現在の閲覧者数:

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←2話:大蛇の誘い →4話:引き裂いた毒牙
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  • 【2話:大蛇の誘い】へ
  • 【4話:引き裂いた毒牙】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter17 悲壮なる叫び

3話:喜劇の人形たち

 ←2話:大蛇の誘い →4話:引き裂いた毒牙
「き、貴様は・・・マヴガフ大司教?!」

声で、そして何よりその眼光で大方は予想がついていた。
ゆっくり這いよるように歩いてきた彼に、うっすらと頭上から光がこぼれてきて
照らし出された侮蔑の目元が不敵に笑い、思わずセインは声を上げずにはいられない。

「あぁ~、クッサイ芝居ですコト!そんなのは演劇場だけにしてくださいよ。
 現実ってモンはもっと苦しくて辛くて・・・ヒヒヒッ、今のうちに死んだほうがマシかもしれないって言うのに!」

驚愕に表情の固まる二人を楽しむかのように、帽子をさっと手に取ると、軽く頭を下げて挨拶してきた。
その柔和な笑みは相変わらずだが、開口一番に唾棄してきたではないか。
どうやら話を終始盗み聞きしていたらしく、帽子を被りなおすと目元を隠してせせら笑いだした。

「ど、どうして貴様がこんなところに!」

今回の作戦ではマヴガフの出番などないはずだ。
いや、仮に参戦していたとしても、ここはカレワラ森の入り口。
戦場とはかなり離れているはず。なのに彼は現れて話の全てを聞いていた。
まるで、ここに来る事がわかっていたかのように。

「ククク、カレワラの闇はいいですネェ。
 魔女どものかつての恨みと憎しみに染まった闇・・・まさに人間の縮図のよう!おー、コワイコワイ!」

よく分からない事を口にしながら、両手を体に巻きつけながら震えて見せた。
だが、その顔は明らかに笑っていてセインの質問を茶化そうとしているのは見え見えだ。
この男はいつもそうだ。人の話などまるで聞こうとはしない。そのくせ、人から情報はしっかり持っていくくせに。

「おお、何か言っていましたっけね、どうしてここに?あ~、そのセリフは私がいただきますよっと。
 な~んで、アナタ様がこのような場所に?もしかして肝試しとかですか?」

いちいち饒舌に任せて腹の立つ言葉を含ませてくる奴である。
ぺらぺらと、どうしてひとつ聞くだけでここまであれこれと煩く出来るのだろうか。
もともと彼の登場と絡みつくような話術に苛立っていたセインにとっては神経を逆撫でられる思いだ。

「私は白の騎士団からアンドラスを取り戻したところだ。今から本体に合流する予定なのだ。」

邪魔をするな、そう言わんばかりに邪険するとげとげしい口ぶりで状況を教えてやると
彼はアンドラスを伴ってマヴガフの視線を振り払おうと歩き出した。
だが、彼が一度捕まえた獲物を簡単に逃がすわけがない。

「あれれぇ?確かあなたの隊はルセン橋梁に配置されていませんでしたっけ?・・・ちょぉ~と距離が開いていませんか?」

ぴくっと、セインの眉が歪んで足が止まる。極秘の作戦を彼が何故知っている?
不安げに見上げるアンドラスを背に隠すと振り向いて蛇眼を睨めば、彼は不敵に笑っていた。
だが、とっさの反論に窮するセインを虚仮にした眼差しでひとつ見下ろすとまた柔和な笑みを浮かべ始めた。

「イヤァ、アスクの錬金術とはスバラシイィんですネェ!
 聖騎士ともなればウィザードゲートなんてお手の物・・・というわけですかね?ふふふ・・・。」

爽やかに笑って見せた彼が饒舌に乗せて浴びせてきたたっぷりの皮肉。
すぐに柔和な笑みは帽子の下に隠れて、釣り上がる口元が暗に告げてくる。
― バレてんぞ?
きょとんとするアンドラスとは対照的に、セインはうっと身を退いて驚愕を飲み込むので精一杯だ。

「き、貴様・・・。何が言いたのだ。内容によっては五賢陣同士といえど容赦せんぞ!」

追い詰められた彼は思わず騎士剣を引き抜いてマヴガフを威嚇し始める。
だが、弱者の虚勢ほど見ていて滑稽なものもなく彼の口角はますます上を向く。
全てを知る男にとって、人間が浅知恵を暴かれて焦る姿は堪らなく楽しいもの。

「くっふふふ・・・。まぁいいでしょう、ハデス神の下では全てが平等、人間ひとりの足掻きなど風に吹かれる塵も同じ。」

ここまで臭わせておいて、彼は真実を口にすることはなかった。
それでも、相変わらずの腹立たしい侮蔑の口元からははっきりと告げられた。
暗躍はあくまでも“つもり”、ゴッコ遊びで、全てお見通しであるという事を。

「ただひとつアナタにアドバイスをプレゼントするなら、楽になりたければ無駄な足掻きは止める事・・・ぐらいでしょうか。」
「マヴガフ・・・おのれ!誰にも邪魔はさせないぞ!」

両手を広げながらさも馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに眉を歪めて苦笑い。
明らかに虚仮にした態度で口にしてきた言葉は、セインの逆鱗に触れるものだった。
ひとり話から置いていかれてぽつんとするアンドラスを放り出して、
彼は剣を持つ拳を強く握り締めると、マヴガフの嘲笑を斬り捨てるかのように目の前を払って見せた。

「勘違いされちゃ困ります。私は別にアナタのやっていることを非難しないし口外するつもりもないですよ。」

武器を取り出した途端、マヴガフは目を狐のように細くして困惑を顕にしながら、
両手をセインの方へと向けて宥めにかかった。だが、その口元は相変わらずの余裕を保ち
話の主導権が未だ彼に握られていることを示している。

「なんだと・・・?何故だ。それを知らせれば、お前にとっては邪魔者が一人消えるではないか。」

一体何を考えているのかまるで絞らせないマヴガフの語り口。
もはやすべて知られているのならばと、セインも包むこともなくまっすぐに問う。
開き直る彼に、マヴガフは笑いかけながら目線を帽子の下に隠す。

「先ほど言ったじゃないですか、ハデス神の下では全てが平等、と。」

どうにも人間というのは面倒くさい。どうして一から十まで教えてやらねば理解できないのか。
理解できていてもそれを無理やり否定してもがくから、ルネアもいつも首を傾げていた。
目の前にいるのはそんな重傷者の一人。あまりにも哀れなので親切心をはたらかせてやることにした。

「アナタ一人の企みなど、すでに決まった運命の中ではまるでゴミなんですよ、ゴーミ!」
「くそ・・・言わせておけば!現に貴様も我々に妨害を受けているはずだ、見くびるな!」

ケラケラと笑いながら、人間ひとりの無力さを思い知らせてやる。剣幕厳しくシワ寄るセイン。
反応があまりに面白くて蛇のように広がった口元が釣りあがる。目元を隠そうと帽子を押さえても、
哄笑に上向く顔には攻撃的で触れるだけで怪我をしそうな鋭い眼差しが黄金に光っており、
セインも武人の血が退くことを拒絶して剣を握りなおして一歩を踏み出す。
だが、今度はマヴガフも退く事もなく、それどころか両手を広げだした。

「アナタもつくづく見る目のない人だ。むしろ讃えているんですよ、運命の筋書き通りに動いてくれるアナタ達をネ!」

邪魔になどなりはしない、いや邪魔と言う言葉自体がナンセンスであり、人間の無知を示す言葉。
人間がどれだけ運命の抗おうとも、その行動自体が既に人間では及びもつかない者が定めた運命だというのに。
指示されたとおりに動く操り人形たちの精巧さに、マヴガフは敬服さえしてみせた。

「我々の行動が・・・運命付けられているだと・・・。」

全く善神共も、実に使い勝手のいい道具を作り上げたものである。おまけに自身を崇めて疑わないような設計をするとは、
光だの純白だのをひらつかせながら反吐が出そうなほどにどす黒い連中である。
そのおかげで色々やりやすいので今はよしとしているが。
それにしても、目の前の驚きに塗れた顔が演技ではない本気顔だと思うとなんとも滑稽である。

「ヒヒッ、ハイッ、そのとーり!エルピスがハデス神を封印してしまったその時からネ!」

善神共はエルピスの行動に安堵しただろうが、それこそが新たなる引き金。
劣悪なものは淘汰され、より洗練された力が生み出されていく。
もはやその意志を止める事ができるのは、この世界にはいない。

「そして今・・・また新たなる運命が決定付けられようとしている。アナタ達の手によって、ね。」

だが、全く持って人間が運命に干渉できないかといえばそうでもない。
神の道具として、指示されたとおりに動けば、運命を踏みしめていくのは人間となる。
切り開いたと彼らは言うだろうが、所詮は決まった道を歩いているだけ。言葉遊びの世界だ。

「なんだと・・・もったいぶらないで話せ!一体何が起ころうとしているんだ!」

知らない者達というのは暇をもてあまさなくて実に幸せなものだ。
今もセインはマヴガフが口にした新たな世界の局面に畏怖し、知ろうと叫んでくる。
人形が別に知る必要などない。ただ、少々油をさしておいてやるべきか。

「冥土の土産に教えて差し上げましょう。始まるんですよ、救世という名の選択・・・世界が滅ぶか否かのネ。」

顔が真っ蒼になり、表情を失うセインとアンドラス。
どうせ不要になればすっぱりと斬り捨てられるというのに、人間達は滅ぶと言う言葉に敏感だ。
メント文明でエルピスに散々オモチャにされて滅ぼされたはずなのに、未だ学習できないらしい。
神にそう設計されているのではしかないか。

「今アナタがこのままシャニーを追い、始末できれば世界は破滅から逃れられる。」

少々彼らの反応を見て楽しんではいるが、マヴガフに嘘をつくつもりはなかった。
このまま熾天使を放っておけば、人間が自滅するだけだ。
黄金の蛇眼を何が嬉しいのか三日月に釣り上げて、じろっとセインたちを睨む。

「ふざけるな!でたらめばかりを言っていると容赦せぬぞ!」

人間とはどうにもトロい。無意識のうちに、望まない未来を否定して、
そんな事はありえないと逃避しようとする。そして、都合よく逃げ道を作ってくれる希望にすがりつくのだ。
結局、そんな虫のいい幻があるはずもなく、行きつく果てに待つのは絶望なのに。

「私は聖騎士サマにお話しているんじゃないんですよ。姫騎士サマ、アナタに向かって進言差し上げているのです。」

セインの怒声を邪険するように視線から退かしたマヴガフは、
帽子の下からぎらりと鋭い眼光で彼の背後で二人の会話をぽかんと聞いているアンドラスを睨んだ。
名指しされて、目を白黒させながら自身を指差しだす。

「わ、私?!」
「ボヤボヤするのは城の中だけにしてください。機会は待ってくれませんよ、今はすぐ行動に移るべき時です!」

完全なる神のオモチャよりは、まだ人間が作り出した空っぽな人形のほうが使い道はある。
ただ、少々トロいものだから、面倒くさくて苛立ち顕に渋くなる口元。
思わず帽子に手をやってそれを隠すと、マヴガフはアンドラスの未だ整理できない心に這い寄っていく。

「アンドラス!ダメだ!こんな何を考えているか分からないような人間の言う事を信じては!」
「ウッハッハー、こりゃあ面白いですネェ!」

せっかく憎悪を抑えて新たな道を歩き出そうとしているアンドラスを闇へと引きずり込もうとする蛇眼。
危機を察したセインが堪らずアンドラスの肩を持って、瞳を見つめて語りかけるが
その途端、背後から気が触れたかと思うほどの奇声を浴びせられた。

「アナタが言えることですか?アナタのご自慢の槍はどこへ向いているんです?
 信じている者を裏切っているアナタの槍は一体どこへ?言えますか?ネェ言えますか?ヒャヒャヒャ!」

甲高い嘲り笑いが響き渡り、森まで一緒に笑っているかのようだ。
表面上は総統様万歳を一番に叫んでいるくせに、帝国の中で一番にその考えを否定し、
反逆を繰り返している人間が、どの面を引っさげて人のことをとやかく言えるというのか。

「くっ・・・私は裏切ってなどいない。私の忠誠は今もアスクの民にあることに偽りはない!」

神経を逆撫でる笑い声を払い除けるだけの力が今はなかった。
アンドラスの面前、今はまだすべてを知られるわけには行かなかった。
だが、マヴガフと同様、セインも嘘をつくつもりはない。彼の中では、あくまでこれは裏切りではなく忠誠であった。

「やれやれ、武人とは哀れなものですね。姫騎士サマ、私はアナタに協力しようと思っているんですヨ。」

セインがどんな思いで計略をめぐらせているかなど、マヴガフには関係のないこと。
しっかりと楔だけは打ち込んで暴走に牽制を入れることができればそれで十分だ。
ようやくに静かになると、マヴガフは改めてアンドラスを見つめて帽子を取り頭を下げる。

「心の整理がつかずに悩んでいるんじゃないんです?
 さぁ、決めちゃいましょうよ。アナタの宿すその闇のマナが偽りの光を貫く剣なのだとね!」

やはりマヴガフは、アンドラスをシャニーを殺す為の道具としか考えていない。
これ以上彼を放っておけば、アンドラスはせっかく這い出てきた闇にまた呑み込まれることになる。
それだけは防ごうと彼女を止めにかかるが、黄金の蛇眼がそれをさせてくれない。

「分かりました・・・マヴガフさん、ご協力感謝いたします。」

しばらく蛇眼から逃れるように目を閉じて考えていたアンドラスだったが、
セインの祈りも虚しく、決意してそっと目をあけた彼女が口にしたのは、
マヴガフの誘いを受け入れるものであった。釣り上がる口元と、歪む顔。対照的な反応が相対する。

「アンドラス!」
「いい機会です、私も早く心の整理をしたい。」

堪らずに彼女に叫びかけるが、彼女は静かに首を振った。
遅かれ早かれ、彼女とはこうなる運命だった。それが少し早まっただけ。
もはや何も言えなくなったセインに見せ付けるように、マヴガフはアンドラスの手を取る。

「よく決心しましたね。では、実際の作戦内容に移りましょう、アナタも聞きます?」
「・・・聞かせてもらおうではないか。妙な真似をすれば・・・分かっているな!」

舐めるような眼差しでアンドラスを見下ろすマヴガフは彼女を褒めちぎる。
彼女も一応警戒はしているのか、以前のように彼の笑顔に反応することはないが
それでもセインには不安で仕方なかった。せっかく自身の意志を持って歩き出そうとしているのに。
その不安を煽るかのように不敵な笑みで問うてくるマヴガフに精一杯抵抗して見せるが、
彼にとってそんな威圧はまるでそよ風にも満たないもので実に涼しい顔をしている。

「奴らはこのカレワラの森に迷い込んでいます。案内がなければ抜け出すのに数日は要する
 暗黒の森へ観光なんてホント物好きな連中ですネェ。今頃迷子になって泣きじゃくってるかもしれません、ヒヒッ。」

煩い人間を黙らせると、安堵したのか饒舌に任せてぺらぺら喋りだす。
だが、二人は顔を見合わせていた。カレワラ森が迷路で一度入り込んだら抜け出せない事は噂に聞いていた。
今その悪魔の森へ、自分達は入っていこうとしていることを察したのだ。

「そこへ私が幻術を仕掛けて連中を引き剥がします。
 アナタは独りになったエルピスを狙えばいいんです。とぉ~っても簡単でしょ?」

希望の一番に腹が立つところは、自分自身はからっきし弱いくせに仲間を集めて徒党を組むところである。
おまけに仲間が集まると彼らの力を吸い上げてやたらと態度がでかくなる。
独りでは何も出来ずにめそめそするしか能がないというのに。
その姿を、マヴガフは見てみたかったのである。

「分かりました。マヴガフさんは手を出さないでください。彼女は私が倒します。」
「おほっ、大した自信だこと。いいでしょう。
 アナタが倒し、あの力をアナタが我が物としなければ影の烙印からは逃れられないでしょうしねェ。」

アンドラスの凛とした眼差しに嬉しそうに頷くマヴガフはそのまま視線を帽子に隠す。
だが、不敵に釣り上がる口元だけは隠しきれてはいない。
改めてこんな願いをされなくとも、マヴガフ自身が手を出すつもりはなかった。
殺すだけなら最初から自分が手を下せば済むことだが、目的はそこではない。
今はじっと堪え、ただ人形達が思惑通り動くようにしっかり楔を打ち込むだけだ。

「というわけです。私は多忙ゆえアナタ達の肝試しに付き合って上げられず残念です。早速行動に移りましょう、善は急げと言いますしネ。」

トロくさいアンドラスの手をとる。道中で迷子になられてはウザいだけ。
彼の後姿をじっと睨みつけるセインは、いつでも切りかかれるように騎士剣を抜いたまま。
こんな真っ黒な男が、善を口にするなど反吐が出る思いだ。尤も、それは本人も同じだが。

「アナタはどうします?カレワラ森が怖いなら帰り道は記憶の書で送迎いたしましょうか?」

振り返って小ばかにするように柔和な笑みを浮かべてくる彼に、
セインは剣幕を更に鋭くして拳に力が篭るが、このとき彼にはひとつの閃きが駆け巡る。
シャニーたちのもとへ行くことをもはや変えられないなら、機会と捉え活かすしかない。

「いえ、結構だ。そういう作戦ならば、私も試したい相手がいるのでな、途中まで同行させてもらうぞ。」

アンドラスだけではなく、セインにとっても一度剣を交えなければならない相手がいた。
そう、ゲイルである。遅かれ早かれ、シャニーの守護者としての実力を測ってやらねばならないと思っていた。
彼も独りになるというのなら、これは恰好の機会ではないか。

「へぇ、わざわざこの暗黒の森にハイキングに出かけようなどアナタもどこまでも変わり者ですねえ。」

てっきりカレワラ森を前にしっぽを巻いてに逃げ出すかと思ったのだが
意外なことを言い出すセインにマヴガフは狐のように目を細めながら笑って見せた。
人間というものは不思議だ。打算的かと思えば、こうして無駄なことに平気で時間を費やそうとする。

「俺はあのゲイルとか言う海賊に興味がある。奴が守護者として・・・本当に相応しい人間なのか。」

興味があるのは結構だが不思議なものだ。ここまで計算ずくめ、打算ずくめで動いている人間が
それとは正反対とも思えることに決意を燃やしている。こんなところをルネアが見たら興味津々だろう。
何にしても、マヴガフにとってはどうでもいい事。むしろ足止めしてくれるなら楽しい時間が増えて好都合か。

「どぉ~せ死ぬ連中なんて試して何が面白いんでしょ。まぁいいです、好きにしてください。」

勝手にふらふらと闇に消えて行ってくれるなら別に何も止める理由はない。
むしろ傍できゃんきゃんとチビ犬のごとく喚かれることに比べればむしろ歓迎するところだ。
その中でも、彼は次の楔を打ち込むことを忘れはしなかった。

「・・・尤も、あまり寄り道が過ぎると影を見抜かれるんじゃないんです?すぐ傍に腕利きの盗賊がいるんですし。
 絶望をプレゼントするなんて親孝行者ですねえ、イヤァ!さっすが聖騎士サマッ、敬服いたしますよ、ハハハ!」

アルトシャンが気付かないのも無理はない。たとえセインが傍をこうして離れて反逆を進めていようと
いつでも傍では影武者にしっかりと働かせている。だが、そんなママゴトが通用する人間ばかりではない。
イスピザードが既に気づいていることを含ませた嘲笑が辺りに響く。

「貴様・・・。」
「精々祈っておいてあげますよ。ゴブウンを?ヒヒヒッ。」

怒りをぶつけようにも既にカレワラ森に入った身、縛られているのも同じだ。
精一杯、怒りを切れ上がる目に乗せてマヴガフを睨むが、彼はせせら笑うばかり。
話についていけないアンドラスだけが、森の先を見つめて来たるべき時を前に剣を握りしめていた。
関連記事
スポンサーサイト



総もくじ 3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
総もくじ  3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【2話:大蛇の誘い】へ
  • 【4話:引き裂いた毒牙】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【2話:大蛇の誘い】へ
  • 【4話:引き裂いた毒牙】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。