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 ←1話:動き出す闇 →3話:強行突破
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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
Chapter23 信じるあるべきのために

2話:激突

 ←1話:動き出す闇 →3話:強行突破
 帝都へと続く中央街。既に非常事態宣言が発令された町の中は騎士でいっぱいだ。
襲い来る槍をゲイルとメルトの二人で打ち崩していく。

「ゲイルッ、この先アルトシャンの親衛隊との正面衝突になる。気を抜くなよ!」

今まで潜り抜けてきた戦場が、絶体絶命のこの強行突破を可能にしてくれる。
だがメルトはそれでも警告を止めない。市中の騎士など、序の口に過ぎないことを知っている。

「ここまで気を抜くもんか!シャニー、絶対に離れるなよ!」

完璧なコンビネーション。敵勢に突っ込んだゲイルのカータルシックルが圧倒的な数の守りにヒビを入れ、
後ろから迸る光の矢が道をつくる。後ろ目にシャニーの姿を確認し、ゲイルはまた先へと駆け出す。

「分かってる!私はアルトシャンに伝えなければいけない。アンドラスの、みんなの想いを!」

戦いに赴くわけではない。だが、今は進まなければならない。
人間相手に光の矢を向けることに罪悪感を覚えながらも、彼女は信じた。
この倒れる騎士達も、自身の、いや皆の想いの結晶を受け取ってくれる事を。

「アルトシャンをとめることだけが目的じゃないんだ。奴にも協力してもらわないと!」

ゲイルも相棒の祈りが分かっているから、急ぐがそれでもトドメは彼女に任せる。
悪を射る光は夢を貫くことはできない。彼女の光が騎士達を傷つけないことが分かっていた。
この騎士達もまた、未来を創って行く一人。対立を調和と融合で、熾天使の意志を守護者として守る。

「均衡を守る結界が・・・崩壊寸前まで蝕まれている。手遅れにならないうちに片をつけないと!」

精霊として守ってきた均衡。それが今、あの邪悪なる暗黒の大蛇の毒に犯されている。
揺らぎ、いつ崩れてもおかしくはない封印の波動。エルピスの短剣も少しでも前を目指して鋭く宙を舞う。

「来たぞ!全軍守りを固めろ!奴らをこれ以上進軍させるなと総統のご命令だ!」

ルアス王城前、そこにはバリケードを張った騎士達が陣を組んでいた。隊長の指示と共に突撃して来た騎士達。
怒声が数に載ってわっとゲイル達に先制攻撃を仕掛けるがそこに脅威などまるで感じない。
アスランシックルでまとめて吹き飛ばす。

「何だよ、単騎で突っ込んでくるだけかよ。そんなのちっとも怖くねーぜ!」

まるで新米かと思うようなぎこちない動きの騎士が目立つ。
おまけに策と言う策も無く、あっという間に突破されていく。守る気があるのだろうか。

「またトールハンマーとかが相手になるかと思ったけど、これなら強行突破できそうだね!」

最終防衛ラインだ。指折りの騎士達と最新鋭の技術が立ちはだかるものだと思っていた。
それがどうだろう、光の矢を一発打ち込むだけで騎士達はその場に倒れて大きな道が出来る。
この機を逃すわけには行かない。今は眠っていてくれと次々矢を打ち込んでいく。
「アルトシャンめ・・・。」最初はどんな罠かとますます警戒していたメルトだが、彼は目前に迫ったルアス城を睨み上げひとつ旧友の名を呼ぶ。

「お前の心はやはり・・・変わってはいないのだな。俺は・・・信じているぞ。」

彼は待っているに違いなかった。恐らくこの場に騎士がいないのは、住民の避難へ集中させているからだ。
今でも彼は国を、民を愛している。その愛を信じてスピードを速める。

「何言ってるんだよメルト。変わってねえに決まってんじゃねーか!」

分かりきったことをいうメルトに、キュレックを振るいながら眉間にシワを寄せるゲイル。
もし心変わりしたなら、こんな無駄な戦いはしないはずだ。
だが、メルトは首を横に振った。相手は誇り高き武人、降服はありえない男。

「・・・アルトシャンが本当に世界をどうにかしてしまおうと思っているなら・・・錬金術を持って待ち構えただろう。」

冷静に考えて、いくら熾天使と精霊がいるとはいえこちらはたった5人だけ。
圧倒的な武器と数で押せば、いとも簡単に押し潰せるはずだ。

「なるほどね。帝都の中でそんなものをぶっ放したら民に被害が及ぶ・・・。」

たった5人を葬る為に何万と言う民を犠牲にすることがアルトシャンには出来なかったらしい。
民を愛し、国を愛する男。今も昔も変わらぬその気質をメルトは見上げる。

「敢えて町の中央ではなくて城に近いこの場所で陣を組んでいたというのもそういうことなのね。」

最終防衛ラインと殆ど変わらない。それでもこの場所にしか設置できなかったアルトシャンの心境を思うと
やはりアンドラスの言っていたことは本当なのだろうと合点が行く。

「あいつは今でも民を守り、世界をあるべきへと導こうとしてる。魔王ではない・・・血の通った人間だ。」

エルピスの言葉をメルトもまた信じたいかのように強く頷いて近づいてくるルアス城を見上げる。
だがそれはあくまで旧友への情けか。前方から正論が跳んでくる。

「だけど、そのアルトシャンの独裁のせいで多くの人々が苦しんだんだ。」

騎士をキュレックで跳ね飛ばしながら突き進むゲイル。
忘れてはいない、彼の執った作戦のせいで最愛がどれだけ悲しみに苛まれてきたか。
「止めなくちゃならない、必ず。」先を見据えるその眼差しはいつもの能天気さはない。

「無論だ。奴とてもう勝ち目がないことは分かっているはずだ。地方を敵にまわした今となってはな。」

おそらくは、賭けに近い作戦だったに違いない。いくら帝国といえど、四方を敵に包囲されては為すすべがないことを。
そこまで何が彼を追い詰めたのか・・・今なら分かる気がするが、それは人間が故の、あまりの独善と身勝手。

「アンドラスが言ってたわね。彼はマヴガフに弱みに付け込まれていると。」

剣帝であった頃なら決して見せることのなかった弱点。
血の通った人間となった男の心を締め上げる暗黒の眼差し。
あの男なら、手段は選ばない。エルピスはあの黄金の蛇眼を思い出し怒りを噛み砕いた。

「見果てぬ夢もあるだろうが・・・アンドラスの言葉を信じるならば娘への愛で戦っているのだろう。少なくとも今は。剣帝が、まさかな。」

かつて完全無欠と言われた男は魔王だった。
情を一切排し、情に流されるものは血の海へ沈め、真理だけを灯としてきた。
その男が見つけた最も尊き真理。今それが彼を締め上げている。
あまりにも哀れで、シャニーはどんどん近づいてくるルアス城を前にずっと抱いてきた想いを口にする。

「助けてあげたい。望んで悪になったわけではない人なら、きっと話せば分かってくれるはず!」

もとから、この戦いを刃で収めるつもりはなかった。アンドラスの話を聞いてそれは確信へと変わった。
アルトシャンもまた、救われなければならない、自分が守りたい人々のひとりなのだと。
皆で手を取り、あのたった一人の巨悪に立ち向かわねばならない。

「その考えを否定するつもりはない。だが、もう今度は同じ過ちを繰り返すなよ、シャニー。」

彼女のその優しさと前を見つめる強さはメルトにとっても守るべきもの。
だが、守りたいが故に彼は今一度厳しく彼女へ現実をぶつけた。
次はない。もし次彼女が隙を見せれば、今度こそ命はない。
娘の命をかけて、あの男は挑んでくるのだから。決意を眼差しに載せて見上げるシャニー。

「分かってるさ!私はアンドラスを約束した。彼を救うために、彼の許へ行くんだ!」

アストレアは人々を守る為の弓矢。だが、守るためには時として彼らに向けなければならない時もある。
人々の思いの結晶。本当の悪でなければ、矢を受けてもきっと立ち上がる。
そう信じた。今までの旅で、それを確かめることが出来たから。
制する為の光ではない。だが守ることは出来る。
悪に蝕まれた悲痛の許へ熾天使の意志の下、彼らは駆け抜ける。



 錬金艇から飛び出したセインはヴァンと合流して帝都へとエルモアを走らせていた。
中には既にちらほらとノカンの白兵達が破壊活動を展開しており、見つけては沈めてを繰り返す。

「リステヒンの残党が帝都に忍び込んでいるようだな。」

それにしても数が多い。残党と表現したのは間違いかもしれない。
またひとり吹き矢で住民を狙う狙撃手を見つけたヴァンは紫電を槍に乗せて放つと一撃の下に葬る。
「しかし、帝都の中で戦うことは出来ない。」まだちらほらと単独で行動している連中はこの対処で済むが、
ノカンの恐ろしいところは徒党を組んでくるところだ。
まだ逃げ遅れている住民がいる中、帝都を火の海にさせるわけにはいかない。

「何とかして彼らは誘導しなければ。」

エルモアに鞭を入れるセインの語尾は強まっていく。ところが、その時だ。レーダーを真っ白にする大量の白点。

「?!総督!後方に敵陣!数は相当数です!500を超えています!」

レーダー班がセインへ報告を上げるまで数秒を要さなかった。
にもかかわらず、既に肉眼で確認できるほどまで膨れ上がったノカン兵たちが
帝都の中央を目指して怒声を上げて近づいてくるではないか。振り返り、信じられない光景に目を見開くセイン。

「なんだと?!リステヒンの一味には一掃したはずだ、なぜ・・・。」

あのトールハンマーの直撃を受けて、敵艦は全て爆発し空中分解したはずだ。
それが今、あれだけの兵数を持っているとは。
それだけではない。彼らの動きの何と統率の取れたことか。
意味するところはただひとつ、彼らにはまだ希望が残っているということ。

「要するに、リステヒンは生きていたという事さ。しぶとい連中だね・・・。」

信じられないでいるセインへヴァンははっきりと現実を口にした。
さすが、今まで海千山千、王国を守ってきた男だ。あの程度ではまだまだ死に切れないといったところか。
曲がりなりにも、リステヒンも民を想い守ろうとする王ということなのだろうか。
賞賛を口にするヴァンに焦りを隠せない。

「何をのんきなことを言っている!このままでは大軍が帝都に流れ込んでしまう!」

兵数で考えれば、恐らく互角あるいは有利なのだろう。
だが、目的は勝利だけではなく、帝都を彼らから死守する事なのだ。
トールハンマーが無い今、迫り来て城門をくぐろうとするノカン兵たちを止める術がない。
やむを得ず、元来た道を戻り迎え撃とうとした時だった。
何か背筋にくる落下音がしたかと思うと地面が炸裂してノカン達が吹っ飛ばされた。

「撃ち方ぁ!目標はノカンの連中だ!ぶっ放せ!」

葉巻を口にしながら部下に指示したラルプの指先がノカン達を指し示す。
直後、また人の背丈くらいある砲塔から爆煙が上がり、巨大な黒の玉が空に放り出された。
嫌な音を立てながら黒の玉は吸い込まれるようにノカンのど真ん中へ。
炸裂し、吹っ飛ばされるノカン達。城門を前に彼らの進撃が止まる。

「あぁ?!総督、ノカン軍以外にも軍勢が!こちらも規模は相当大きい模様です!」

またしてもレーダーが白く塗りつぶされた。報告が即座に上げられるが、聞かずとも既に見えている。
耳を劈く爆音と吹き飛ばされるノカン達。もくもくと黒煙があがっている。

「おい、ラルプ、城壁は破壊するなよ。後で煩い事を言われては敵わん。」

ひとつだけ戦友に警告を発するとデムピアスは自らエルモアを駆り、
先陣を切ってノカンへと突撃する。海賊王の後に続く荒くれたち。
一度ターゲットスコープから顔を外すと、見る見る小さくなっていく彼にラルプも負けじと叫ぶ。

「分かってら!ちゃんと狙ってるだろ!・・・なんか以前もこんな会話しなかったか?」

レピオンハンター名物の大口径砲はラルプの自慢だ。だがデムピアスはいつもああやって注意ばかりしてくる。
そうだ、2年前だ。暗黒戦争終戦直前も、こうしてルアスで戦った。
目指すものは進化してきたかもしれない。だが、守りたいものは同じ。
ターゲットスコープを覗き込むその眼は、海の男としての夢への渇望を燃やす。

「あれはルケシオンの海賊達?!くっ、こんなときにまさか・・・。」

だが、彼らの行動はセインたちには破壊活動にしか見えていなかった。
デムピアスもそれを心配していたようだが、案の定の結果か。
「ふっ・・・。」その中で一人だけ笑う男がいた。ヴァンだ。
ようやくに来てくれたのだ。いや、やはり来てくれたというほうが礼か。

「英雄は遅れてやってくるわけか?よし、これで後方の守り手は心配がなくなった!」
「ヴァン!」

だっとエルモアを駆り、帝都の中央を目指すヴァン。その電光石火はセインに考える余裕も与えはしなかった。
そんな時間さえ惜しい、小さくなっていく背中はそう伝えるようでセインも止む無く彼の後を追うことにした。

「あいつ、裏で何か動いていたのか。だが、これは好機だ。行くしかあるまい!」

目指すはルアス城。妹だけに苦しい思いはさせまい。
握り締める槍に力を篭めると、セインもまたエルモアに鞭を入れる。
妹の無事、恩師の無事、そして国の無事。
無事、ただひとつだけを祈り。
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