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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter17 悲壮なる叫び

9話:ダイモニオン・エムブレム

 ←8話:目覚める悪魔 →10話:制圧の善
 瞠目して驚愕の事実を前に立ち尽くすエルピスに見せつけてやるかのように、
一度軽くお辞儀をしながら目だけで彼女を睨み上げてやった。もうすぐこの忌々しい善共の世界も終わる。
そう思うと楽しくて仕方がない。見よ、エルピスの蒼白の瞳を。まるで最期を悟ったかのようだ。
だが、そう簡単に死なせはしない。今までやってきた分、倍返し・・・。
いや、生かさず殺さず永遠の絶望に浸して飼い殺すつもりだった。その為には、いきなりしおらしくされても困る。

「ま・・・安心しろや。封印っていうだけあってな、まーだこの力を解放できねぇんだよ。
 どーだ?面白いだろ!これから何が起こるのか想像してみろよ!うっひゃひゃひゃひゃひゃ!」

人間というのはバカなもので、どれだけの苦境でも僅かな希望があれば立ち上がってしまう。
その時の顔が堪らなく好きだった。苦痛に歪みながらもそれに必死に耐えようともがく姿。
そこで希望をさっと取り上げたら・・・考えただけでもウズウズして笑いが止まらない。

「くっ・・・そうはさせないわ!封印なら・・・大人しくそのままハデスを封印してもらうわ!」

案の定、正義感たっぷりの勘違い女が勇気とやらを振り絞っている。
彼女はバタフライナイフを引き抜くと、刀身にマナを宿して構えをとる。
ふっと釣り上がる口元。指を弾いてシモベたちを手元にしまったマヴガフは指で彼女を招いてやった。

「アーヒャッヒャ!そうこなくちゃねえ!数千年間待ちわびた戦いだ・・・楽しませてくれよ?」

見慣れた構え、数千年前はあの短剣の前に易々沈んだが、たっぷり礼を返せそうだ。
しばらく間合いをとりながらにじり寄ってくるエルピスに、必要ないと言わんばかりに構えもしない。
その余裕面が許せなくてついに駆け出したエルピスの目に舌なめずりして迎え撃つのであった。

「おらおら、ビビってねえでかかってこいや。エルピスちゃんよ?ヒヒヒッ。」

だが、まとう波動は間違いなくハデスのもの。
そう簡単に真正面からぶつかるわけにも行かず、神速を生かして翻弄しにかかるエルピス。
だが、マヴガフはさも詰まらなさそうに彼女の様子を見つめながら頭の後ろで手をくみ出した。

「言われなくてもその下品な笑い、今すぐに止めてやるわ!」

挑発するようにせせら笑う男の見下した眼差しが気に入らない。
もう二度と見たくなかった眼差しを、まさかこんな形で浴びることになるとは。
恐怖を怒りで噛み砕き、彼女はついにマヴガフへ鋭い一撃を浴びせた。

「いいねえ、その余裕のない顔!恐怖を虚勢で塗り固めた目つき、タマんネェぜ!」

だが、どれだけ隠そうとも全てが相手にお見通しであった。
切り上げてきた一閃をさっと後ろにバックステップして避ける。
逃がすかといわんばかりに連撃を浴びせてくるエルピスの顔を間近で舐めるように見下ろす口元は余裕そのもの。

「ま、分かるぜ?今のテメェじゃ・・・俺様の相手になんざなるわけネェのは分かってるもんナァ!」

しばらく彼女のやりたいように任せて執拗な衝きに付き合ってやる。
だが一発も当たるどころかかすることもなく、焦りに満ちたエルピスをニタニタ楽しんだマヴガフは
さっと手刀で相手の手首を打ち付けるとばっと跳躍して距離を開ける。

「黙りなさい!熾天使の位を退いたとはいえ、あなたのような野卑な男に劣るようなことはないわ!」

思わず短剣を落としそうなほどの鋭い痛みに顔をしかめて手で押さえる。
あれだけの連撃のなか、一瞬の隙を突いて的確に手首を狙うなんて。
やはり以前のフェンネルとはまるで違う。彼女は刀身にマナを宿して再び突っ込んだ。

「おーおー、勇猛な事。さすが精霊を名乗るだけはあるな。まずまずのマナだわ。」

忘れるはずもない忌々しい善の操り人形が放つ白いマナ。
渾身の力で衝き向けられたそれをヨルムンガントで受け止めると弾き飛ばす。
だがエルピスもそうは簡単には逃がさない。彼女の武器は短剣だけではないのだ。

「光の精霊の名にかけて、ハデスのマナをこの手で討ってくれる!受けよ!光の矢!」
「ぐおっ!!」

さっと弓を召喚した彼女は手先にマナを集めると電光石火に弓に番えて見せた。
マナはあっという間に矢の形へと姿を変え、目で追うこともできないほどの速さで照準を合わせ弓を引き絞ると
マヴガフの胸目掛けて解き放った。音速に闇を切り裂く光。絞り切られた照準は相手に回避を許さない。
光の矢はマヴガフに直撃し、彼は声を抑えきれずに後ろへよろけた。
だが、眉間にシワを寄せていたのはエルピスのほうだった。

「・・・へっ、なかなかやるじゃねえか?ま、人間の割には上出来じゃねえの?」

確かに見えてしまったのだ。
矢から主人を守ろうと突っ込んできたヨルムンガントを、マヴガフ自身が止めた事を。

「くっ、さすがに一撃ではしとめられないか!ならばもう一発打ち込むだけよ!」

彼はこちらの実力を測っているに違いない。おまけに、明らかに格下と知って。
だが諦めるわけにはいかない。エルピスとて今の一撃は威嚇のつもりで放ったもの。
次からが本番と駆け出してマヴガフを翻弄しにかかるが、彼の口元は不敵に釣りあがった。

「おいおい、さっき言ったろ?礼を弁えろってな。俺様にもちょっとばかし遊ばせろや?
 そうしねえと・・・ホントに殺しちまうかもしれねえぜ?あーっはっはっは、楽しみダナァ!オィ!」

周りを神速に駆け回って分身を作り出していくエルピス。
だが、マヴガフはそんなものをまるで見ていない。マナで揺らめく髪を天へと突き刺し
ひとり高笑いしていたかと思うと不意にそれが止み、腰にしていた魔道書のベルトを徐に外した。

「見せてやるよ、生き地獄ってヤツをなぁ!ダイモニオン・エムブレム、起動!!」

彼の手に取られた漆黒の魔道書を見つけて眉間にシワを寄せるエルピス。どこかで見たことが・・・。
その不安は次の瞬間現実となる。マヴガフに呼ばれた魔道書の名前に瞠目した時には遅かった。
彼がマナを送ると、目覚めるかのように魔道書が目をあけていられないほど紫紺に輝き、
爆発するかのように破滅のマナが尽きない泉の如く溢れかえった。

「なっ、なんなのこのマナは?!うっ・・・くっ・・・このマナ・・・ハデス・・・!」

まるで神経を握り締められたかのように体が硬直してくる。
それまで光の如きスピードで駆け回っていたのが磁石に吸い寄せられたかのように地に伏し、
飛び出すのではないかと言うほどに見開かれた瞳は苦痛に血走る。

「ヒャーッハッハッハッ、だーから言っただろうが!今の俺様は、ハデスそのものなんだよ!」

ハデスが司る破滅のマナ溢れかえり、マナの深海に鎮められたかのような感覚。
何とか逃げ出そうとしても、魔道書からどくどく噴出し続けるマナは止まらない。
地面に這い蹲る彼女を勝ち誇った笑みを浮かべ見下ろすと再びマナを魔道書へと送り
紫紺に輝きだした魔道書はなんと彼の体の中へと吸い込まれていくではないか。
途端、あたりには死の風が嵐の如く吹き荒れ、エルピスは体がバラバラになりそうな激痛に声も出ない。

「さぁて、と。まだ封印の開放は完璧じゃねえんでな。あんま遊んでやれる時間はねぇ。
 だけど、オトモダチのテメェにはちゃんと見せておかねえと失礼かと思ってな?わざわざ出向いてやったってわけよ!キヒヒヒッ!」

魔道書との同化が終わり、ようやくに烈風が収まってくる。
だがそれでも、彼の周りに吹き上がる波動はあたりを死のマナの海と変えて波の如く襲い掛かり続ける。
実に楽しそうに、舐めるように見下ろしてくる黄金の蛇眼。
これほどフェンネルを脅威と感じた事が、未だかつてあっただろうか。

「くっ・・・確かにこれはハデスのマナそのもの・・・フェンネルでは・・・ない。」
「ウスノロでもこれでよぉーやく分かっただろ!おらおら、エルピスちゃんよォ?本気で来ないとおっ死ぬぞ!!」

何とか立ち上がったエルピスを再び押し倒してやろうと破滅の波動が後から後から襲い来る。
やはり間違いなかった。自分の知るフェンネルのマナなんかではない。
純粋な破滅のマナ、倒すべき宿敵のマナの臭い。恐怖に塗れた翠緑の瞳を煽るように、
蛇の顎の如く大きく口を開かれた口で嘲笑を叫ぶマヴガフの目は殺気そのものだ。

「言われなくても本気でいくわよ!光の矢!今度は急所を外さないわ!」

昔と変わらず調子に乗った甲高い笑い声が神経を逆撫でる。
あの声を何としてもすぐに地に伏させなければ。焦りが彼女の手先に光の矢を握らせて
マヴガフに短剣を構える隙も与えずに引き絞り、解き放つ。
まるで照準を絞っていないかのごとく電光石火に放たれた光速の矢は、吸い込まれるように彼の胸へと突き刺さった。

「急所が何だって?あ?聞こえねぇなぁ?オィ?」

光がマヴガフを包み込み、そのまま彼を吹き飛ばしてしまうはずだった。
だが、逆に光が彼の胸に吸い込まれるように小さくなって消えてしまったではないか。
ポンポンと無傷を見せ付けるように胸を叩きながら、細い目を見開いてニヤついてくる。

「な、なん・・・ですって・・・。何故効かない?!くそっ!」

彼女の慌て様がすべてを物語っていた。今の一撃が、彼女の限界だということを。
いくら熾天使の権能をすでに継承したとはいえ、目の前に広がる光景はにわかに信じられず、
彼女は現実を否定すべくすぐさま手に光を握り締め始めた。

「何故何故うっせーよ!答えはひとつだ!テメェが雑魚で、俺様がハデスだからだよ!オラァ!」

再び神速に乗り、無数の分身を生み出しながらマヴガフの周りを駆ける。
その様子をしばらく見つめていたマヴガフの鋭い黄金が光ったかと思うと、彼も風の中へと消える。
次の瞬間、恐ろしい殺気が背後に迫って、振り向いたエルピスは目を剥いた。

「は、早・・・ぎゃあ?!」
「俺様、お前のこと大好きなんだゼェ?俺様を楽しませてくれるからヨォ~。」

神界一の韋駄天と呼ばれた自分がこんなスーツ姿の男に追いつかれているのである。
彼はニヤニヤと焦燥に蒼褪める顔を舐めるように見つめると、ひとつ握り締めた拳で顔を殴りつけた。
バランスを失ったエルピスの腕を掴むと、取り出したバタフライナイフをまるで踊るかのように空中で振り回し、風を引き裂く。

「がはっ・・・!うあァァッ?!」
「逃がしゃしねえぜ!行け!ヨルムンガント!」

為すがままに切り刻まれて悲鳴を上げる宿敵の歪んだ顔にますます悦楽を覚えるマヴガフ。
散々切りまくった挙句ダガーの柄で殴り飛ばして吹っ飛ばす。だが、まだまだやり足りない。
とっさにヨルムンガントを投げつけ彼女を捕まえると、神獣を足場に駆け下りてきて
捉えた獲物の細い首をしっかりと掴んで満足げに見下ろす。

「捕まえたっと!おいおい、随分鈍くなっちまったナァ?それがテメェの全力なんか?聞いてんのかよ!」

がっくりとうな垂れて睨み返してくる余力もないらしい。
軽く準備体操のつもりだったのだが、これではあまりにも弱すぎて面白くない。
だが、相手が相手だからそれはそれでいい。
ひとつ口角を釣り上げると、渾身を彼女の首にかけて振り下ろした。

「ぎはっ・・・。あ・・・くぅ・・・。私が・・・こんな男に・・・ッ。」
「おーい、大丈夫か?精霊でも痛いモンは痛いのか?ダイジョウブ~?アッヒャッヒャ!」

為す術なく高所から叩きつけられて体が跳ねる。体がバラバラになってしまいそうな感覚。
全身に走る痛みが悔しさを湧き上がらせて手先で土を握り締めるが、上から土足で踏みつけられた。
睨みあげてやるが彼の悦楽を膨らませるばかり。
もうこれ以上体に力が入らない。数千年前と、まるで逆の立場。

「言ったよナァ?テメェに見せてやるのは、生き地獄だってな!まだまだ死なせないぜ?」

殺そうと思えばいつでも息の根を止められる。このままヨルムンガントを胸に突き刺してやれば良いだけだ。
だがそれでは面白くない。数千年前からの縁を終わらせるには、それに相応しいショーというものが必要だ。
もちろん、この場はそれではない。いわば前座と言うもの。
前座でたっぷり絶望を与えておけば、メインショーではもっといい気持ちになれる。その時の顔が楽しみだった。

「な、何をする・・・。」

狂気の笑みを浮かべた彼はエルピスの髪を鷲掴みにするとそのまま彼女を持ち上げた。
こんな細いなりをしているのに片腕一本で軽々と。これが神の加護なのか。

「や、やめ・・・ぎゃあああ?!」
「ウッハッハー、超イタそー!これ以上やったら死んじゃう?ねえ死んじゃう?どーよ!ギャハハハ!」

天を仰ぎ、目がこれ以上無いほどに見開いて瞳が色を失って、魂さえ抜け出してしまいそうな悲鳴が辺りに響き渡る。
それに混じって狂気が舌なめずりして、更なる悦を求めて手刀を何度も彼女のみぞおちへと押し込む。
その度に紫紺のマナがエルピスの背中から噴出して断末魔が闇を引っ掻き絶望を奏でる。

「テメェは確か神界の反逆者だったよナァ?あ?口ももう利けネェのか?雑魚め。
 へっ、まぁいいぜ。この俺様が、シャスのクソに変わって反逆者は処分しといてやらあ!」

高笑いが響く。力を失った理由も、そもそも神界に反逆なんてするからだ。
操り人形は大人しく操られておけばいい。その程度の器でしかないのだから。
人形の分際で今まで散々邪魔をしてくれた礼をたっぷりとしてやろうと、再び彼女の髪を掴む。

「そろそろお仕置きの時間と行くか?エルピスちゃんよ?もっとテメェの歌声、聞かせろや・・・!」

髪を鷲掴みにして覇気のなくなった無様な顔を見下ろして口角を釣り上げる。
今までずっと邪魔してくれたあの小生意気な顔が今、苦痛に歪んで蒼褪めている。
だが満足なんて言葉は彼の辞書にはない。ますますの絶望を渇望し、舌なめずりは止まらない。

「くっ。図に・・・乗るな!」
「ヒヒヒ、ようやく立ち上がったか?ほら、弓構えろよ。せっかくなんだ、正面からやりあって終わろうぜ?」

だが、ここまでやられて黙っていられるエルピスではない。
彼女は自ら彼が掴む髪をダガーで切り落とすと、渾身で彼の胸を突き飛ばして距離をとった。
動じる事もなく指で招いて挑発してくるマヴガフ。気に入らない気味の悪い笑みに柳眉が釣り上がる。

「ふざけるな!この一撃で終わらせてやる!いっけえ!」

自身がもてるありったけを手先に集めて創り上げた巨大な光の矢。
それをこの至近距離で目にも止まらぬ早業で弓に番えて引き絞り、間髪いれずに解き放った。
轟音が辺りを劈き、闇を飲み込む巨大な光が辺りを真夏の空の如く照らし出す。

「いいぜ、来な・・・ッ。極上の苦しみってもんを味わわせてやるぜ・・・。」

迫り来る神界最強の光。だが、マヴガフは微動だにしない。
それどころか、彼は腰に手を当てたままその光をじっと見つめてにっと笑っていた。
この光に阻まれてきた数千年間。だが、この縁の終わりを告げる祝砲には相応しい。

「喰らい尽せ!ヨルムンガント!頭の先から噛み砕いてやれや!!」

指を弾けば神獣が紫紺の玉と化し、さっと両手を広げた主の指先へと集まってきて、
ごうごうと紫焔を燃え滾らせる短剣を手にしたマヴガフは、相手の絶望だけを命じて解き放った。
獲物を前にうなりを上げて飛び出した短剣たちは大蛇と化して光の矢へと襲い掛かる。
今まで全てを貫いてきた光が、大顎の前にいとも簡単に噛み砕かれて飛び散った。

「うそだ・・・!そんなバカな!なぜ、何故?!」
「答えはあの世に行ってから考えな!死ねッ!死ね死ね死ね死ね死ねェェッ!!」

希望が今目の前で木っ端微塵に打ち砕かれた。
矢を噛み砕いてもなお勢いの止まらないヨルムンガントが牙をむきながら迫ってくる。
信じられない光景に足元がすくんで動けないエルピスは、ただ絶望を受け入れられず叫ぶ。
これ以上ないほどに蒼褪めて、涙を浮かべて泣き叫ぶ顔が堪らない。
マヴガフは悦楽に任せて叫び、僕に命じる。手加減するなと。
飛び切りの恐怖と絶望を大親友の為に用意したのだ。どんな顔をして見せてくれるか、ゾクゾクする。

「ぎゃああああ?!シ、シャニー・・・ッ。」
「どーだ?俺様のペットの牙の鋭さは?イテェかぁ?!イテェだろぉ?!アーッヒャッヒャヒャー!」

ついにエルピスを大顎に捕らえたヨルムンガントが力に任せて彼女を噛み砕いた。
全身に押し込まれる破滅のマナに吹き飛ばされ、叩きつけられる。
だがそれでも許してくれず、ぐったりと倒れこんだ彼女の許へ飛び込んできた大蛇は
獲物を貪り何度も何度も噛み砕いてはマナを奪い取り、久々の美味に踊るように体躯をうねらせている。
その姿、そして宿敵の死に塗れた色のない瞳を見下ろして、一人悪魔が哄笑で世界を劈いていた。

「安心しな、しばらくしたら動けるようになるわ。
 いやぁ~、あのままダイモニオン・エムブレムが起動したままだったらどーなってたか俺様自身もわかんねぇけどなぁ!ヒッヒ!」

マナをすっかり絞りきられ、散々悪神のマナで噛み砕かれた体はもはや感覚がなく食いちぎられたかのようだ。
それでもエルピスはまだ生きていた。未だ完成していないダイモニオン・エムブレムの魔力が尽きたことで、彼女は事なきを得ていたのだ。
だが、これさえもマヴガフにとっては想定内のことだったようで、
彼は屈み込むと髪を鷲掴みにしてエルピスの血まみれの顔を舐めるように見下ろした。

「テメェらにはまだもう少し俺様の役にたってもらわないといけネェんでな。まだ殺しゃしねえよ、マダな。
 全てが終わったら、ゆっくりその皮引ん剥いて俺様の部屋に飾ってやるぜ。ケヒヒ・・・ヒャーッハッハッハッハ!」

無反応な顔に唾棄して地面に叩きつけると、土足で踏みつけて勝利を叫ぶ。
まだまだ与え足らない絶望はメインショーのときにとっておき、彼は快哉を叫びながら闇へと消えていくのであった。
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