FC2ブログ
現在の閲覧者数:

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←12話:調和の善 →14話:打ち込まれた楔
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  • 【12話:調和の善】へ
  • 【14話:打ち込まれた楔】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter17 悲壮なる叫び

13話:大魔法師ルネア

 ←12話:調和の善 →14話:打ち込まれた楔
 ルセンでの戦いから1週間程度経った。
その後南進した帝国軍であったが、彼らが白の騎士団の消息を特定することは出来ず、
膨大な軍事費を投じた割に手がかりと言う手がかりも浮かび上がって来ずに、
加えて繁栄の象徴であるルセン橋梁を破壊したことでアルトシャン政権への文官批判が高まっていた。

「ルネア様、ルアス城よりアルトシャン総統がお越しです。」
「アルトシャンが・・・?ふむ、分かった、通せ。」

アルトシャンもまた、高まる批判に焦りの色は隠せずに訪れていたのは司法院だ。
彼の登院の知らせを聞き、首をかしげているのは最高司法官にして大魔道師の二つ名を持ち、帝国で知らぬ者はいないルネアだ。
ローブで顔を隠しその表情をうかがうことはできず、これだけの有名人でありながら素顔を知る者は誰も居ないという。

「ルネア、もう一度希光に指名手配令状を発して欲しい。罪状を追加してな。」
「令状だと?私は詰まらぬ遊びに付き合っている暇はないのだがな。」

ルネアの部屋へと通されるなり、ツカツカと軍靴で石床を叩きながら早足で歩み寄ったアルトシャンは
挨拶も適当にいきなり本題を振る。机で書類の処理をしていたルネアは突拍子も無いアルトシャンの様子に思わず手を止め、
うんざりだとため息をついてきた。彼は机の上にある書類の山を手に取ると
もうこれ以上仕事を増やすなと言わんばかりに見せ付けてまるで取り合おうともしない。

「遊びではない。私は神の啓示に従って行動しているまでだ。お前も共に聞いただろう。」

神からの啓示。このままの進化の方法では国は、世界は破滅の道を辿る。
世界の趨勢を握る帝国の意志を司る者として、世界の行く末を見極め導く事を神より仰せつかった。
あれが夢ではないことを証明する人物が今目の前にいる。だが、彼の表情はローブの下に隠れて口元しか見えない。
その口元も、いつも通り無表情でまるで感情がないかのようだ。

「もう少し出来るものと思っていたが・・・見当違いだったか。」

そして突然に漏らされる独り言。ルネアの独り言は誰もが困惑するものであり、
目の前に誰がいようとも自分の世界に入ってはぶつぶつ口にして自身で納得してしまうので会話にならないのだ。
今回もなにやらため息をつくと、アルトシャンの面前であるにもかかわらず席を立って窓辺へと歩いていってしまう。

「まだ終わりではない。包囲網は着実に包囲を絞りつつある。」

何とか作戦の成果を説明して承諾を取り付けようとするアルトシャン。
これ以上のシャニーたちの好き放題を許していては民に示しがつかない。
しかし、聞いているのかいないのか、ルネアは窓の外に輝く太陽を見上げて睨むばかり。

「だが・・・このままではますます・・・。」
「そうだ、このままではますます破滅へと近づく。頼む、急いでくれ。」

またいつも通り独り言が始まった。彼の独り言はいつでも意味不明であり、
一体何を考えているのかなどまるで誰も分かったものではない。
だが、アルトシャンは知っていた。どれだけ自分の世界に入っていようとも、
彼が人の話した言葉を聞き漏らすことはないことを。独り言に無理やり繋げて彼の注目を奪う。

「ふむ・・・。だが、お前達の破壊活動は看過できないな。」

思ったとおり、ルネアは話はちゃんと聞いていたようでアルトシャンの訴えに振り向いてきた。
だがそれでも、素直に承諾することは無く、それどころか政権の失敗を指摘してきた。
もう文官から何度も指摘され続けてきたこと。返す言葉も決まっている。

「やむを得ない事だったのだ。希光は力を取り戻しつつある。」

どんな手段を講じてでも、掴み取った機会を物にしようと作戦を躊躇わなかった。
だが、シャニーは帝国の技術力を遥か凌駕する神界の力を使って見せたのだ。
記憶を失い、力を封じられていたはずが着実に復活してきている。一刻も早い拿捕が必要だった。

「所詮・・・善などという言葉はまやかしということか。」

ぽつりと漏らされる身も蓋もないような言葉。ルネアは心底善神共の身勝手さに落胆していた。
あんな連中が創る人形達だ。それらが叫ぶ善もまた、何と独善で醜いことか。
これだから神界を善神共になど預けられないのである。独善が行き着く先は破滅、これは不変だ。

「それにな、今帝国にとっての脅威は彼女だけではないのだ。」

何とでも言えといわんばかりに、アルトシャンは浴びせられた嫌味に何も返さなかった。
彼は神からの啓示を信じて疑うこともなく、その遂行の為ならいかなる汚名も辞さない覚悟だった。
何とかシャニーを倒さなければ、彼女のおかげで厄介な勢力が増えつつある。
諸悪の根源、世界の病巣を取り除く為にも指名手配が必要である事を諦めず訴え続ける。

「脅威?破壊する側のお前達が脅威と感じるとは何だ?興味がある。」

ところが、ルネアのほうはアルトシャンの語る世界の危機をさほど重大とは感じていないようで、
アルトシャンが指摘する危機よりも、むしろ彼が脅威と感じる事そのものに関心があるらしい。
先ほどまでそっけない対応だった彼が、体の正面を向けてアルトシャンの話を聞き始める。

「ネクロ教だ。奴らは最近善からぬことばかりを企んでおる。」

最初はこちらの命令に腰低く構えていたマヴガフだが、今では見る影も無い。
アルトシャン自身が彼の行動をまるで掴めなくなってきていた。
ただひとつ言えることは、着実に暗躍し何かを企てようとしている事。これは間違いのないことだった。

「マヴガフか・・・。あれは悪神の化身だ。善からぬことを考えて当然だろう。」

まるで他人事のようにあっさりと返すルネアはどうやら期待はずれの内容にがっかりしたようだ。
だが、アルトシャンにとっては気が気ではない。軽く構えるルネアに眉間にシワを寄せる。
もちろん、ルネアは別段軽く構えているわけではなく、嘘をついたわけでもない。ただ、“真実”を口にしただけであるが。

「何を言っている!く・・・奴の開放など、啓示とはいえやはりすべきではなかった。」

神の啓示によれば、善に偏った均衡を修復しなければ世界は破滅するというものだった。
処刑されたマヴガフが目の前に現れて最初は目を疑い、剣を取ったアルトシャンだったが、神は言ったのだ。
善に対抗するためには、この男が必要なのだと。処刑は事が済んでからでも遅くはないが、世界の破滅は迫っている、と。

「開放しようとしまいと、あれがすることは同じだ。お前が後悔する事は無かろう。」

だが、焦りを募らせるアルトシャンとは対照的にルネアの口調は相変わらず低調だった。
どうしてここまで平然としていられるのだろうか。司法院としてマヴガフの行動はある程度抑えているはずだろうに。
それでも感情を抑えて相談する。相手は大魔道師、その気になれば押さえ込める力は持っている。

「培ってきた文化、営み、全てが破壊されてしまう。奴を何とか縛る方策はないか。」
「何故だ?壊れたらまた作り直せばいいだけではないのか?」

ルネアにはどうにも理解できなかった。世界の均衡を取り戻し、世界を破滅から救いたい。
そう願ったのはアルトシャン本人だ。だかたこそ、ネクロ教布教禁止令を配してマヴガフを檻から開放したはず。
それなのに、今となってマヴガフを押さえ込もうとすれば、それは世界の均衡の崩壊を助長するだけだ。
一体何がしたいのか、一貫性のない理解不能な焦燥を前に彼は首をかしげていた。

「本気で言っているのか、ルネア!人命は作り直せないだろう!」

理解に苦しんでいたのはアルトシャンも同じだった。時々、このルネアという男はゾッとする事を平気で言う。
確かに言っていることは単純明快である。だが、それが出来たらのならば苦労はしないというもの。
何よりも、人命を“作る”という表現そのものが飲み込めなかった。娘の一件で辛い想いをしているからなおさらだ。

「世界はお前達だけのものではない。偏りこそが再生の利かぬ破滅を生む。」

どんどんと正論、正論で仕掛けてくるルネアに我慢は限界を超えていた。
人々が傷つき、帝国が滅んでもそれでも均衡は保たれる・・・そんな均衡など無意味だ。
ついにアルトシャンは机を平手で叩きつけて感情なき口元を睨み怒鳴った。

「ではお前は今の状態がいいとでも言うのか!」

あまりの怒りに机の上の書類が飛び散って、風に乗って部屋の隅まで飛んでいく。
それでもルネアの口元はまるで仮面の如くぴくりとも動くことはなく、
指先で飛んでしまった紙切れに手招きしてやると、マナに操られた書類が彼の手元へと戻ってくる。

「面白いとは感じている。侵略と破壊兵器の創造に傾倒する善と絶望と恐怖を降臨させようとする悪。
 どちらも根本は変わるまい。均衡としてはまずまず保たれていると思うがな。」

手元に戻ってきた紙の表を向けると、そこに書かれていたのは錬金術研究に関する報告と使用許可申請だった。
国賊シャニーが見せた神界の力、そして白の騎士団が保有する強大な破壊兵器。
それらに対抗するために更なる技術革新を行い殺傷能力を高めた兵器を開発したらしい。
力で互いを抑制しあう・・・歪ではあるが均衡としては一時期の独善に比べれば遥かにマシだ。

「このままでは希光に、マヴガフに!光にも闇にも蹂躙されて帝国最大の危機を覚悟せねばならん。頼む、早く手を打たせてくれ!」
「なるほど・・・。興味がある。少し観察するとするか。」

ようやく重い腰を上げたルネアの口元が、話を始めてからようやく少しだけ上をむいた気がした。
だが、もちろん彼の口にした興味というのは、アルトシャンたち政権がいかにシャニー達を捕らえるかなどという小さな事柄ではない。
善も、悪も、どちらもかつての栄耀を取り戻しつつある。
今まで争いを避けてきた両者の悪しき均衡が破壊され、あるべき均衡のとり方が取り戻されるのである。
その行く末がどのような未来を生み出すのか、それが楽しみだったのである。

「・・・分かった。令状の手配をしよう。ただし、条件がある。」

机に戻ってきたルネアは静かに腰掛けると、手を組みながらアルトシャンを見上げる。
そこには安堵の表情が見えた。ルネアを説得するのにはいつも骨が折れるが、今回はまだあっさり頷いてくれたほうだった。
ところが、ルネアが続けて口にした言葉に、彼は眉間にシワを寄せる。

「条件だと?」
「シャニー・・・とか言ったか?殺すな。生け捕りにして私の許へ連れて来い。」

どうやらこの世界ではシャニーと呼ばれているらしい。
わざわざ個体を識別する呼び名を分ける理由がよく分からないが、生きていることは確認できた。
ハデスの化身が下界に解放された今、対極を為すもののにもそれなりに仕事をしてもらわねば困るというもの。

「なんだと?!まさかお前・・・また妙な実験をするつもりなのか。」
「貴重なサンプルだ。そのまま殺すには惜しい。」

アルトシャンが驚いたのは言うまでもない。亡き者にせよと神に命じられたシャニーを生け捕りにせよというのである。
大魔術師という肩書きの他に、研究者としても有名であるルネア。
目的の為なら手段を選ばないその冷酷さは、狂気の探求者という二つ名で語られるほどで、
その手の世界では恐れられる存在であり、もちろんそのことはアルトシャンも知っている。
全てが己の探究心を満たす道具としか映っていないルネアが実験に使うということは、それは即ちその者の死を意味する。
その最期は、処刑台にかけるよりもはるかに惨く、残酷である。

「分かった。だが逃がすなよ。では私は会議があるので失礼する。」

生皮を無表情に剥ぐ様な人間だ。彼に目をつけられてはもうシャニーも終わりだ。
リスクの高い条件であったが、アルトシャンはルネアの願いを聞き入れて指名手配令状の発行を申請すると
ツカツカと軍靴で大理石の床を叩いて部屋を出て行った。

「・・・尤も、お前があれを捕まえられればの話・・・だがな。」

寿命が短いせいなのか、人間はどうにも忙しい。特にあのアルトシャンという男はそうだ。
窓の外を見下ろせば、もう彼は馬車に乗り込んであんな遠くにいる。
そんなに急いで何をしようというのか。人間には過ぎた相手だと言うのに。

「何者だ・・・いつまでも隠れていないで出てきたらどうだ。」

興味がなくなったかのようにアルトシャンから視線を逸らすと、
彼は部屋の隅をじっと見つめて隠れたつもりになっている者へ警告を発する。
アルトシャンが怒声を飛ばしているときからずっと、その存在には気づいていた。

「私よ、長くお話ししちゃって、疲れちゃったじゃない。」
「お前か。どうだ?少しは偏倚は収まってきたか?」

ようやくに出てきた女は、明らかにその服装からしてこの世界の者ではない。
放つオーラもこの世界の者より遥かに強力なものを感じさせるその女はハープを手にしており、吟遊詩人であることくらいは見て取れる。
彼女を見るや否や、ルネアは警戒を解いて近づき手を差し出しながら親しい感じで語りはけ始めたではないか。
だが、女は渋い顔をするばかりだった。

「いや、まだね。でも、一時の危機に比べれば好転しているんじゃないかしら?」
「ふむ・・・。ハデスめ、うまくやっているようだな。」

アルトシャンの不安とは正反対の結果に、口元に手をやるルネア。
この世界の均衡の崩壊の原因は分かりきっていた。
とても人間にどうこうできる話ではなく、ただ少し利用・・・いい解釈をすれば協力させただけに過ぎないというのに
どうにも人間というのは理解しかねる生き物である。この世界を創っていくのは人間ではない、神界である。
うぬぼれとでも言えばいいのか、それを彼らは忘れてしまっている。

「でも、ここまで干渉していいの?直接均衡に触れるなんて前例がないことよ?」

いくら神界が世界の理を作るとはいえ、その理の基で世界を作り上げていくのは下界の者達だ。
そこへの過剰な神界の干渉はタブーとされてきた。
下界の者たちの進化と創造は神界にないものを創造する。それに干渉すれば神界の進化に関わるからである。

「何故だ?作ったものが壊れかけているのだ。“修理”するのは当然だろう?」

だが、ルネアは女の不安を理解できないようで首をかしげた。
確かに、神界の進化のためにも下界への過度な干渉は好ましくない。
だが、そもそも世界が崩壊すれば意味を成さなくなるのだ。
原理原則を考えれば当然のことをしているまでなのだ。だが、女にとっては彼の言い草がどうにも気にかかった。
この男は、他の誰よりも下界の者達を道具としてしか捉えていない。

「でも・・・私達はあくまで中立の立場のはず。そうよね?」
「中立ではないか。でなくば、とっくに世界は滅んでいる。」

ハデスを復活させ、そしてエルピスを亡き者にしようと人間界を操って。
どう考えてもその行動は悪神界に傾倒したものであり、中立と呼べるものではない。
だがそれでもルネアは不安を否定した。偏った均衡を修正する為のものである、と。

「元はと言えば・・・エルピスを天外追放などするからこうなる。善だけを下界に置けばどうなるかぐらい察しはついていたはずだ。」

善に偏った均衡となったそもそもの原因が、下界にエルピスを追放した事だ。
今まではまだ、彼女が封印されていたからこそ大きな変化に至らなかっただけの事。
封印が解かれ蘇った今、一方の勢力だけが世界にマナを振りまけばどうなるかぐらい容易く察しのつくこと。
真実から目を逸らし、均衡が崩れつつあると騒ぐ善神共は全く持って無責任なのである。

「でもあの罪科は、神々全ての合議で決定したはずじゃないの?」
「全て・・・?いや、あの場に悪神たちはいなかった。お前もいなかったではないか。あの時から既に、均衡は崩壊していた。」

元々が、中立ではなかった。それを今更中立を保つべきなど、下らない杓子定規に付き合っていては為せる事も為せなくなる。
世界の均衡の崩壊は、もう数千年も前から始まっていたのである。
おまけに、神界の意志によって、である。偏った意志によって歪められた均衡を正すには、
それとは逆のベクトルの力を持って修正するしかないのだ。

「あら・・・そうだったかしらね。そう考えれば、今は善だけでなく一応悪も下界にあるということね。」

下界の者達は悪神と聞くだけで反応し、畏れ、怒り、そして排除しようとする。
だが、世界の均衡を考えた時には、光が欲しいのならばまた闇を生み出すものも絶対必要である事を彼らは忘れている。
光ばかりである事など、ありえないのだ。闇が無ければ、光を光と捉える事はできないのだから。

「そろそろあれにも腰を落ち着けてもらわねば困る。代わりが利くなら放っておくのだがな。
 あれに感化されてこうも均衡に干渉するようになると想定できぬとは。まだ・・・未熟と言う事か。」

聞くところによると、エルピスはその権能を妹に継承したようである。
蘇った熾天使はあまりにも未熟。だがそんなことは関係のないこと。
先代が無駄にした数千年を挽回しようという自覚もなくいつまでも下界で奔放に遊んでいてもらっては困るのだ。
それこそが均衡の崩壊の原因でもあるのだから。
だが、ルネアが一番に危惧し、そして己の無明を悔いていたのは彼女相手ではなかった。

「それは・・・人間のこと?」
「作ってみたらこんな欠陥だらけだったとは。作り直しても良いのだが、あまりに増えすぎた。」

そう、人間達に対してである。自分達が作り上げた道具達がとる行動も想定できず、
神界全体が右往左往するなどあまりにも愚かしい事であり、ルネアは恥じていたのである。
尤も、そう感じているのは彼だけで、他の神界の住民はまたエルピスやハデスに責任を押し付けるのだろうが。

「だが、面白い。不完全な彼らがどのように進化していくのか興味がある。」

恥ながらも、彼は不気味に口元を釣り上げた。想定外の事象こそが、自分達を進化させる。
責任の在り処の追及などという馬鹿げた議論に邪魔をされるわけにはいかない。
彼は窓辺に立つと、まるで神たちを睨むようにして空を見上げはじめた。

「私はもうちょっとも均衡の動向を調査するわ。じゃあね。」

女はふいにすうっと溶け込むようにしてその場に消えてしまう。
再びその場に姿を現したときには、彼女は一司法官としての人間の姿に変わっていた。
そっと部屋を出ると、彼は自ら閉めたドアの向こうで今も神を睨んでいるあろう男に心底身震いして・・・
いやこれから起こる事への武者震いか、ふっと口元に企みの笑みを浮かべる。

「善と悪なんて・・・言葉遊びね。本当は同義なのに。」

善は悪を毛嫌いし、悪もまた善を偽善者と呼んで嘲り笑う。
だが中立の立場で彼らを見ていると、結局目指すものは同じでありその行動も似ている。
ルネアを見ていると特にそう思う。彼はぞっとするような悪を平気で行うが、目的は世界を見つめた善の為。
協力、その一面もあるが、監視と言う一面もある。
最も過激なはずが最も中立なルネアに警戒しつつ、彼女はその場を後にするのであった。
関連記事
スポンサーサイト



総もくじ 3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
総もくじ  3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【12話:調和の善】へ
  • 【14話:打ち込まれた楔】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【12話:調和の善】へ
  • 【14話:打ち込まれた楔】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。