばかり。
関連記事
スポンサーサイト



総もくじ 3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
総もくじ  3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【7話:重要参考人】へ
  • 【9話:ゴミ賊】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【7話:重要参考人】へ
  • 【9話:ゴミ賊】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。