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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter22 存在価値

4話:さまよえる騎士

 ←3話:粛清者 →5話:Conviction wings
 深夜、ここがルアスかと疑いたくなるような静寂が辺りを包んでいる。
水の滴りひとつ聞こえることのない不気味な空間には、機械が唸る音だけが小さく響く。
その中をシャニーたちはカムフラジュで隠れ、シャニーが先頭を歩いてトラップを警戒しつつ進んでいた。

「錬金術研究所も二度目の潜入か・・・。」

辺りを見渡しながら拳を握りなおすゲイルがポツリと漏らす。
1回目に潜入した時と特段変った様子はないが、こんなに静かだっただろうか。

「お前も大胆なものだな。また同じ手を使って侵入するとは。」

今回もまずルアス城へ忍び込み、イーグラーに頭を下げて地下通路から潜入していた。
もちろんシャニーの作案だ。これしか方法が無かったとはいえ、なかなか危ない橋を渡るものだ。
だが、今回は褒められてもシャニーは笑わなかった。

「イーグラーさんなら分かってくれるって思ってた。急ごう!」

いつも急かされる側の彼女が、先陣を切ってどんどん上の階を目指す。
レイが捕われているのだ。少しでも早く救出してあげたい想いが踏み出す足を強くさせた。

「何でこんなに静かなんだ?人の気配がまるでしないな。」

もう少しシャニーに警戒しながら歩いて欲しいのだが、彼女も盗賊だ、それは分かっているはず。
何よりも彼女がするすると先に進んでいけてしまうのは誰とも遭遇しないからだ。
灯一つ点いていない屋内には、非常灯と火災報知機だけがぼんやり闇に浮かび上がり不気味だ。

「確かに・・・マナを感じないわね。たった一人の強いマナを除いては。」

エルピスも陣頭を妹に任せ、一番最後を歩きながら周りへの警戒を張り巡らせていた。
だが、マナというマナがまるでない。以前潜入した時は山と感じた小さなマナたち。
それを思うと、この静けさは異様としか言いようが無い

「待ち構えているのだ。何か罠が仕掛けてあるとしか考えられん。慎重に行くぞ。」

シャニーに声をかけて足取りを少し緩めさせると、メルトもあたりへの警戒の目を再び光らせる。
あんなふうに突然目の前に現れてこの錬金術研究所を指定してきたのだ。
おまけに3日間も時間があった。用意していると考えるのが普通である。

「マジで人がいないな。一度目の時とまるで別の場所みたいだぞ?」

拍子抜けと言った感じでゲイルもきょろきょろと辺りを見渡し続ける。
誰もいない。まるで時が止まっているかのように、建屋の空気が止まっている。
どの研究室にも明かりが無いのだ。こんな事、ありえるのだろうか。

「人がいないなら好都合だよ。一般市民を巻き込みたくないし!」

そんな不安をよそに、シャニーは闇夜に盗賊の目を強く光らせた。
以前潜入した時はうかつに弓矢を放てなかった。研究者達はルアスの市民なのだ。
だが、今回は何も躊躇うことなくレイ救出に注ぐことが出来る。そう思えばやりやすい。

「待て。」

どこまでもポジティブなシャニーだが、今回ばかりはメルトが許さなかった。
「・・・エルピス、お前を一流の盗賊と見込んで頼みがある。」
彼は立ち止まると、最後尾を歩くエルピスをじっと見つめてある提案を投げかけた。

「へえ、何かしら。この精霊様にどんな御用かしら?」

認めてくれていることは言動から分かっていたが、面と向かって言われたのは初めてのこと。
突然の要望だが、彼女もいつメルトが言い出すか待っていたくらいで
ふっと笑みを浮かべる余裕の表情は恐らくメルトと考えていることが同じだと察していた。

「どうにもおかしい。脱出経路を確保しておいてもらえないか?」

やはりアンドラスが何かとんでもない罠を仕掛けているとしか考えられない。
だが、レイが捕われている以上、行かないという選択肢はない中で
単独を任せられるのは彼女しかいなかった。

「確かに・・・違和感ありまくりですものね。いいわ、その間その子を任せたわよ。」

さっと背を向けると闇に消えるエルピス。もう足音も聞えない。
こんな静寂の闇の中だと、4人が3人になっただけでとても心細い。
心なしか、シャニーの足取りが若干鈍った気さえする。

「エルピス大丈夫かな。アンドラスのマナが近づいてるよ。」

振り向くシャニーだが、もう姉のマナはかなり遠くに離れてしまっている。
代わりに着実に近づく、もう一人の自分のマナ。似ているようでまるで違う、闇をまとう光が見下ろしてくる。
ここは5階、あと3回階段を上れば、ついに決戦の場にたどり着く。

「お前はお前のことだけ今は心配していればいい。アリアンもついているし彼女ならやってくれる。」

集中を前だけに向けさせるメルト。今一番心配なのはシャニーだ。
アンドラスは間違いなく、彼女一人に狙いを定めてくるだろう。
この静寂に隠された罠ももちろん、シャニーへその矛先が向いていることは明らかだ。
メルトに警告され、じわっと手のひらに湧き上がるものを潜入服で拭くとダガーを握り締める。

「一人で行くなよ、絶対に俺の傍から離れるんじゃないぞ!」

ゲイルの強い言葉にシャニーは何度も頷いてみせた。
一人でなんて怖くて行けるはずが無い。今離れ離れになったら、二度と会えない気がして。

「この建物にはアンドラスのマナ・・・レイさんのマナも感じる。待ってるんだ、私たちを。」

ぎゅっと最愛の人の手を握り締め、先を急ぎながら上階を見上げる。
もうしばらくもしないうちに決戦が始まる。だが、殺し合いをするわけにはいかない。ごくりと喉が鳴った。


「・・・来たようね。」

監視カメラのモニターをじっと見つめていたアンドラスは、人影がすぐにシャニーだと分かった。

「シャニー、あなたに恨みはない。けど、民の為にはこの手しかないの。」

ゲイルの手をしっかりと握り締めながら確実にこの階へと上がってくるもう一人の自分。
聞えるはずもないがモニター越しに語りかける。

「お父様、イスピザード、レイ・・・。私、世界を守るわ。私にしか出来ない事で。」

首に掛かるペンダントをそっと手に取り、ぱちんといい音を立てて開けてみる。
そこには自分の大好きな者達の笑顔があり、それを指先で撫でて目じりを奮わせる。

「悲しまないで欲しい。私は世界の為になれるなら、幸せよ。」

ペンダントの中の笑顔に語りかける。それはまるで己に言い聞かせるかのようで、
彼女は目を一つこすると、再びモニターを鋭く睨み始めた。

「第一ブロックを通過したわね。いいわ、その調子よ。」

きっとシャニーも怖いのだろう。ゲイルの手をしっかりと握り締める姿はどこにでもいる乙女だ。
だが、彼女を生かしておくわけには行かなかった。申し訳ないとは思いつつも、
手をしっかりと腰に刺さる剣の柄に添えられてその時を待つ。

「あなたも熾天使の血さえ流れていなければ・・・恋人の許で幸せに暮せたものを・・・。」

自分も、そして彼女も、本人には何の罪もないはずなのに。
自分の力ではどうすることも出来ない、大いなる力によって創り上げられた運命。
そう考えると怒りに拳が震える。人の命を何だと思っているのか・・・。

「私も、あなたも、お父様も、イスピザードも・・・神界の身勝手が悲しみと災厄の連鎖を生んで・・・。」

神は人間を導いてくれるはずなのに、どうしてこんな酷い運命を課すのだろう。
ハデスはどうして、下界を破壊しようとするのだろう。何も神界の意思はわからない。
だがひとつだけ言えることは、彼らに操られるまま生かされることだけは絶対に嫌だという事だ。

「これで終わるわ。断ち切れば、全て元に戻る。」

一つ狂った歯車が、すべての運命を狂わせ、歪ませてきた。
ついにシャニーがポイントを通過した。これですべてを終わらせる。
モニターを見つめ時を図り、アンドラスは静かに新たな運命の扉を開くボタンを押した。

「な、なんだ?!なんだ?!この地響きは!」

どこからとも無く空気が揺れ始め、ゲイル達は立っていられないような地響きに見舞われていた。
すぐにシャニーが転んでしまい、ゲイルが引き揚げようとした時だった。

「きゃ?!」
「床が分断された?!」

何とシャニーとゲイルの丁度間で、床がせりあがっていくではいか。
地面が揺れて立てないシャニーを乗せて、ぐいぐい床が上へ上へせり上がっていく。
すぐにメルトが気付いて駆け出そうとするが、あまりの揺れに立っていることで精一杯だ。

「シャニー?!くそっ、掴まれ!」

いつも下にあるはずのシャニーの目線が、どんどん自分と同じ高さに、そして自分より上へ。
とっさにさっと手を差し出す。このままでは彼女と離れ離れになってしまう。
彼女もそれが分かっているのか、藁をも掴もうかという焦燥とした目がゲイルの手を掴む。
それをゲイルが引っ張ろうとするが、シャニーは揺れで座り込んだままなかなか腰が立てない。
「あぁっ、ゲイル!!」しっかり握っていたはずの手が解け、抗うように絡めていた指がするりと抜ける。

「いかん、ゲイル!下がれ!」

尻餅を突いたゲイルだが、すぐに立ち上がってもう一度彼女の手をつかみに掛かるが
シャニーはふと頭上に気付いて頭を引っ込め、ゲイルもまたメルトに後ろから羽交い絞めにされた。
直後、シャニーの乗った床は天井に創られたどこまで続くか分からない穴へ飲み込まれていってしまった。

「ゲイル!ゲイルーー!」

真っ暗な穴から相棒の悲痛な叫びが聞こえてくる。
堪らずメルトを振りほどいて駆け寄るが、無情にも機械音だけが響く。
温もりを失った手が、信じたくない事実を前に震えていた。

「くそったれ!アンドラスのやろうか!メルト、追っかけるぞ!」

それでも、いつまでもこの場で立ち尽くしていたところで彼女を救えるわけではない。
こんな事をする犯人は一人しかおらず、そうなればシャニーが連れて行かれた先も予想がつく。
血相を変えながらメルトに声をかけ、駆け出すゲイル。

「あれはどうやら資材搬送用のエレベータのようだ。シャニーは先に8階に行ったに違いない。」

駆け上がり続ける。もう、相手は自分達の存在に気づいている、もうこそこそする必要はない。
廊下を駆け抜け、階段を駆け上り・・・まだ5階。
3階層がとても長く感じる中、ゲイルとメルトはあの笑顔の無事だけを祈り駆け抜け続けた。


 機械音がようやくに止まり、最愛と引き離した無機質な律動が急に止まって体がそのまま上に放りされそうになった。
一気に静寂が包む中静かに立ち上がったシャニーはきょろきょろと周りを見渡す。
「ここは・・・どこかしら。ゲイルはどこ?」やはり最初に頭に浮かんだのはゲイルの姿だった。
いるはずがないと分かっても、震える心が無意識に探す。
だがやはりまわりは静寂と暗黒であの頼もしい姿は見えない。心細くて目元が震えだす。

「ようこそ希光。ここは錬金術研究所の最上階よ。」

その時だ。突然にどこからか自分の声がしてきて、ビクッと肩を跳ね上げる。
ようやくここで、自分とは似て非なるマナがすぐ傍にあることに気付き、
月光が差し込む窓の方へと駆け出す。そこに人影がある。

「アンドラス?!レイさんはどこ?!あなたは一体何を。」

人影が静かに歩き出し、月光の中に姿を現した。その眼差しは凍てつくように冷たく、鋭い。
彼女の居合いが届かないぎりぎりまで近づいたシャニーはすぐにレイの安否を問う。
だが、アンドラスは何も答えようとせず耳に当てたヘッドセットに話しかける。

「レイ、今から脱出するわ。あなたは先に逃げて、危ないから。」
「逃げる??一体どういうこと?」

間違いなく、この場にはレイはいない。明らかにマナが遠いのだ。
それを示すかのように、アンドラスはレイに話しかけている。

「レイさんはあなたが身柄を確保していたんじゃないの?」

彼女はそう言って、あのスコールの中宣戦布告を仕掛けてきた。
ところが今この場にはいないし、何よりアンドラスははっきりと言ったのだ。逃げろ、と。
「ええ。そうよ。」要領を得ず、問いかけるシャニーだがアンドラスはさっぱりと答えるだけ。

「そして今開放した。罪の無い彼を捕える必要はないのだから。何か問題でも?」

あまりに平坦な口調で逆に問われ、シャニーは思わず一歩退いた。
相手の眼差しは、もうこの場から生かしては返さないという殺意と覚悟を宿し、月光に双眸は真剣の如く閃いたのである。

「じゃあやっぱりあなたは私をおびき寄せる為にあんな事を・・・。」
どうにもおかしいとは思っていた。アンドラスにとってレイは大切な人のはずだ。
もし自分だったら、ずっと離れ離れだったゲイルが帰ってきたらもう離れないだろう。
それがあんなふうに最愛が罪人扱いを受けても平然としていられるなんて。
「語る必要はない。」シャニーからの詮索を、引き抜いた双剣の爛爛が切り裂いた。

「私は、そしてもう一人の私であるお前も、民の為に消えなければならないのだから。」

静かに、制御盤のボタンを押す。背後で無機同士がこすれる音が響き、
思わず振り返ったシャニーの目の前で退路が分厚い金属の壁に押し潰された。
「ど、どいうことなの?!」振り返ってアンドラスに真意を問うが、答えてくれるはずもなかった。
彼女は視線を合わせることもなく、懐から何かを取り出し、シャニーにはそれが何かすぐピンときて驚愕が口から飛び出した。

「そ、それは!!」
「お父様・・・レイ・・・。」

爆弾に精通しているシャニーにははっきりと分かった。
アンドラスが押そうとしているものは爆弾の起動スイッチだ。思わず駆け出して止めさせようとしたが
いくら韋駄天といえど叶わなかった。操作盤に浮かぶカウントダウンが動き出す。

「この研究所のあちこちに仕掛けた爆弾が後10分で爆発する。そうなれば全てが終わる。」

操作盤を遥か後方へ投げ捨てると、彼女は双剣を握り一歩踏み出してきた。
逃げる素振りも見せず、退路を失ったシャニーへ少しずつにじり寄ってくるではないか。

「ハデスの復活も、希望のマナも、錬金術も・・・そして造られた嘘も、すべて。そう、全て。」

後ろに退こうとするがすぐに壁にぶち当たってシャニーは蒼白のままアンドラスと対峙する。
彼女の瞳は何と強いのだろうか。死を前にしてもまるで震えることも無く、
ただじっと倒すべき相手を見据えて剣を握り締めている。

「何故?!私を殺したいがために何故あなたはそこまで!命を投げ出してまで!」

自分を逃がさないように時間稼ぎをするつもりなのだろう。
だがそれは、同時にアンドラスも爆発に巻き込まれることになる。
彼女は自分への恨みはないと以前言ってくれた。それなのに、何故。叫びに答える声は静か。

「ハデスの封印を守らなければならない。そして、創造の錬金術は人間が手を出していいものではない。」

一体どこから歯車が狂ってしまったのだろうか。人間は自ら制御できない力を手に入れて、
さもそれがすべて自分達の英知の賜物だと信じきり、扱いきれない力を駆使しているという勘違いにも気づけずに
その計り知れない力で世界を支配出来ていると錯覚している。すべては、あの闇の謀だというのに。

「両者を守るには!熾天使の血も、そしてハデスの血も!この世から消し去らなければならないからだ!」

だが、今ならまだ間に合う。闇の目覚めに必要な鍵、それがなくなれば野望は阻止できる。
創造を司る光、企みを後世に残す闇、その二つが今消えれば、未来は守られるのだ。
「違う!」アンドラスの決意にすぐに言い返す。

「悪いのは血じゃないよ!過ちを犯すのが人なら、それに気付いて正すのも人だよ!」

力に意志は無く、その力を扱う者の意思が道を外れること、それこそが正されるべきもの。
そしてそれは誰かに正されるのではなく、道を外したもの自らが気付き正さねば意味はない。
それこそが進化であり、正しい未来を導く。創られた未来の中で生きるだけなら、いつまでも同じ悲劇は繰り返される。

「あなたを愛している人はいっぱいいるはず!その人たちに何故過ちを正す為に叫ばないの!」

愛してくれる人・・・そう言われアンドラスの脳裏にはたくさんの顔が浮かんできた。
彼らに助けて欲しいと言えば・・・いや、とても束になったって勝てる相手ではない。
自分だけなのだ、あの男を止められるのは。あの男が求める鍵を持つ、自分だけ。

「あなたが死んだらどれだけの人が悲しむと思っているの!ヤアンさんも私のお父さんも、アルトシャンも!」

シャニーが残り時間が削れる事も厭わず喉を痛めるほどありったけで訴えかけくる。
彼女の言いたい事はアンドラスにだって分かる。「・・・私は創られた命だ。」
だが、アンドラスは首を振る。生まれてはならない技術から生まれた、生まれるはずもなかった命。

「誰よりも人を愛した人間だ。だからこそ、今まで愛してくれた人々に恩返しをしたい。」

自分が人間ではないことを知りながら、精一杯の愛情を注いでくれた人々。
どうしてあんな無償の愛をこのホムンクルスに・・・。
それを考えても答えは出ないが、ずっとずっと想いつづけてきた。自分も何かしてあげたい、と。

「闇の脅威から人々を守り!そして歪んだ進化を正す!その為に私はすべてを清算する!」

そして今、ようやくにその“何か”が見つかったのだ。
今まで彼らに守られてばかりだった。ならば今度は彼らを守る番。
自分だけにしかない価値で。それを叫ぶ蒼の瞳は、真剣そのものだった。

「そんな仕事は、私にしか出来ない。元々存在するはずのなかった私にしか出来ない!これこそが存在価値!」

他の人々には、親がおり、兄弟がおり、そして友がおり、生まれた時から既に繋がっていた。
だが自分は何の繋がりも無くこの世界に突然表れた存在。
消えようとも、それは“あるべき”へと回帰しただけに過ぎない。途端だ、シャニーの柳眉が釣り上がる。

「違うよ!!」
「もはや語ることはない!お前も人々を愛するなら覚悟を決めろ!」

それまでの祈りを篭めた叫びとは違う、明らかに怒りに燃える声がアンドラスを否定する。
だがそれと同じくらいの怒声で返す。彼女が否定してくる事くらい分かっていた。
自分達の光のマナがある限り、闇は生まれ続ける。

「ハデスの復活に我ら希望のマナが要件でなければ、お前は捨て置いたのだがな。
 誰が引いたか分からない混沌の引き金は私たちで食い止める!」

もちろんシャニーだってそれを理解しているはずだ。
本当に民を愛するなら、闇から守るなら、そもそも生まれないようにするしかない。
彼女とて、気付いているはずだ。それでも首を振るならば、もはや口で言っても無意味。

「我が剣の前に倒れるか、爆焔の中に沈むか!行くぞ!」

双剣を今一度強く握り締めたアンドラスは一つ吼えると、やめろと叫ぶもう一人の自分へ向け駆け出す。
これこそが我が道、人々を愛し守るアスクの剣。
帰り道の無い戦いへ彼女はついに踏み出したのであった。
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