現在の閲覧者数:

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←3話:目覚める暗黒竜 →5話:黒の魔道書
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  • 【3話:目覚める暗黒竜】へ
  • 【5話:黒の魔道書】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
The final chapter Outside of Lie

4話:絶望と言う名の協奏曲

 ←3話:目覚める暗黒竜 →5話:黒の魔道書
「くそったれ、とんでもねえ化け物とまた戦うことになっちまうとはな!」

2年前も巨大な悪と戦った。もうあれが最後だと思ったのに。
蘇った、いや真に目覚めてしまった巨悪から今度こそ世界を守るためにゲイルがシャニーの先を駈ける。
立ち止まることは許されない。今ここで自分達が食い止めなければ、永遠の絶望がどこへ逃げようと世界中を包むことになる。

「だけど私たちなら絶対に勝てる!行くぞ、ハデスの武器が絶対的な力なら、私たちの力は世界中の無限大の想いだ!」

2年前に感じた波動とは比較にもならないほど、、濃く、硬く、重い闇。
だがシャニーには確信があった。自分達はあの闇よりもっともっと、進化してきたと。
身に宿した光を迸らせながらその白き翼で空を駆り、彼女はハデスの待つ空へ舞い上がった。
「無限大だぁ?!」舞い上がる体を貫くような哄笑が降り注ぎ突き刺さる。

「おもしれええ!見せてみろやああ!」

でかい口を叩いたことを後悔させてやろう。一つ息を含む。
刹那、限界まで開かれた大あご。その中は紫紺に輝いており、ひときわ大きく光ったかと思うと
邪悪なるブレスとなって空から降り注ぐ。

「ドラゴンスケイル!」
「おもしれえ!セオのシモベか!おらおらどうした!押されてんぞオラァ!」

シャニーを守る蒼焔の盾が大地から吹き上がり、紫焔の前に立ちはだかった。
一度は受け止めたメルトのドラゴンスケイルだが、いつもの勢いがない。
受け止められてますます狂喜が空を覆い、邪龍から吐き出される紫焔がさらに強まった。

「くっ、何と言う力だ!これはっ・・・長くもたんぞ!」

明らかに今まで戦ってきたすべてとまるで違う。
今まですべての猛威から守ってきたドラゴンスケイルの異常に気付いたメルトは皆へ叫ぶ。
既にひびが入り始めており、余裕のない表情はそれだけで危機を知らせる。

「メルトの旦那!オレ様がしっかりフォローするから頼むぜ!」

とっさにレイが駆け寄って、メルト共に魔法障壁を張り巡らせ守りを強める。
二人がかりでようやくにマヴガフからの攻撃に耐えるが、それを見下ろす邪眼は笑っていた。
この程度で無限大とは、やはり彼らは何も真実を知らない。

「今度こそ貫いてやる!いっけええ!アストレア!!」

彼らがいつまでも嘘の中に浸かり、現実に目を覚まさない最大の原因。
それが今性懲りもなく弓を構え、光の矢を放ってきた。
確かにそのマナは本物で、弓の扱いも先代とそん色ない。
なるほど、嘘を無限に創り上げる鏡として立派に成長したということか。ならば・・・割り甲斐があるというもの。

「ギャハハハ!おいマジそれ本気なのかぁ?!痛くもかゆくもねえぞ!!」

敢えて避けることも跳ね除ける事もせずに直撃を許してやる。
だが、案の定だ。ニヤリと口元に嘲笑が浮かび、黄金の邪眼が驚愕に震える熾天使を見下ろす。
楽しい、この不安と驚愕、そして恐れに塗れた絶望の顔は何度見ても飽きないものだ。
「くそっ、全然効いてねえ!どうなってやがる!」確かにシャニーのアストレアはマヴガフを捕えたはずだったのに。
希望が一気に絶望へと変わって、ゲイルも地上から気弾を放ちながら苛立ちを隠せない。
だが、彼の反応がますますマヴガフに悦楽を与えてその声を愉快に跳ね上げる。

「あったり前だろーが!俺様は今!ダイモニオン・エムブレムと融合してんだゼェ!
 何を意味してるか分かるかぁ?!答えてみな!雑魚共!」

にんまりと地面に這い蹲る哀れな玩具たちを、そして空に舞う善神の操り人形を見下ろし叫ぶ。
絶望と言う名の真実を見せ付けられた彼らの顔に浮かぶものはひとつだ。
まだ、何とか否定しようとしている。嘘で真実を隠そうとしている。
ならば、隠せないほどにすべてを真実で覆いつくすのみ。

「生きてる間に教えてやんぜ!この俺様こそがっ、今悪神界の理そのものってこった!!」

彼の叫びと共に、融合した黒の魔道書がその体内で光りだしマナが吹き荒れる。
紫焔が天高くまで迸ると、その先には黄金の蛇眼が生まれて大顎を開き産声をあげる。
暗黒の龍の周りには紫紺の邪蛇が無数にうねうねとうねり、鎌首上げて下界を睨む。

「善神共の理でも引っ張り出してくりゃ話は別だがな!
 そんなクソ羽の力なんぞ、もう俺様には通用しネェんだよッ!死ねやオラァ!!」

すべての魂を食い尽くせ、主の目に一斉に大地を目指す大蛇たち。
飢えた彼らは獲物を前に目にも止まらぬスピードで空を貫き、大地を噛み砕き、先割って地響きをあげながら猛進してくるではないか!
彼らはドラゴンスケイルにその大顎を衝き立て、衝きたて、
しばらくそれを見下ろしていたマヴガフはひとつほくそ笑むを大きく息を吸い込み、絶望を吐き出す。
「くっ?!ぐ、ぐわっ!!」ついにヒビが全体へと広がり、絶対と謳われた守りがガラスの如く砕け散る。
術者たちはその衝撃に跳ね飛ばされて、吹き荒れる紫紺の風に足元を取られ
まるで人形のように空でもみくちゃにされ渦に飲み込まれるメルト。

「ヒャーッハッハッハ!雑魚共が!ぶっ飛べや!!」

守りを失った人形たちを人のみにしてやろうと迫り来る大蛇たち。
その黄金の蛇眼が唸りを上げて大地へ突き刺さろうとするが、人間達には為すすべがなかった。
その時だ。紫紺に引き裂かれる空に輝く一戦の白光。

「そうはさせない!みんなを守って!」

それまで猛威を振るっていた紫紺の風をあっという間に押しやった光の壁。
それがゲイル達を包み込んで大蛇たちの大顎を弾き飛ばした。
うなりを上げて睨みを利かせるが、本能的に嫌うのか猛進を止めて主を見上げだす。

「ヒッヒッヒ、おもしれえ。テメェらの絶望が俺様にどんどん俺様に力を与えてくれるぜ!」

熾天使の守りのマナで何とか絶体絶命を脱したようだが、マヴガフの顔が歪むことはなかった。
人間達は顔には出さずとも既に悟っているのである。あまりに荷が勝ちすぎた絶対的な力だと。
それが証拠に、湧きあがる絶望がどんどん空に膨らみそれが彼のマナの流れを一層高めていた。
こうなればもう、勝敗決まったも同然だ。闇は高まり、光りは萎む。
尤も、こんなことは戦う前から分かりきっていたことだが、いざ分かると楽しくて仕方ない。

「おい、熾天使様ヨォ?!どんな気持ちだァ?!
 テメェのその守護方陣が吹飛んだ瞬間に世界が終わるんだぜェ?こええよなぁ!!!」

彼女が宿すマナが切れたその瞬間、それこそがこの世界の終わりでありゼロ回帰の始まり。
それはシャニーも分かっているのだろう。何も言い返しては来ない。
いや、違う。今の彼女に言葉を返す余裕なんて欠片もないのだ。
ブレスを、大蛇を、世界を地平線のその先まで喰らい尽くそうとする蛇の全てを彼女ひとりで受け止めているのだから。
何も言い返せないことを良いことに、彼は哄笑と侮蔑をこれでもかと浴びせてやる。
親の因果が子に報い・・・彼女以外の全ての裏切り者への怒りも全て乗せて。

「くそっ・・・!今度こそ貫いて!」
「何度やっても無駄無駄無駄ァ!」

その中でも何とか隙を見つけてアストレアを放つシャニーだが、それがますます彼女に絶望を広げることになる。
満足な状態で放っても効かなかったアストレア。またしてもマヴガフは避ける事もなかった。

「ほら嘆け、叫べ!もっと歌って見せろやヒャッハー!!」

光の矢は彼を守る吹き荒れる紫焔のマナすら貫くことすら出来ずに飲み込まれていった。
顔が色を失うシャニーの顔を舐めるように見下ろした彼は、今わっと湧き上がってきた絶望をそのままマナに変え、
大きく息を吸い込んでブレスにして返してやった。重い一撃に光の壁が揺れる。

「これで分かっただろうが!!嘘じゃ真実に到底太刀打ちできねえんだよ!」

神が、そしてこの熾天使が創り上げてきた嘘の中でのみ意味をなす理など、今や蘇った本当の理で破壊しつくすのみ。
嘘の中では最強であっても、それは最強と信じ込まされているだけのこと。
神に従うように創られた人間達が疑いも持たないように創られた嘘の理なのだ。
だが、これだけ真実と言うものを見せ付けてやれば、もう彼らもそろそろ観念するころか。

「今こそ見せてやんよ!これが真実!世界再生こそ運命!ゼロ回帰って名の運命だ!」

だが、今目の前で必死に堪える熾天使がしぶといことは誰よりも知っているつもりだ。
その息の根を止めるまでは、世界再生は始まらない。
だが、そう簡単に殺すつもりもない。それでは人間共から奪い取れる絶望を髄まで味わえないではないか。
まだ殺さない、まだ。だが、次はもっと絶望を与えてやるべく、彼は配下のヨルムンガントすべてへ命じた。
あの白き羽を食い散らかし、その背中に穴を開けて純白を真紅に染め上げろと。
さっきより格段に数が増えた無数の鎌首が飢えた目を光らせいっせいに唸りをあげて突っ込んだ。

「ぎはっ・・・!?」

その華奢な身一つで受け止めるにはあまりにも強大すぎた。
ついに耐え切れなくなって吹き飛ばされた彼女は岩に叩きつけられる。
「みんな・・・大丈夫?!」とっさにすぐに守護方陣を展開しなおして大蛇が仲間に喰らいつくことは阻止したが
彼らがえぐった大地はすでにもはやここが平地であったとは思えないほどえぐれ、ひしゃげ、砕け穴があいている。
その中に倒れる仲間達に必死に叫ぶが、誰も身動き一つしない。

「あらあら~、全員ぶっ倒れちまったぜ?もう誰もテメェを助けてくれる奴はいねえ。」

絶望に顔が固まるシャニーを見下ろして、金切り声かと思うほどの狂喜を叫ぶ悪神。
このときを待っていたのだ。彼女を守るものすべてを奪った時、それが彼女を甚振る一番楽しい時。

「絶望って名の真実・・・その目に刻んだか?」

仲間を揺さぶって回るシャニーを攻撃する手を休めて見下ろす。
見よ、あの恐怖と絶望に塗れた涙にぬれ沈んだ顔色を。
これが見たかったのだ。最高に気持ちいい瞬間を楽しみ、そして湧き上がる絶望を取り込みマナは漲り、溢れる。
「ならそのまま死ね!」まだまだ楽しみたいところだが、ここで終わりではない。
熾天使を血祭りにあげて下界を無に帰した後は、今度は天上界の破壊が待っているのだ。
大顎を開けてシャニー目掛けてブレスを吐き、押し潰しにかかった。

「くっ・・・!私は、私は今まで支えてきてくれた想い達のために死ぬわけにはいかない!」

倒れた仲間達を自身の光のマナに包み、降り注いだ紫紺の嵐に耐える。
まだまだ、絶望が足りないと見える。闇のブレスを撥ね退けた光にマヴガフは舌打した。

「バカ言え!俺様の周りに集まる声はこう言ってるぜ?あの偽善を殺せ、殺せ、殺せェ!!ってなァ!」

実にまぁ都合のいいものである。自分に都合のいい言葉だけを集めて力とするとは。
彼らが言う光が救わずに、照らされなかった者達は絶望に蝕まれ旅立ったというのに。
彼らの絶望と憤怒の声こそが、ダイモニオン・エムブレムの源。
ここまで力を見せ付けられてなおオウムかのように同じことを言うとは、やはり所詮人形ということだ。

「何が光だ!都合のいいものだけを照らして他は全て闇に葬るテメェらに世界を語る資格はねえよ!」

彼らの救済対象は、自分達に都合のいいモノだけだ。
都合が悪くなれば、例えそれまで友好関係であろうとも手のひら返して闇に突き落とす。
悪神共と比べ物にならないほどあくどい連中の語る善など反吐が出る。
マヴガフの怒りを浴び続けたシャニーははっとしていた。
彼が世界を破壊しようとするその理由は、彼の言う嘘と言うものは、
善神界が、そして自分が、人々を守るといいながらまるで救済できないことへの怒りだったと察したからだ。

「・・・お前の力の源は人々の絶望だと言ったな。」

立ち上がり、弓を風に溶かすと上空を覆いつくす暗黒竜を見上げる。
一瞬何をする気かと眉が歪むマヴガフ。弓をしまい、もう万策尽きたということか。
しかし、まだ諦めていないことは彼女の口調とその気に要らない眼差しから伝わってくる。

「人間が生きる限りなくならネェもんだ。テメェらが自分の理想郷を創ろうと嘘の世界を守り続ける限り、な。」

善神共はいい、用がなくなれば棄てるだけなのだから。
だが、棄てられた側が一体どんな気持ちになるか考えたことがあるのだろうか。
恐らくは、棄てた事すら善にとっては記憶にないことなのだろう。
闇に葬られた者達が抱く黒く、重く、濁った感情が、捻れ、捩れ、溢れ、
今こうしてハデスとして蘇ったわけである。彼らを代表し、嘘を破壊し世界を救済する、それがマヴガフの意志だった。

「なら、彼らを救えなかった私たちにも当然責任はある・・・。
 私は彼らの想いをお前から開放する!誰もが絶望から解き放たれなくてはいけない!」

責任などと言う軽はずみな言葉を使う熾天使に怒りが込み上げるが、
押し潰してやろうとした時には、もう彼女の姿は地上になかった。
翼を広げ電光石火に飛び込んできた彼女は、丸腰のままマヴガフを横切る。

「ん?!おいおいテメェ、アストレアが効かないからって自棄になったのかぁ?」

彼女のとった行動が理解不能で、嘲りをたっぷり含んだ声が笑っている。
何と彼女はマヴガフの背中に飛び乗ってきたのである。
彼女ご自慢のアストレアが効かない今、何をしたところで無意味だというのに。

「人は幸せになる為に生まれてきた!その幸せを守るために私は存在する!
 善神界の意志がどうであろうと、この私に命が許される限り、私は彼らを守る!」

今まで聞いてきた善神界の行動から、マヴガフが言っていることも真実である部分は多いのかもしれない。
だが、だからと言って人々に絶望を与えようとする彼を許すことは出来なかった。
善神界の操り人形ではない。そう彼女は叫び、己の意志で世界を、人々を守るべく誓いを叫び
マヴガフの背の鱗をしっかり掴むと、渾身を振り絞って体が輝き始める。

「んおっ?!て、テメェ、俺様に直接のマナの浄化を仕掛けようってのか?!」

自身のマナを放出し、マヴガフの闇のマナの流れを引き裂きにかかっていたのだ。
突然に体に押し込まれた逆属性のマナにさすがのマヴガフも目を見開く。
白光と暗黒が空で飲み込み合おうとするのを、ようやく地上で目を覚ました仲間達は見上げるしかない。

「・・・おもしれえ!どこまで自分を買いかぶってやがる。
 たかが一熾天使が神・・・いや理の俺様とやりあおうだと?!そんなに死にてえのか、テメェはよお!」

だが、彼が苦痛を叫ぶ事は一切になかった。
もはやダイモニオン・エムブレムを完全に開放し、それと同期した今、
まさに彼は悪神界の理そのものなのだ。善神でさえも相手にならないだろうに、
その配下の人形が随分といい気になったものである。相手のマナを受けながら、口元が釣り上がって行く。

「ならリクエストどおりぶっ殺してやんぜ!俺様とマナ量でぶつかろう何てバカもいいとこだぜ!」

さすが人形共のマナを集める器だけはあり、そのマナは殺すには惜しいほどの強さだ。
恐らくは、今の状態では拮抗というところだろう。
ところが、そんな神を凌ぎ理を受け止める光のマナが目の前にあっても
マヴガフはまるで動じることはなかった。何せ、今はまだほんの仮初に過ぎないのだから。

「そのままそこにいな!ぶっ潰してやる!ダイモニオン・エムブエム、ペンタクルフェイス2オープン!」
関連記事
スポンサーサイト



総もくじ 3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
総もくじ  3kaku_s_L.png 当サイトの小説における登場人物たちのご紹介
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【3話:目覚める暗黒竜】へ
  • 【5話:黒の魔道書】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【3話:目覚める暗黒竜】へ
  • 【5話:黒の魔道書】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。