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 ←5話:ケンカ友達 →7話:宿命の対決
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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter20 進撃のアブソリッター

6話:烈風

 ←5話:ケンカ友達 →7話:宿命の対決
 それから十分後、あたりにはいい匂いが漂いだしてメルトの口元さえも緩む。
どうしてあの乙女の作る料理というのは、決戦を前にした緊張の夜でも和ませてくれるのだろうか。

「ゲイルー!エルピス!メルトも!ごはんできたよ!」

元気よくフライパンをお玉で叩いてみんなを呼寄せるシャニーの笑顔と元気な声。
今回それに引き寄せられて一番に来たのはメルトであった。
どっかりと刀を置いてあぐらをかき見下ろせば、今日も相変わらずうまそうである。

「おつかれさま、シャニー。まぁ、今日もおいしそうね。」

向こうから駈けてきたエルピスの労いの言葉に嬉しそうに白い歯を見せる。
その妹分に差し出された皿を見下ろしてエルピスの顔もほっくり綻ぶ。
目に前には、美しく焼き目の入ったハンバーグが肉汁を溢れさせていた。

「エルピスどこに言ってたの?何だかさっきは怒鳴り声が聞えてたような気がしたけど。」

一口食べて幸せそうに頬をさする姉貴分。どうやら満足してくれているようである。
安心したかのように自分も食べだして、シャニーはエルピスに怒鳴り声の理由を聞く。
「気のせいよ。気にしない、気にしない。」おいしそうにハンバーグを口に運ぶエルピスは満足そうにニコニコ喋るが、
この満足は明らかにハンバーグだけではない気がしてならず首をかしげるシャニー。

「どうせまたゲイルが何かやらかしたのだろう、特別気にするほどでもなかろう。」

日ごろの行いと言うものなのだろうか、メルトのため息にシャニーも苦笑いしか返せなかった。
エルピスが怒鳴るといったら、自分へのスパルタか、ゲイルとのケンカぐらいしか思いつかない。
メルトの言葉を証明するかのように、一番喜んで欲しい相手がまだ席にいない。

「あれ、そういえばゲイルがまだ来てな・・・おっ、来た来た。」

思わず彼の分の皿を持って立ち上がり、駆け出すシャニー。
彼の許へ駆け寄った彼女は皿を見つけて幸せそうな笑みを浮かべている。

「ゲイル、遅いぞ!せっかくゲイルの好物のハンバーグ作ったんだよ!」

仲睦まじい姿に口元を緩めてたメルトだが、ふと視線を戻して嫌な予感が走る。
むこうにある笑みとは正反対の位置にある笑みが、エルピスの口元に浮かんでいたからだ。

「あ、ああ。お、うまそうだな。うん、うめえ、やっぱお前の料理は最高だよ。」

甘えてくるシャニーの背中を早足で押して皆の輪に戻らせると
後ろに手を衝きながらハンバーグを口にする。にっこりとおいしそうに食べて相棒を褒めてやる。

「?何だかゲイル元気がないね。もしかして体の具合が悪いの?」

ゲイルの喜ぶ顔が見たくてハンバーグにしたのに。彼なら飛んで跳ねて喜ぶはずだ。
それなのに今日のゲイルの反応はいつもに比べるととても大人しく、調味を間違えたかと一口したシャニーは困惑の顔を浮かべた。

「お前が好物を前に興奮しないなど、そんな事もあるのだな。」

メルトもいつものゲイルを知っているからさも珍しそうに声を上げた。
ハンバーグを前にしたゲイルのがっつき方が異常で、よく子供が真似するとシャニーにフライパンで殴られている光景を見てきた。
「風邪を引いても食欲だけは落ちないような奴が。」彼の言葉にシャニーもうんうんと頷いて心配そうに覗き込んでくる。

「うるせ!俺にだってたまには考え事をする時があるんだよ!」

メルトの言葉より顔を近づけてきたシャニーに慌てたゲイルは、元凶のメルトに言い返す。
ところが、安心してくれると思ったシャニーがますます顔を近づけてくるではないか。

「へえ、そうなんだ、知らなかった。」
「シャニー!お前がそんな風に言うなよぉ・・・。」

何と彼女は自分と彼女の額に手をやって熱がないか確かめ始めたのである。
互いに隠し事をしないと決め、悩み事は何でも相談する間柄。自分なりの悩みも彼女に口にしているはずなのに。
悲しそうにして見せるが、シャニーにとっては彼の悩みなど悩みのうちに入らないらしい。

「って、あははは!」

その時だ。急にシャニーの視線がゲイルの目から離れ奥を覗き込んで眉をひそめたかと思うと途端笑い出した。
最悪の事態が起きたことを悟って彼女を放そうとするが、好奇心の塊に見つかってはもう手遅れ。
「なーに?この頭!あははは!」彼女が指差す先には、ばっさり一部だけ髪がなくなったゲイルの後頭部がある。

「笑うんじゃねえ!くそっ、シャニーにだけは見つかって欲しくなかったのに。」

彼女に見えないようにわざと焚き火から遠ざかっていたというのに、
やっぱりよくくっついてくる彼女に気づかれないようにするのはムリだった。
ふっと笑うエルピスに怒りの眼差しを送る間もなく、シャニーが後ろに回ってハゲを突きだした。

「だってさ!あはは!ここだけハゲちゃってなんかどっかの芸人みたいになってるよ!」

よく見るとハゲは後頭部の一箇所だけではなく、あちこちにできていてまるで模様である。
近くでまじまじ覗き、やや距離を置いて模様を眺め、しまいにはモンスターカメラを取り出したではないか。
「ば、ばか!撮るんじゃねえよ!」押さえつけて取り上げたが、残念ながら数枚撮られたらしい。
満足そうにするシャニーの頭に拳骨を置きながらエルピスに牙を見せる。

「ゲイル、お前は一体何をして遊んでいたのだ。全く度し難い奴め。」

人の気も知らないで妙にはしゃぐシャニーをようやくに沈めたかと思いきや、
今度は呆れ顔が返ってきてゲイルの顔が歪む。被害者の自分が悪人にされようとしている。

「あ、遊んでたわけじゃねーよ!俺はいつも通り筋トレと素振りをしてたんだ!」

すぐにシャニーを放り出すとメルトに弁解を始めるゲイル。
放り出された方は目の前に相棒の後頭部が映ったものだから、堪えていたものが噴出してきた。

「ぷっふふ、ダメだ、我慢できない、あははは!」

また後ろから馬鹿笑いが聞こえてくる。いつもは一番聞きたい最愛の笑い声が
どうして今日はこんなにもイライラさせるのだろうか。「あーあー、お腹苦しいよ、ひゃははは!」
ついには膝から崩れて身を丸め、腹を抱えながら転がって笑い出す始末。

「お前!人の不幸をそんなに転げまわって笑いやがってっ、この!」
「わぁ!」

どうにも辛抱できなくなって、シャニーをとっ捕まえたゲイルはがっしり腕でロッキングしてやった。
最初は息が出来なくて目を白黒させていたシャニーだが、至近距離にハゲが迫ってまたぶり返す。

「くっ、くははは!あー、ダメ、ごめんゲイル、ふふふ・・・はーはー。」

息が出来ないのに笑いだけはこみあげてきて次第に声が掠れていく。
ぐいっと華奢な体が両手で持ち上げられて怒りの眼差しの前に突き出されるが
それでもお腹はかすかに残った空気を肺から押し出してでも笑い続け、酸欠で顔が真っ赤になっている。

「素振りをしていて自分の剣で頭をそり落としたのか?ますます度し難い奴だ。」

ここまで笑われるともうゲイルも怒りを通り越して悲しくなってくる。
シャニーを解放してやると、彼女は真っ赤な顔でまともに息も吸えないまままだ笑うではないか。
かっくり首を折っていると、追い打ちをかけるようにメルトが落胆を美せてきた。

「ははは、見れば見るほど情けない頭ね。ま、斬新ですぐあなただって分かるいいヘアースタイルよ。」
「エルピス、このやろ!誰のせいでこうなったと思ってやがるんだ!」

もう何を言い返しても自分の立場は変えられないと悟ったゲイルだが、こいつだけは許せなかった。
頭をこんなにした張本人のくせになんの悪びれるそぶりも見せずそれどころか一緒になって笑ってくるとは。
拳を握りしめながら怒りをぶつけるが、「え?あなた自身のせいでしょ?」なんと涼しい顔なのか。これが本当の悪魔というやつなのか。

「あなたが口ほどにもないからそうなっただけ。自業自得よ。」

両手を広げて嘲笑しながら呆れて見せてくるエルピスに燃え上がる怒り。
だが手合せに負けたことも事実で、何か言い返せば返ってくる言葉は分かり切っている。

「ぐぐぐ・・・心の準備もできていない人間にいきなり襲いかかるような卑怯者が精霊なんかでいいのかよ!」

腹の虫がおさまらないゲイルが地団太を踏みながらわめくが、やっぱりエルピスは澄まし顔。
「人聞きが悪いわね、敵が準備をさせてくれるの?」正論で責められては何も言い返せない。
脳筋では口でエルピスに勝てるはずもなく悔しそうに睨んでくるだけになった彼に、勝ちを確信した笑みを浮かべてとどめを刺す。

「神界最強を倒す最強、泣く子も黙る烈風が聞いて呆れるわ。」

100パーセントこいつが悪いのになぜか周りはアウェー感で満ちており、完膚無きにまでやられて、ゲイルは今にも泣きだしそうだった。

「二人とも勝負してたの?!」

ようやく話の流れを理解したシャニーが目の色を変えた。
ケンカならよくする二人だが、手合わせなんて聞いたことがない。
「勝負じゃねーよ!不意打ちだ!」即効で言葉を訂正させるゲイルだが、エルピスの嘲笑に掻き消される。

「まったく、その程度の実力で神界より強いなんて下界に妙な話を広めないでちょうだい。」

確かに2年前の一戦ではゲイルの勝利に終わったが、あれは意図的なものだった。
シャニーを熾天使と覚醒させる為の茶番だったつもりなのに、この脳筋ときたら。
ツンとするエルピスはまだ言い足りないらしい。

「はー、これから行く先々でゲイルをコテンパンにしないとエルピスの名に傷が付いちゃうわ。」
「なんで?ゲイルがかわいそうだよ!やめてあげてよ!」

不機嫌を顕にするエルピスに逆らう事なんてまずしないのに、珍しくシャニーがゲイルのことを庇う。
嬉しくなってシャニーの膝枕にすがりつくゲイル。
その態度があまりにも情けなくて、エルピスはジト目で見下ろしている。

「だって、ゲイルッたら私より自分が強いと思い込んで下界に神界の最強を倒す最強って言いふらしたんでしょ?」

あなたにも関わる事と、目を怒らせて事実を問うエルピスだが、シャニーはきょとんとしている。
しばらく指を口元に添えて空を見上げるシャニーだが、やっと分かったらしくぽんと手をうつ。
「は、あははは!」その直後、シャニーはまた大きく口をあけて笑い出した。

「エルピスもはやとちりだなぁ!ちょっとは考えなきゃ!」
「あ、あなたにそれを言われるなんて心外だわ・・・。」

どうやら自分の想定していた内容と大分違うらしいことは分かるが、
この中で一番に早合点で考えるより先に足が動く人間からこんな注意を受けると惨めに思えてくる。
「まぁいいわ、で?どういうことなの?」だが今はそれよりも事実を確認するほうが大事と己を言いくるめて話を進めた。

「それは単にゲイルがルケシオンの子供達相手に自慢する時に使ってきた決まり文句だよ!」

指を立てながらなぜか得意げに語るシャニーの口から飛び出してきた真実は、
どこか楽しげな口調と合わさってエルピスの肩をずるっと落とさせるに十分なものだった。

「ゲイルッたらね、いっつも子供達を集めては武勇伝を聞かせてたんだよ。」

自分が忙しい時、よく孤児院の子供達の相手をしてもらっていた。
ゲイルも子供達に好かれていたため、良く彼はアビトレイトとしての旅の記憶を語って見せていた。

「あなた・・・お山の大将っやってたの?何かガタイの割りに小さい事で満足してんのね。」

彼が事実だけではなく、自分が主人公の都合の良い話ばかりをしている光景が脳裏に浮かんでくる。
シャニーや自分に逆らえない人の良い奴ではあるが、子供相手で満足するとは大人気ないというか可愛いというか。

「違うわい!子供達がアビトレイトの話を聞かせてくれって言うから!」

蔑みが明らかに含まれた笑いがエルピスから投げつけられ、膝枕していたゲイルの視線がシャニーを睨む。
「シャニーも妙な誇張するなよ!」ところが今回ばかりは事実を知っている分シャニーのほうが手強い。

「えー?だって、傍でいつも聞いてたけど、まるでレコードみたいに同じ事言ってたじゃん。」

まーた同じこと言ってるよ、と傍で洗濯物を干しながら笑っていたのがまるで昨日のようだ。
ルケシオンを思い出してちょっとセンチメンタルになるシャニーだが、ゲイルのほうは押し黙った。

「純粋な子供なら信じてくれるからな。まったく、お前と言うやつはどこまでも度し難い。」

四面楚歌とはまさにこのことを言うのだろうか。相棒にさえ足元をすくわれ、エルピスからはおもちゃにされ
挙句メルトからさえもため息を吐きかけられるとは。だが、ゲイルは知っていた。
大人以上に、今の子供は扱いづらい生き物である事を。

「純粋、ね。最近のガキどもはぜんっぜん純粋じゃなかったけどな!さっぱり信じねーでやんの。」

旅先で自分が活躍した話をしてやっても、「どうせシャニーが倒したんでしょ?」と切り返してくるのである。
何度か言い聞かせてようやく納得させても、“最強”という言葉に子供達は敏感で、
「ゲイルが最強なんて絶対ないよ!」と心無い言葉を平気で投げつけられて傷ついていた。

「子供の目は素直だからね、あなたの実力が神界以上なんてバレバレな嘘は通じないに決まってるじゃないの。」

おまけにこうして目の前でケラケラと笑い、人の傷に塩をたっぷり塗りこんでくる悪魔までいる。
ところがゲイルはそれでも認めようとしないでシャニーの膝枕から目を怒らせる。

「うるせ!一度は負けたくせに!」
「懲りない人ね、さすが脳筋。」

今の奇抜なヘアースタイルを見てもまだそんな事が言えることにエルピスは呆れていた。
シャニーだけは膝の上のゲイルを慰めているが、その苦笑いには最強なんてありえないとありあり書いてある。

「シャニーに尻に敷かれているのを毎日見てたら、子供達だって分かるに決まってるじゃないの、最強じゃないって。」

エルピスに急所を衝きぬかれて、怒っていた視線を急に逸らすゲイル。
実際、子供達がゲイルの最強を否定する時真っ先に視線を向けるのがシャニーだったからだ。
飯抜きの刑を突きつけられて涙しながらペコペコしていたら、仕方ない事だ。

「ぐぐぐ・・・と、とにかく!さっきの勝負は無しだかんな!あんな不意打ち!」

これ以上反論すると傷口が広まるだけ。
シャニーにも勝てないのにエルピスに口で勝てないことなど最初から分かっていたのだが今回もやってしまった。
だが、いくら敗戦でも既成事実とされる前に最低限の手は打っておいた。
「往生際の悪い人ね。」もちろん、エルピスにとって見れば無様な負け犬の遠吠えにしか聞えてこない。

「ま、いいわ、倒せるものなら倒してみなさい?未だ私が最強の熾天使なんだから。」

熾天使気分が抜けない高飛車な精霊様だと思っていたが、それ以上を口にされてゲイルはシャニーを顔を見合わせた。
ところが、次の瞬間シャニーの第六感が危険を察知してゾクっと背筋に冷たいものが通る。

「はぁ~、いつになったら私は熾天使の位を後継者に引き継げるのかしらねえ?」
「ぎくっ・・・。」

傍観するだけなら楽しいエルピスの口撃の矛先が何と自分へ向いたのである。
顎を上げながらにんまりとしてくる姉貴分に血の気が引いて苦笑いが口元をピクつかせる。

「が、がんばるよ、うん、がんばります・・・。」
「良い返事だわ。」

まるで借りてきた猫のように小さくなったシャニー。いつもの明朗活発な笑い声がどこへやら。
俯いたシャニーをニコニコして見つめるエルピスは立ち上がるとシャニーの頭を撫でて輪から出て行った。

「じゃあ明日もしっかりついてくるのよ?あー、明日が楽しみねー!」

さも楽しそうに声を弾ませながら闇の中へと消えていく。
言われた方は堪ったものではない。焚火の周りはまるで吹雪いているかのように空気が重く冷たい。

「はぁぁぁ・・・これはヤバイぞ。エルピスが目を爛々とさせてたよう。」

まるで命を取られる前かのように絶望に真っ青になるシャニーが声を震わせる。
「とんでもないスパルタプランを考えてんだ・・・あわわ。」一体今度は何が飛び出すのか。鞭千回叩き?
いや、もしかしたらもっと恐ろしいものかもしれない。
あれこれ危険なものを想像して、シャニーは自分で自分を追い詰めていく。

「ゲイル!今度こそ勝つんだぞ!負けたらお仕置きなんだから!」
「ど、どうしてこうなるわけ?!」

スパルタに耐えようと意気込むより先に、矛先がゲイルへ向かった。
そもそも彼がエルピスを大人しくさせていられればこんなことにはならないのである。
もちろんゲイルは両手をあげて驚くが、それで許してくれる相棒なら苦労はない。

「シャニー、助けてくれよう、お前希望の熾天使なんだろ?あの粛清のエルピスを説得しろよ。」

こう言う時だけ熾天使として持ち上げて何とか穏便に済ませようとするゲイルだが、
相手も気が気ではないのでまるで相手にしてもらえない。

「お姉ちゃんに逆らうなんてできっこないじゃない。そんなことしたら私の命が・・・おっと。」

相手もその場凌ぎに妹分の立場を引っ張り出すが、そこで彼女は自分の口に手を当てた。
地獄耳に入ったら、明日のスパルタのネタにされるのは間違いない。

「ゲイルは私の守護者なんでしょ?だったら私を守る為に身を挺して!そうしないと私がスパルタの果てに・・・あわわわ。」

よっぽどエルピスの拷問が恐ろしいものなのか、シャニーの言葉にもうオブラートなんてものは引っぺがされている。
顔を両手で押さえてムンクの様に真っ青になる彼女は、明日にならないでくれと祈りばかり。

「あぁぁ・・・フィアンセに生贄に使われるなんて、俺すげえ悲しいよ、メルト。」

熾天使様は人々は守ってもフィアンセは守ってくれないらしい。
ぽっきり首を折ったゲイルは涙目でメルトへ視線を向け同情を誘うが待っていたのは嘲笑だけだった。

「シャニーには尻に敷かれ、子供たちにはナメられ、エルピスにはおもちゃにされ・・・泣く子も黙る烈風が聞いて呆れるな。」

確かに、これが最強だったら世も末である。メルトからもバカにされて、悲しみを通り越して怒りが膨れ上がる。
そもそも、あの凶暴な精霊が悪いのだ。地団太を踏んで復讐を誓うゲイル。

「ちくしょう、このままじゃ腹の虫が収まらねえ!あのやろ、このハゲの仕返しだ、ショートカットにしてやる!」

止めておけばいいものを、すぐさまメルトはそう思ったが口にはしなかった。
どう転んでも、シャニーへのスパルタがエスカレートする事に変わりはないことは目に見えていた。
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