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 ←1話:ダブル・ジョパティー →3話:ゲイルの全て
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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter20 進撃のアブソリッター

2話:最高司法官ルネア

 ←1話:ダブル・ジョパティー →3話:ゲイルの全て
 それから十分ほど経った。四方が白を基調に作られた厳かなつくりはルアス城を思わせるが
その厳かさと静寂さは明らかに雰囲気が異なり、重く身が引き締まる。
ここは司法院だ。世界の理を司り、世界を裁く門番である。その一室で無表情に空を見上げる男がいた。

「均衡は未だ崩れたまま・・・。封印された身とは言え・・・楽しみすぎではないか?」

やや勢いを失った濃い緑の髪はそれほど手入れされているとは言えない。
サングラスの下のまなざしは見て取れず、よく分からない独り言を繰り返していた。

「自ら作り出したものにこうも手こずるとは・・・まだまだ未熟と言う事か。」

誰か語りかけているのか、それとも自分自身に対して発しているのか判断がつかないような静かな口調。
だが、間違いなく濃い紫に染まったサングラスは空を見上げ何かを睨んでいる。

「だが・・・・。そろそろ完成させてもらわねば困るぞ。奴が覚醒する前にな・・・。」

彼はこの四方を壁に包まれた無音、無風の場所から世界を“観”ていた。
場所が変わっただけで、昔からすることは変わらない。世界を“観”て、未知を我が物としていく。
今回も同じだ。知ろうとしている未知が少々、これまでのベクトルと異なるだけで。

「貴殿がルネア最高司法官か?」

その時である、ふいに背後から声がした。先ほどからその存在には気づいていたが
まさか自分の下へ来るとは思っておらず、後ろ目にその姿を捉えて振り向いた。

「ん・・・?お前は確か、シャスの・・・。」

確かに一つの鍵を持つ男がそこにはいた。だが、「あの男」によれば、彼が持つ鍵などまるで干渉度合いは低い。
なるほど、実際に見てその意見への反証は見えてこない。
遊んでいるように見えて、一応判断は合理的なようだ。行動がそうかは別として。

「私の名前はセイン=ルードヴィッヒ。ルアス騎士団第一部隊部隊長だ。」

懐から騎士団手帳を取り出す。大きな金の勲章が施されたそれは軍の上位幹部である事を意味する。
だが、ルネアにとってはそんなものは飾りに過ぎず、挨拶を返すこともせずに視線を逸らしてしまった。

「・・・そうか、そうだったな。まったく、区別しなければならないのも疲れるものだ。」

無駄な事ほど疲れることもない。だが、これも未知を手に入れるためとため息と共に愚痴を吐き出した。
言われたほうとしては首をかしげるしかないが、早速手強さの片鱗を見た気がした。

「区別だと?まぁいい。今回は貴殿に相談があってきたのだ。」

「この」世界で「あの」者達を思い起こさせるような言葉は慎まなければならない。
― あのクソ共が嗅ぎ付けたらウッゼェからなァ。
あの男の意見は全くその通りだが、無駄としか思えない。
彼らはその気になればどのような手段に出てでも執行するだろう。メントの時のように。

「あれが見込んだ相手とは言え・・・所詮はやはり期待できるものではないということか。」

それよりも今は、知った未知に対する失望だった。シャスが認めて交わった男。
それほどの男ならどのくらいの力を秘めているのか、どれ程干渉できる鍵を持っているのか楽しみだったが
横でまくし立てる人間を見る限り、想定の1割程度といったところか。

「一体何を言っている?私の話を聞いているのか?」

ぶつぶつと漏らされる独り言。サングラスの下の視線をうかがい知れず怪訝な眼差しを送ったセインだったが、
まだまだ語り足りず、一方的に話を続けていく。だが、ルネアにとって彼の主張はそよ風に等しいものであった。

「この程度で手こずり均衡を乱すとは・・・善も悪も・・・さほど進化できてはいないな。」

あくまで自分自身は中立の立場であった。むろん、均衡を監視する役目を担っているからということもある。
だが、どちらにもつかない理由はただ単純に興味がないからだ。
彼らの進化は下界の進化がなければ起こらない。ならば下界を観ていた方がよほど未知が多い。
それが証拠に、数千年経っているというのに神共が下界をコントロールできているとは言い難い。
いくらハデスが暴れていると言っても、その為の“番犬”を放ってあるはずなのだから。

「修理では利かぬか・・・やはり・・・創りなおした方が・・・。」

これだけ時が経って何も変わらぬという事は、そもそもの“設計”がおかしかったと疑うしかない。
しかし、問題なのはどうして設計が狂ったか、だ。最初は完璧だった。下界が“変えた”ということなのか。

「いや、均衡を再び定義するよりは合理的・・・か。だが・・・これは興味がある。」

まだまだ未知は多い。己の未熟さを噛みしめるルネアだが、その口元は笑っていた。
面白い、設計にない未知がここまで狂わしたのだ。ただの“養殖場”だった場所をここまで変える何かが。
それを追求しようとしたとき、目の前を突然に隠されたかのような感覚に陥った。

「聞いているのか!ルネア最高司法官!」

横から凄まじい怒声が響いてきたからだ。「あぁ・・・まだ居たのか。」と気のない返事を返したものだから
セインの眉間にしわが寄って更に剣幕を鋭くしてくるが、彼は次の言葉を飲み込んだ。
「で?言いたいことはそれだけか?」もう1回言ってくれとでもいうかと思った。
だが、それならまだ百歩譲って許してやるが、聞いたことにして流そうとはどんな人間だろうか。

「何を言っている、今貴殿はまるで私の話を聞いていなかったではないか!無礼にもほどがある!」

今でさえも、ルネアは窓から外を見上げたままこちらを見ようとはしないのだ。
ローブの下に光るサングラスと言うよりゴーグルに近いそれは横からでさえ彼の眼差しをうかがうことを阻む。
ついに堪えきれなくなって正面に回り込もうとした時だった。

「・・・ダブルジョパティーを撤廃して欲しい。お前の言いたいことはこうであろう?」

一瞬、セインの動きが止まりすぐに驚きが目に伝わって見開かれた。
明らかに自分の世界に没頭してこちらの話などまるで聞いていなかったはずなのに。
まるで耳が3個も4個もついているかのような反応に、セインは咳払いして姿勢を正す。
「・・・ちゃんと聞こえていたならそれでいい。」驚きを隠せない彼だが、むしろなぜこんな当然のことで驚くのかと、
ようやく正面を向いたルネアの眼差しはそんな疑念を滲ませている。

「撤廃まで行かずともいい。マヴガフを取締れるように例外規定の附則を施行してくれ。」

だが、相手の疑念とも、好奇心ともとれるまじまじとした眼差しに付き合うこともなく、
単刀直入に相手に用件を伝える。また、自分の世界に入ってしまう前に。

「残念だが、それはできないな。」

ところが、相手の答えは実にさっぱりとしたものであった。
理由も告げられないまま、ただ否定だけを残してルネアは立ち去ろうとしている。

「何故だ、マヴガフがどれだけ法の抜け穴を使って悪事を働いているか、司法院とて知らぬわけではあるまい。」

下手をすれば、帝国の諜報部よりも多くの情報が舞い込んでくる場所だ。
あの悪の権化がしてきたことはルネアに対しては筒抜けのはずだった。
それを放置・・・いや見て見ぬ振りをしていること自体がセインには理解できない事だった。

「何故・・・面白いことを言う。むしろ私は、お前のその感覚に興味がある。」

振り向いたルネアのサングラスが日を受けて光った。
だが、彼の目がみているものはすでにマヴガフやダブルジョパティーに対する議論ではない。
「面白いだと・・・?」すぐさまセインは眉間にシワを寄せた。

「私は遊びでこんなことを言っているわけではない!」

おちょくっているのだろうか?まるで話に取り合おうとする気がないようにさえ見える。
だが、相手の顔は真顔そのものであり、僅かな興味だけがこちらを振り向いている。
意識の大半はまるで別にところにある、そんな気がしてならない態度に怒りを隠せない。

「遊びではない。整理して考えれば結論は1つでしかないはずを、お前達はまるで別の答えを導き出そうとする。」

セインの怒りに対しても、ルネアは疑問を返してきた。何故怒ることがあるのか、まるで理解に苦しむ。
だが、だからこそ興味がある。未知、そう理解できない事が目の前にあれば何でも良いのだ。

「ひとつしかない?マヴガフを取締ることはできないというのか!」

間接的に、マヴガフは無罪だといわれたようなものだった。
それが他の誰かなら別にいい。だがルネアは最高司法官、彼の言葉は法そのものなのだ。
目元に怒りを深く刻み付けて睨み怒鳴るが、その怒りも「やはり興味深い。」その一言の前に全くの無力をさらす。

「進化に必要な事かもしれん。もっと見せてくれ、お前の考えを。」

やはりどこか馬鹿にされている気がしてならないのだが、ルネアは完全にこちらに振り返ってきた。
どうにも釈然としないまま、セインはこの機を逃すかと怒りを押し込めて説明を始めた。

「マヴガフは多くの者を死に追いやってきた。ミルレスを占領して邪教を広げ、
宗教で得た不正な金を市場にばら撒き、各地でマナの異常現象を引き起こしている!」

どれでも許されないことばかりだ。ただひとつであろうとも許すことはできない。
だが、彼には心と言うものがないのだろうか?ルネアの口元はまるでピクリとも動かなかった。
サングラスの下の目が一体何を見ているのかは、言うまでもない。

「おまけに創造の錬金術で人間が踏み入ってはならない命の創造と復活を手中にしようとしている!」

どうにも反応が薄すぎて、セインは切り札を使わざるを得なかった。
まだ帝国として確証は掴んでいない、だが確実な情報を。
体を乗り出し、相手の目を串ざしにするぐらい睨みつけて事実を叩き着けたが、相手の眉が歪んだのが見えた。

「・・・それがどうした?ダブルジョパティーの撤廃とどう関係がある?」

まるで硬い岩に剣を打ち付けたように・・・いや、得体の知れない液体を剣で切り裂こうとしたかのように、
何を言ってもルネアの心は動かせなかった。無味無感動に彼は疑問だけを口にして腕組みを始めた。
「なんだと?!」まさかの反応に思わず声を荒げるセイン。

「奴はこれほどの重罪人だ。これを法が裁けなくて法は何を裁くというのだ。」

どこから何を見ても悪人であるあの男を裁けないのなら、法などという飾りは不要、そこまで言ってやりたかった。
だが、ルネアを敵にまわしては道は閉ざされてしまう。ぐっと怒りを飲み込んだ。
何を、という質問に対してやっとルネアが答えを返してきた。
「お前は何か勘違いをしているようだ。」だが、それもまたどこかよく分からない一言だけ。
彼はセインの許を離れて窓辺へ向かうと、町並みと対峙しながら視線だけ戻してきた。

「法が定めるものは制裁ではない、基準だ。」

一体何を言っているのかよく分からなかった。ではマヴガフは基準内だというのか。
それまで威勢のよかったセインが回答に窮していると、また独り言のような声が聞こえてきた。

「宗教行為へ司法は容易に介入せん。信教の自由を犯すことになるからな。
そのほかの行為についても、ダブルジョパティーそのものではなく、マヴガフを罰したいが為の議論に過ぎん。」

殺人については、マヴガフから手を出した案件はひとつもなく、全て正当防衛だというのだ。
忌々しい苦笑が脳裏に浮かぶ。これではあの男の思う壺だというのに。
ロクに話も聞いていなかったはずなのにあっさり意図を見破られて、苦し紛れにセインは脅すように叫んだ。

「しかし、マヴガフをこのままにしておいても良いのか!」
「そうした個人の怨恨から個人を守る為の法が、ダブルジョパティーだ。」

まるであらかじめ用意でもされていたかの如き、模範的な答えが返ってきてしまった。
話に取り合っていないように見えて、ルネアはあくまで理詰めで話をしてきていた。
だからこそ“興味がある”のである。理論では到底説明できないことを、セインがさも正論の如く訴えかけてくるから。

「怨恨ではない!このまま奴を放っておけば、命の尊厳さえ危ぶまれるのだぞ!」

法の存在意義の中には、人を守るためという側面もあるはずだ。
今それが、ダブルジョパティーという愚法のために阻害されている。
今マヴガフを押さえ込めなければ、もう手がつけられなくなるのは目に見えているというのに。

「創造の錬金術・・・とか言ったか?人間が踏み入ってはならないと誰が決めたのか?」

さも全てが見えていると言わんばかりの主張が続くセインに、ルネアはため息をつきだした。
そして、セインにとっての切り札でもあった錬金術に対しても、反応は冷ややかだ。

「決める決めないの話ではない!神のみに許されたものとイア様も説いておられる!」

「イアだと?」名前を聞き返すその声は、語尾に含み笑いが篭められていた。
確かによく見ているほうだ。だが、それはあくまで“人間としての”観測に過ぎない。

「法は・・・少なくともそんな基準は定めていない。」

現に、彼は人間共自らが作り上げた“法”の趣旨さえも理解できていないのである。
人間達にとって見れば神の一人であるイアの言葉は絶対かもしれないが、
理にとってはイアが言ったところで、そんな事は知ったことではない。

「命など所詮作り物だ。誰が作ろうと・・・作り物には変わらん。」

にわかには信じがたい言葉にセインは耳を疑った。法を司る一番の要人の発言とは思えない。
個人の尊厳を明らかに脅かす行為だというのに、彼は創造の錬金術を否定しなかったのだ。
「ただ・・・出来が違うだけだ。」それどころか、ふっと笑みを浮かべたではないか。
何を考えているのかまるで読めない口元は、ある意味マヴガフと同じ、いやそれ以上の狂気を感じさせる。

「本気で言っているのか?!」

傍にあった観賞植物の幹へ拳を打ち付けて激しい怒りをぶつける。

「このまま命の創造が進めば生物兵器としてマヴガフが悪用するのは目に見えている!
そうなれば帝国の未来に・・・いや人類の未来が破壊されるのだぞ!」

本当にコイツは帝国に仕える者なのだろうか。まるで国の未来になど興味はないかのような態度。
それでいて彼が口にしたのは、新たな未知に対する興味だった。
もちろん、国の未来に対してではない。むしろ、それの滅亡を待望するかのような言葉。
「破壊?面白い、興味がある。」この一言には、セインも耳を疑い何度も頭の中で確認した。

「滅亡の瞬間はなかなか観察できぬからな。」

彼は今、確かに滅亡と口にした。不朽不滅を目指す中、彼はそれとは真逆のベクトルに興味を抱いているのだ。
これはいくらなんでも、冗談で済む話ではない。「真剣に話をしろ!」下手をすれば背信だ。

「これは冗談ごとではない!マヴガフは本気だ!破壊されてからでは遅いのだ!!」

ルネアに詰め寄り、剣のごとき鋭い眼差しでサングラスを睨みあげる。
だが、彼はさも煩そうにローブで頭をすっぽりと包んでしまった。正面さえも包むそのローブには、
不気味な文様が描かれて、それを見つめているとまるで心を覗かれているかのような錯覚に陥る。

「冗談ごとではない。言った筈だ、作りものだと。」

背を向けたルネアはそれだけで語っていた。否決、もはやこれ以外に回答は他に唯一つとしてないことを。
それでも納得できずに背中に向かって焼けるような怒りをねじ込んでくる視線に向かい、
ローブに描かれた顔のような紋様が語りかけてきた。「壊れたのなら、また作ればいい。・・・簡単な話だ。」

「もういい!私は失望したぞ!法では民を守れないという事がよく分かった!」

悔しさと憤りをありったけ、ルネアの後ろ目にぶつけてやった。
法のせいでシャニーはいらぬ悲しみに突き落とされ、法によってマヴガフは守られて。
この理不尽をどう説明するつもりか。だが、ローブの顔面に描かれた巨大な赤き眼はじっとセインを見つめるだけ。
これ以上は無意味とようやく諦めをつけ、セインはドアを蹴破る勢いで司法院を出て行った。

「民を守る・・・?法とは・・・均衡を守る為のものだ。」

怒りをぶつけるかのようにエルモアに鞭を入れ、市中へと消えていく人間を見下ろし、ぽつりと漏らす。
彼らは勘違いをしている。理は人間が定めるものではないということを。

「不完全なものが定める基準など、役に立たん・・・。」

さも人間が世界の中心であるかのような物言いには、むしろ興味さえわいてくる。
神をそこまで信仰し、命の創造は許さないと神が言ったのならば、それは神が裁くこと。
むろん、いちいち動くほど、興味そそられる話ではないわけだ。神を創る・・・というなら話は別だが。

「だが・・・私も失望したぞ。ただ・・・考慮を停止させた独善が別の基準を生み出していただけとはな・・・。」

別に何かの可能性を孕んでいたわけではない。ただの、欠陥品ゆえの理論の欠如。
そんな出来損ないが理を語るなど、随分と天上界も舐められたものである。
それもこれも、全ては欠陥だらけの神共のせいだ。

「ハデスよ・・・いつまで模倣で楽しんでいるつもりだ。シャス・・・貴様もだ。娘にいつまでママゴトをさせているつもりだ。」

2年前の熾天使の復活で、少しは神界もまともになるかと興味を持ったのが未熟だった。
今でも天使は天界に戻ることなく下界で遊んでいる。だが、それ自体は別に良い、むしろ“好都合”だ。
問題は彼女の意志だ。彼女がいつまでも人間気分でいるから、ハデスも本気にならない。
創造者が活発にならなければ、破壊者も動くに動けないと言うわけである。いや、逆か。
ハデスが遊んでいるがゆえに、熾天使が目を覚まさない。今も彼は熾天使のもがきを見て楽しんでいる。

「均衡の偏倚はお前たちの・・・ん?」

天界に向かってローブの中から睨みを利かせていた時だ。不意に後ろに気配を感じ振り向く。
「フェンネルは順調に事を進めているようね。」そこにいたのは、明らかにこの世界のものではない衣をまとった女。

「・・・フィンブルか。」

さも興味なさそうにルネアが口にしたその名前に妖艶な女の顔に笑みが浮かぶ。
白き衣を揺らしながら歩いてきた彼女に、ルネアは無表情のまま事実を語る。

「あれも欲望のまま動いているだけだ。今後も監視が必要だ。」
「それは熾天使も同じだとは思うけれど?」

互いに己の立場を忘れて、やりたいようにやっている。
それが進化を促すと言ってしまえばそこまでなのだが、均衡の維持という意味では大きな障害である。

「あれのほうが性質は悪い。シャスができぬなら・・・私が代わって修理してやらねばならぬかもしれん。」

先代エルピスが位を退き、後継者に権能を継承したと聞いたから少しは事態が改善するかと思った。
だが、希望的観測ほど裏切られ、最悪以上の最悪がいつでも事実として覆いかぶさる。
まさか神界への帰還を拒否して下界にのさばろうとは。

「でも、これ以上の干渉は・・・。」
「“あれ”は神界の所有物だ。どう直そうが批難されるいわれはない。」

非常に興味深い。彼女が下界に留まってくれたおかげで未知が増えてよいが
それも度が過ぎれば話は別だ。後継者も同じであれば、それはシャスの血統そのものがそうした気質と言う事だ。
均衡の維持に支障をきたし、神界の進化を阻害するなら“修理”するしかない。

「・・・やはりあなたは・・・恐ろしい存在ね。でも、面白いと思うわ。」

彼の力に疑いの余地はない。だが、その理論からは完全にあるべきものが欠如していた。
いや、彼の役割を担うには欠如していなければ成し遂げられないのかもしれないが。
女は批難とも賞賛とも言えぬ言葉を口にし、それを聞いたローブの下の口元が笑った。
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