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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter19 泪なき友誼

10話:ダブル・クロス

 ←9話:盲目のレジスター →11話:崩れ落ちた牙城
 その夜、アンドラスは自室で魔道書を広げていたが、どうにもはかどらない。
昼間のサッカーのおかげで足がぱんぱんだった。足をさすっていると外から馬車の音がした。
アルトシャンが帰ってきたのだ。椅子を跳ね飛ばして駆け出し、階段を滑り降りてエントランスで待つ。

「お父様、お帰りなさい。」
「おお、アンドラスか。うむ、ただいま。」

自分の姿を見るなり飛び込んできた彼女を両手を広げて迎え入れると
アルトシャンは愛娘の頭を撫で始めた。この時間が全ての疲れも悩みも忘れさせてくれる。
しばらくそうして、彼女にコートを預けると自室へと歩き出す。

「町の者から聞いたぞ、最近幻騎士は町の者達とよく喋っていると。」
「え?!」

父の眼差しが見つめてきた時、かけられた言葉に彼女はドキンとして背中が凍りついた。
もしかしたらセインがアルトシャンに報告してしまったのだろうか。
明らかに顔が引きつって、どうやって申し開きしようか頭をフル回転。

「えーと、それは・・・ごめんなさい。」

だが、やっぱりどう考えても言い訳なんか出来る話ではなく、素直に謝る事にした。

「何故謝る?まったく、お前は何もないのに謝りすぎる。」

ところが、困惑した表情を浮かべたのはアルトシャンのほうだった。
口元を一つ曲げると、彼女の頭に大きな手を伸ばす。びっくりして目を瞑る彼女だが、やっぱり杞憂だった。

「私は褒めているのだぞ、城で眺めているだけではなく、しっかり町に下りて民の声を聞くことは大事なことだ。」

今まで一度だってアルトシャンが自分を打ったことはない。
だが、サボっていることがばれてしまったのでは仕方ないと思った。いや、サボっているわけではないのだが、
セインはあまり言い風には見ていないようだったし。だが、今回もその大きな手で頭を撫でてくれた。
父の言葉なら自分が間違っていない事に自信が持てる。

「あら・・・そういうことでしたか。はぁ、緊張してなんだか損した気分。」

一気に糸が切れて大きく息を吐き出す。纏っていた軍人の顔はコートと共に脱ぎ今は父としての顔で接していたアルトシャンは
彼女の反応に大きく笑った。今一度彼女を自分の許に引き寄せ、強く抱きしめて頭を撫でてやる。

「だが、だからと言って剣技の稽古をサボってはいかんぞ?」

一つに傾倒するなということを言いたかったのだが、娘の肩が跳ねたのがわかった。
どうやら何か隠しているらしい。彼女はこちらから問わずともすぐにぼろが出るのでじっと見つめてやった。
「さ、さぼってなんかいませんよ!あれは精神鍛錬の一貫で!」今回も例に漏れず、聞いてもいないのにあっさり自白してしまった。

「あれ・・・?アンドラス、一体今度は何をやっていると言うのだ?」
「え?!え、えーと!」

彼女が好奇心の塊であることはアルトシャンが一番知っている。その好奇心があだになっての失敗も今まで数多く見てきた。
何事も体当たりで覚えて行く彼女をじっと見守ってきたが、今回も何か町でやらかしたのだろうか。
アンドラスはパニックだ。父がエスパーか何かに思える。思わず目を白黒させて自身で口を手で押さえ込んだ。
ますますそれがアルトシャンの顔に疑念を浮かばせている事が分かっていない。
「なんでもないです!なんでも!」通じるはずもなく、ますます首を締めるように目線が宙を彷徨う。

「今日も一日幻騎士アンドラスはアスクの繁栄のために悪を倒すべく剣の修行に励むべく・・・えーと・・・。」

ぱっと浮かんだよく会議で並んでいるような言葉を並べてみたものの、やっぱり後が続かない。
結局サッカーをしていたという結論に結びつけられるはずはなく、「・・・もうよい。」と先にアルトシャンがそれ以上を止めさせた。

「お前はすぐ顔に出る。そんな目を泳がせて言ったところで何の弁解にもならん。」

どうにも彼女は嘘がつくのが下手である。おまけに彼女の凄いところは、
あれだけひどく狼狽していたというのに、きっと相手は気づいていないと思えることだ。

「うう・・・ごめんなさい。」
「まったく、お前は本当に嘘をつくのが苦手な子だ。」

父にため息をつかれて罪悪感がどっと押し寄せてきた。がっかりと肩を落とす。
素直の塊のような性格であることはよく分かっているが、外に娘一人を出して大丈夫か不安になるのはここが問題だ。
嘘をつけないのと、つかないのでは意味が違う。要するに、相手の嘘を見破ることが出来るかに繋がるからだ。

「もちろん正直なことはいいことだが、戦術的な嘘を使えるようにならなければ困るぞ。」

彼女が村娘や箱入りのお姫様ならいい。困るだけで済むし、いざとなれば周りがすべてやってくれるからだ。
だが、彼女は将来のオーレイル家を、そしてアスク帝国を引っ張っていく立場だ。

「せんじゅつてきな?」

父が発した難しい言葉にきょとんとしながらイントネーションがおかしい言葉を口にする。

「左様、敵を欺くための言わば必須の技術だ。」

嘘をつくことは良くないことだが、長には相手の嘘を見抜き、そして策を見破る頭の回転が必要だ。
彼女は頭は悪くない。だが、他人を信じ切って分析をしようとしない。これは軍人としては致命的なことだ。
昔はそれでもよかったが、彼女が次のステップに移る必要を軍の長として感じていた。

「お前の場合は逆に敵の戦術にころっと引っかかる危険を心配せねばならん。」

彼女の場合は特に前例があるから心配なのである。そう、マヴガフである。
甘い言葉をかけられるとついつい、ついて行ってしまう。次同じことを起こすわけにはいかない。
その為に彼女には自覚を持ってもらいたいのだが、彼女は笑って見せた。「うふふ、それほどでもありませんわ。」

「褒めてなどいないぞ。」

また彼女の早合点が出たのかと、アルトシャンは眉間にしわを寄せた。
ところが、その渋い顔を見てアンドラスはウインクしてきたではないか。
事情を呑み込めないでいると、「こういうことでしょう?敵を欺くには味方からって!」得意顔を見せて来た。

「はは、これは一杯食わされたな。」

まさか彼女がこんな手を使ってくるとは思ってもいないかった。
やはり親が心配しているよりもずっと娘はたくましく成長しているのかもしれない。
セインには良く彼女が町にふらつきに行って困ると直訴されるが、彼女の成長の源が民であることは間違いないようだ。

「だが剣帝のこの私を欺こうとはなかなか相手が悪かったな。」

彼女の頭を撫でてやると、小さく舌を出して笑ってきた。やっぱり娘は可愛い。
血の繋がりなど一度も意識したことはない。だからこそ、彼女が町で何をしてきたのか気になる。

「で?今日は一体町でどんな笑い話を作ってきたのだ?」
「笑い話なんてそんなひどいです!」

アンドラスの顔を覗きこんでやると、彼女は珍しく頬を膨らせて見せてきた。
全然信じていない父の顔を見るや、「私は子供たちにいろいろ教えに言ってたんですよ!」と成果を主張する。

「ほう、具体的には?」
「ぐ、具体的?!え、えーと・・・。」

思いもよらず父が話しに食いついてきた。だが、そうされると困ってしまう。
余計に言えないではないか。ドレスのままで子供達とボール遊びをしていたなんて。

「孤児院から幻騎士のはしゃぎ声がしていたと聞くが、よっぽど教育に熱が入っていたのか?」

彼女の反応から、何かしらあることは優に想像できる。
だがもちろん、それだけではない。他の騎士から既に、アンドラスが孤児院にいた事の報告を受けていた。
“味方から欺く”その術を拝見しようと思ったのだが、どうやらまだまだのようだ。

「そ、そんな大声出した覚えはありません!ええ、きっと熱が入っていたんです。」

またしても目が泳いでいる。一体何を隠しているというのだろうか。
だが彼女のことだ。おおよそこのことは予想がつく。悪いことをしていたわけではないことは分かる。
彼女の反応が面白くて、アルトシャンもちょっとばかり揺さ振ってみる事にした。

「シュート!などと一体何の教育をしていたのだ?」

ドキンと彼女の肩が跳ね上がり、目がまん丸に見開いてアルトシャンの顔を見上げた。
まるでお白洲で悪行がばれた罪人かのようで、アルトシャンは一つ口元で笑って見せた。

「うう、降参です。子供達とサッカーをして遊んでしまいました。」
「やれやれ、最初からそう言えばいいものを。」

これ以上は誤魔化しきれないと悟ったのか、アンドラスは大きく息を吐き出すと首を折って白状した。
やはり大したことではなく、アルトシャンもつまらないというかほっとしたというか、ふうっと息を吐き出しながら
娘の頭に手をやって静かに撫でてやった。

「私は別に怒りはせぬぞ。もっと民とふれあい声を聞くのだ。」

セインの言い分も分かるが、彼女以上に今民の声を吸い上げられる者は居ないことは分かっていた。
それは民から捧げられる彼女への信頼の声から一目瞭然である。
彼女には彼女にしかできないことがある、今は目を瞑ってもっと大事なものを守ってもらうつもりだった。

「はい、そうするように心がけているつもりです。セイン様もお父様と同じことを仰って褒めてくださいました。」

彼もどうやら口では文句を言っているものの、本質は分かっているようだ。
ますます彼に同情するしかなく、今度始末書を持ってきたら、もうアンドラスのことで提出しなくていいことにしてやろうかと思った。
いい部下に恵まれた。そうアルトシャンは嬉しくて、娘の頭を今一度優しく撫でる。

「いいか、決して城の中で全てを決めようとしてはならない。
 どんな決め事も、民と話をして決めていくのだ。作られた決まりに縛られるのは、作った者ではない、民なのだからな。」

いつでも机上で全てを決める文官が嫌いな理由はここにあった。
彼らは今の自分の政策を批判するが、彼らと同義に語られるのは心外だ。
目の前を見れば確かに厳しい道かもしれない。だが、帝国の永久不滅の繁栄を目指すにはやむを得ないことだと確信していた。
民の不安が膨れ上がっていることは否定できないとしても、それを机上ですべて片付けてはいけないと己の信念を娘に伝承したのである。
今日も午後は帝都のホールで有識者らと討議会を行ってきたばかりだ。

「はい、お言葉しっかりと胸に刻み軍務を全うしていきます。」
「お前は本当に素直な子だ。」

父の熱い眼が語る心構えを、アンドラスは金言として受け止めて敬礼して見せた。
その彼女にふっと笑って見せると、「私の世界で一番の宝物、どこへ出しても自慢できる娘だ、自信を持って歩むのだぞ。」と
剣帝の太鼓判を押してしっかりと頭を撫でて抱きしめてやった。

「ありがとうございます。」

一番幸せなときだ。父にこうして抱き占めてもらえる時間が。
だが、今日は抱きしめられてもアンドラスの顔は曇っていた。「何だか今日のお父様はいつもと違うみたい。」

「そうか?いつも通りだが。」

ふいに彼女が口にしたセリフに、アルトシャンはまるで身に覚えがない様子だが
彼女は不安げな表情でアルトシャンを見上げると、抱きつく腕を強く父へと巻きつけてきた。
「どこへも行ってしまわれませんよね?」怯えたような声で妙な事を聞く。

「何を言っているのだ。」

そういう年頃だからなのか、瞳が震えだした彼女の杞憂をふっと笑い飛ばす。

「どこへも行きはしないさ、アスクが在り続ける限り、私には国を守る責務があるのだからな。」

今一度強く抱きしめてやり、背中をポンポンとさすって落ち着かせてやる。
ようやくに怯えは収まってきて、彼女は重い心の内を吐き出し始めた。

「自信を持って歩むのだぞって・・・なんだか私その言葉に寂しさを感じました。」

父の胸をじっと見つめながら、どこへも行かないで欲しいでも言いたげに愛おしげに手を添える。

「なんか、お父様がどこか遠くに行ってしまうような。」

ドキッとしたのはアルトシャンのほうだった。やはり彼女は感受性豊かな女性だ。
こちらにその気がなくとも、深層心理を読んでしまう。
気をつけねばと自身を戒め、「何を言っている」と笑い飛ばした。

「そういうところは邪推するのか。」
「い、いえ、そういうわけではありませんが。」

怪訝な眼差しを注がれて、アンドラスもビックリしてそれ以上を喉の奥にひっこめた感じだった。
だが、その表情は間違いなく納得した様子ではない。もう一度頭を撫でてやる。

「安心せよ、お前を置いて何処にもいくつもりはない。」

その強くはっきりした言葉を聞くと、彼女はまっすぐに見上げて来た。
逸らすわけにはいかず、じっと見つめ返して微笑んでやるとようやく彼女の顔からもこわばりが消え、
「ああ・・・よかった。」と安堵をため息とともに吐き出した。

「何か思い当たる節でもあるのか?」

あまりに彼女の言葉が意味深で、今度はアルトシャンが不安になってきてしまった。

「最近お父様もセイン様もひどく悩んでおられるように見えて・・・。」

前から彼女は父である自分のことを本当に心から心配してくれていた。
彼女を安心させてやりたいのだが、政策は日進月歩で問題は山積。その中で見せまいとしても疲労が滲んでいるのだろうか。
どうしても彼女相手には誤魔化すことが出来ないらしい。大丈夫と言う代わりにふっと笑いかけて頭を撫でてやる。

「私はともかくセインがか?何か言っていたのか、あいつは。」

だが、彼女は家族だけではなく上司の異変にも気づいているらしい。
自分には悩みなど吐き出さないセインだから、間接的にでも彼の悩みを知れるのならいい機会だ。
彼女の推測にすぎないが、彼女の人を見つめる瞳は確か。聞いてみることにした。

「今日も私を探しに孤児院までお越しになったんです。」

それはお前がふらふらしているのを捕まえに来たのでは・・と喉まで出かけた。
だが、その直後「で、私に指輪をはめてみてくれとか。」とアンドラスが続けたものだからカッと顔に朱が上った。

「何い?!あやつめ、娘に手を出したら容赦せんぞ!!」

目の前にいるわけでもないのにセインに怒鳴る。アンドラスにも父が色恋沙汰と勘違いして、
セインの悩みも恋の病だと思い込んでいるのが分って、苦笑いしながらなだめにかかった。

「落ち着いてください、お父様。違いますから。」

我ながら恥ずかしい一面を見せてしまい、咳払いして間を仕切りなおすアルトシャン。
それを娘がふふっと笑うものだからばつが悪い。だが、その後にアンドラスが告げた事実に
アルトシャンは眉間にしわを寄せることになる。

「セイン様がお貸しくださったのは何か妙なものでした。こう・・・体中のマナが指輪に集まって膨らむ感じ・・・。」
「なんだと?!」

その特徴は紛れもなく、一つの真実以外を選択から吹き飛ばした。
トパーズ・・・そう、神界の力を秘めた熾天使のみが扱うあの人智を超越した光。

「アンドラス、その宝石は黄金色の立派なトパーズではなかったか?」

目の色を変えた彼は、アンドラスの両肩に手を置くと瞳を覗き込むようにして問うた。

「え?何でお父様がご存じなんですか?」

これから宝石が凄く大きくてキレイで欲しかったと話を広げようと思っていたのに、
それを先に父が言ってしまうものだから、きょとんんとした彼女だったが、あっと手を打つと指を立て
「あれはお父様のだったんですね?」と推理を働かせてきたが、返す言葉が浮かばなかった。
「・・・いや、何でもない。」信じられない事実を前に、アルトシャンは一度視線を切った。
これはあまり話を大きくしない方が良い。彼女が周りに話を広げないようにする必要があった。

「で、セインはお前に宝石を嵌めさせて何か言っていたか?」

不思議そうにのぞきこんでくる彼女をじっと見つめる。問うと彼女はますます顔を不安げにするが仕方がない。

「私が指輪からマナを放出させたら、セイン様は目の色を変えられていました。」

もはやこれはどう曲解してもセインが持っていたもの、そしてやろうとしていたことは一つの真実以外の何物でもなかった。

「指輪を嵌めたら、マナが凄い膨らんだんです。その膨らませ方を教えてくれって。」

このまま彼の思惑通りに進んでしまってはまずい。うかつだった、まさかアンドラスで試すとは。
“ヤツら”に神界の力が渡ってしまえば、世界の破滅を食い止められなくなる。頭の中が真っ白になる。

「で、やり方を教えたのか?!」
「お父様?」

思わず掴んでいたアンドラスの肩へさらに力を込めてしまう。
今までそんなことをされたことの無い彼女は、父の動揺に目を見開くが、
はっと自身に気づいたアルトシャンは申し訳なさそうに手を離し、「すまん、セインに教えたのか?」と優しく聞きなおした。

「いえ、やり方と言われても指輪をはめただけでしたのでこっちが聞きたいくらいでした。」

父の質問に眉をひそめながらいかにも困った風な表情を浮かべる。
一体どんな答えを期待しているのか、あの時は本当に気まずかった。
じっと瞬きもせずにセインが見つめてくるものだから、視線も逸らせなかったのだ。
「そうか・・・。」とりあえず、最悪の事態だけは避けられたようでアルトシャンは内心胸を撫で下ろしていた。

「いいか、アンドラス、それは軍事的な極秘アイテムだ。決して口外してはならんぞ。私以外、もちろん・・・セインにもだ。」

アンドラスは暗喩が効かない強敵だ。「はい、分かりました。」ストレートに伝えて聞かせる。
素直に頷く彼女だが、アルトシャンは彼女のほうを向いていながらその眼差しは窓の外をじっと睨み付けている。

「あ、お父様、お夕食を先にとられますか?」

彼女も父の変化に気付いているらしい。何とか会話をもって聞こうと試みたのだが、
彼はしばらく外を見つめていた後、何かを思い立ったかのようにツカツカと早足で部屋へと向かう。

「いや、一仕事してから風呂にする。」
「・・・お父様?」

いつも自分が食事を誘って断った事はなかった。それだけでも異変を察するには十分すぎる。
呼びかけにも振り返ることもなく部屋へと消え、中からは音も聞えない。

「・・・どうしたのかしら。宝石の話をしたら血相を変えられたわ・・・。」

軍事機密、それが意味するものが何なのかはアンドラスも知らなかった。
総務、諜報、それら機関にも顔が利く彼女ですら知らない謎はすぐさま不安を胸中に湧き上がらせていた。

「・・・まさかそんな身近にいたとはな・・・。」

だが、最も驚愕し、最も憤怒し、そして最も絶望したのはアルトシャンに間違いはなかった。
彼は閉めたドアの前で動く事ができず、体重をドアに任せて今にも崩れそうだった。

「いや、もう少し探る必要があるだろう。」

最重要事項だ。どんな結論がでようとも根拠を固める必要がある。
彼はコートの内から魔信機を取り出すと手早く番号を入れ、電話口に出た人間に開口一番告げた。

「私だ、至急用意して欲しい情報がある。」
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