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 ←4話:絶望と言う名の協奏曲 →6話:英雄達の祈り
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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
The final chapter Outside of Lie

5話:黒の魔道書

 ←4話:絶望と言う名の協奏曲 →6話:英雄達の祈り
「そのままそこにいな!ぶっ潰してやる!ダイモニオン・エムブエム、ペンタクルフェイス2オープン!」

今まで開放してきた黒き魔道書のインデックスをひとつ展開することにした。
マヴガフから紫紺が天へと吹き上がり、悪神界ダイモニオンへと注がれる。
それそのものが巨大な魔法陣となって構成されたダイモニオン。その方陣の頂に設置された柱にまたひとつ紫焔が灯り、
理の命を受けて光ったペンタクルはマヴガフへ紫電を落としてマナが連結され、膨らみ、溢れあたりへ迸った。

「ぐっ・・・う、うああああ?!」
「そのまま俺様のマナに潰れろ!」

突然膨らんだマナがシャニーのマナを押し返し、逆にシャニーの体へと逆流した。
体が引き裂かれるような感覚に堪らず悲鳴を上げる。

「ヒャー!良~い歌声ダァ!鈴転がしてるみてえだぜえ!!」

今更逃げようとしたってそうは行かない。しっかりとシャニーを暗黒のマナで縛りつけ
漲り、膨らみ続ける暗黒をその身に押し込んでマナの流れを引き裂き続けてやる。
劈く悲鳴に狂喜を叫び、最高の悦楽に酔いしれる。

「まだだ・・・・まだまだだ!奥底から湧きあがるこのマナが枯れ果てるまではっ!」

蛇のように絡み衝き、巻き衝き、締め上げてくるマナがシャニーを包み込み、
体のあちこちから邪悪なマナを体へ流し込んでくる。
絡みつく闇のマナはまるで絶望の泥沼に沈んだものの手にさえ見えて恐怖を湧きあがらせるが、
彼女は強くマナを噴き上げてそれらを跳ね飛ばすと、再びマヴガフのマナを押さえ込みにかかる。

「チィッ、しぶといヤロウだぜ。ならもっともっと鳴かせてやんよ・・・。」

意外とがんばる人形に苛立ちながらも、反面楽しくて仕方なかった。
この悲鳴を、新世界の到来を知らせる断末魔をもっと世界に聞かせることが出来るのだ。
世界中が震えていることは、どくどくと新たに流れ込んでくるマナが教えてくれる。
彼は天界の方陣へ叫ぶ、もっともっと、絶望を世界中からかき集めろと。

「ダイモニオン・エムブレム、ペンタクルフェイズ3オープン!」

更なる地獄へと誘い、絶望でシャニーを押し潰しにかかる。
その悲鳴は地上の遥か彼方にまで響き、マヴガフをますます恍惚させる。
一瞬でも気を抜けば押し潰されそうなマナが華奢な身を襲い、頭の先から全てが吹飛んでしまいそうだ。
その反応を楽しみながら、少しずつ、少しずつマナ圧をあげていくマヴガフの口元は今
大蛇の如く裂けて悦楽を叫び、熾天使の悲鳴と混ざり合い絶望のプレリュードを奏でていた。

「くそっ・・・シャニー、今行くぞ・・・!」

ブレスの直撃を受けたゲイルが何とか拳を突いて立ち上がる。
最愛の悲鳴が響き渡る中、何もしてやれないままのわけには行くまい。
彼女だけに辛い思いはさせない・・・。
その想いだけで歩き出すが体中を今も駆け巡る破滅のマナがそれを阻む。

「くっ・・・体が動かない・・・。シャニーちゃん・・・・すまん・・・。」

あの屈強なゲイルがまた目の前で膝を衝き、倒れる。
心は悪友の許へ、そして今もひとり暗黒竜と格闘する熾天使の許へ駆け寄りイアのマナで癒してやりたい。
だがレイにはもう謝る事しかできなかった。途端、弱気を叱る声。

「何言ってるのよッ、祈りなさい!私たちに出来ることは、彼女を支えることよ。」

かつて同じ立場にあったものとして、エルピスは今すべきことを自ら率先して手を結ぶ。
妹分はひとりで戦っているわけではない。彼女より先に諦めてどうする。
ドラゴンスケイルを打ち破られ、頭からの流血が激しいメルトもまた、エルピスと共に手を結んでいた。

「我々全てがハデスを止める力だ。あいつひとりに戦わせはしない・・・!」

もはや娘も同然の存在を、今こそ支えられず何をすると言うのか。
メルトの言葉、そして強く祈る姿はレイ達にも自然と手を結ばせて、
ゲイルは祈りながらまた立ち上がり、少しでもシャニーに近づこうと歩いていく。

「一体どこまで・・・コイツのマナは膨らむんだ・・・。」

だが、彼らの祈りを嘲笑うかのように、ダイモニオン・エムブレムを介したマヴガフのマナは膨らむばかり。
何とか今までは自身のマナで相手のマナを押し返していたが、だんだん、少しずつ、
明らかに自分の悲鳴を絞り出す為に出力を上げてくる彼の前に押し潰されそうになっている。
「これ以上はムリ?ヒャハハハ!」次第に跳ね返すことが出来なくなり、光が闇に飲まれ始めてももう逃げ場はない。
彼女の手を、足を、そして翼を、しっかりとマナから生まれた邪蛇たちが絡みつき締め上げているのだ。
その無様な姿を、そして美しい歌声を聴きながらマヴガフは快哉を叫び続けた。

「ああそう!なら飛び切りを見せてやんぜ!」

もうどうやら達者な口も動かせないほどギリギリらしい。
そろそろメインショーも佳境と言ったところ。一番を魅せ場だ。
これが、新たな世界を向かえる祝砲となる。世界変革の時がついに来たのだ。

「ダイモニオン・エムブレム、ペンタクルフェイズ5オープン!死ねやぁ!」

前に彼はついにダイモニオン・エムブレムのすべてを引き出そうと全権の展開を叫んだ。
わっとひときわ大きく広がった紫紺の魔法陣が暗黒の雲に包まれ光を失った空に輝き、
地上から最後の希望へ祈っていた者達の顔を全て染め上げていった。

「負けるか!はああああ!」

あっという間に押し潰されて、辺りには血飛沫と断末魔が飛び散るはずだった。
ところが、代わりに背から聞こえてきたのは相変わらず往生際の悪い熾天使の悪あがきだけ。
一体どこから、悪神界の理に耐える力が・・・。
だが、それ以上にマヴガフを仰天させたのはダイモニオン・エムブレムそのものだった。

「んん?!な、なぜだ!なぜ展開しない!フェーズ5!」

熾天使のマナが特別膨らんだわけではない。
ダイモニオン・エムブレムの全権能が展開しきっていないのだ。
間違いなく、すべての封印は開放したはずなのに、黒の魔道書は5番目のインデックスをマヴガフと連結していなかった。

「ふむ、やはりお前では扱いきれなかったか。」
「?!」

今まで一方的に悦を浮かべていた目が驚愕に見開かれていた時だ。
突然に語りかけてきた声は明らかに直接頭に響いてきていた。
おまけに聞きなれた声がもたらした謀を思わせる言葉に激昂する。
「ルネア!やっぱりたぁどういうことだ!!」大賢者は異常事態を前にしても平然としており、それどころか予見していたというのだ。
それを知らせなかった彼への怒りと湧きあがる焦り。言葉にありあり載せて答えを奪い取る勢いで叫ぶ。

「新たに展開されたフェイズ6、結局お前は開放できなかった、そうだろう?」

だが、彼の焦りを嘲笑うかのようにルネアは事実を口にして突き放す。
開放できなかったということは、ダイモニオン・エムブレムに認められていないということだ。
だが、その言葉にますます激昂するマヴガフ。創り手が被創造物に認められるも何もないではないか。

「そんなもん関係ねえだろ!つかテメェが開放の仕組みは調べてたんだろうが!」

ルネアは未知の探求に没頭し、その解明された魔道書でハデスが世界を再生する。
最初からその計画で、彼らは共に行動をしてきたはずだった。
それが今になって責任逃れとも言えるようなことを言うあの男に怒りが収まらない。
いや、腹が立つだけならいい。宿敵を前にしたこの一番大事なときに枷が外れないのでは何の意味もない。
それどころか、悪神界の理をあの光に砕かれてしまう危険だってあるのだ。

「開放するのは使用者のお前だ。お前にはそれは過ぎたオモチャと分かった、もう十分楽しんだだろう?」

だが、ルネアにはそのような危機感はまるでなかった。破壊されるということは、不完全であるという事。
不完全を守る意味はない。より完全なものへと作り直せばいいだけではないか。

「これは俺様が設計したものだ!オモチャに決まってんじゃねーか!」

だが、この男はどこまでも真理というものが分かっていないらしい。
無理もないかもしれない、この男は自分を理と言っている時点で勘違いから脱していない。
無様な咆哮を一つ鼻で笑い飛ばすと、ルネアは観測を続けることにした。

「ならばもっとうまく扱って見せろ。熾天使に押されているようだが?」

正直、ルネアにとってこの戦いの結末がどちらに転ぼうとも期待はしていなかった。
どちらも未完成であまりにも使い物にならない。
何れに世界が傾こうとも、修理しなければならない状況に何ら変わらないのだ。
それでも彼が観測するのは、どの程度“修理”を想定しなければならないのか確認するため。

「んおっ?!何で出力があがらねえ!」

ダイモニオン・エムブレムのすべての方陣を展開しているはずなのに、
シャニーを押し潰すどころか彼女のマナが体に逆流し始めている。
魔道書は機能している、なのにマナの出力は下がり続け、まるでマナが逃げ出しているかのようだ。
ありない状況にマヴガフの蛇眼は焦りで見開かれていた。
「・・・お前か。」哀れな人形の姿を天界から見下ろしていたルネアの背後に突然現れる影。
彼女は静かにルネアの許に歩いてくると、共に下界を見下ろしほくそ笑む。

「もう十分だ、ダイモニオン・エムブレムのペンタクルオープンに異常はない。」

横で微笑む氷の笑みに、黒の魔道書そのものの機能は今なお設計どおりであることを告げる。
問題は白の魔道書だが、横で笑う女性にとっては恐らく関係のないことだろう。
案の定、観測結果を聞いた赤髪の女性はハープを取り出すと指で弦をなぞりだした。

「ダイモニオン・エムブレム、リミッター始動・・・。」

突然に動き出すダイモニオン。方陣を頂に燃え盛る、展開を意味する紫紺の灯火が消えていく。
マヴガフが開放し、連結した方陣が次々とハープから奏でられる呪文のような調べに呼応するかのように
それまでの輝きを内に隠して、散り散りになっていく。

「?!これならいける!はああああ!」
「ぐううっ?!出力が下がってやがる!ルネア・・・!テメェ、何しやがった!」

それまで自身に絡み衝き、締め上げていた紫紺の邪蛇達の拘束が一気に緩み、
押し潰そうと自身を包み込んでいたマヴガフのマナが突然肩透かしを食らったかと思うほど弱まる。
この機を逃すかと、シャニーはこの瞬間に賭けてありったけのマナでマヴガフを押さえ込みにかかった。
彼女のマナが逆流し、体が痺れて動けず墜落しかける暗黒の龍。
その怒りの矛先を彼女へ向ける余裕は、もはや今のマヴガフにはなかった。

「私はただお前を観測しているだけだ。出力が下がったのなら、お前が使いこなせていないだけだ。」

設計をしたのが自分だと言うのなら、今起きている現象も理解出来ているはずだ。
彼は完全に忘れている、設計をしたのは確かに彼だが、彼だけではないと言うことを。
いや?そもそも、設計をしたのは彼ではない。彼が設計者本人と“勘違い”しているだけで。

「もう少しだ・・・もう少しで!お願い、みんな力を、力を貸して!」

先ほどのまでの恐ろしいほどのマナの波動が嘘かのようだ。
暗黒竜を自らのマナで包み込んだシャニーは、痺れる体に鞭うって空に飛び出す。
宙に距離を開けた彼女の諸手に生み出された銀の矢から光吹き上がり闇を狙う。

「いっけえええ!アストレア!!」

もうこれが最後の一撃になるようにと祈り、己に残されたすべてを矢に篭め解き放った。
凄まじい閃光が暗黒に包まれる空を引き裂き、身動き取れずに居る闇の龍に襲いかかる。
マヴガフもそれには気付いたが、ようやくシャニーのマナを引きちぎって拘束を逃れるので精一杯。
迫る光を前にとっさに守護方陣を形成して受け止めにかかった。
「ぐわっ、防御が!!」アストレアの前に無力に砕け散る魔法陣。
ありえない、ダイモニオン・エムブレムの力があればこの程度かゆみさえおきない程度のはず。
現に先ほどまで、完全なる力量差がこの世界を覆っていたのに、一体何故なのだ。
理解できないまま、マヴガフはアストレアの光に締め上げられていく。

「シャニー!」

全ての力を使いきったシャニーの背中から翼が消える。
まるで糸が切れたかのように宙で制動を失った彼女は頭から地上へ一直線。
とっさにレイが魔法障壁を生み出してシャニーを包み、ゆっくり降下してきた彼女をゲイルがしっかりと両手で受け止めた。

「今なら・・・今ならあいつを・・・あいつを倒せる・・・。ぐう・・・。」

マナを使い切り、蒼褪めた顔に脂汗をびっしょりとかくシャニー。
これ以上マナを使えば命に関わるが、彼女はあきらめていなかった。
もう一度弓を召喚して握り締めようとする。だが、もはや限界を超えた体はもはやそれすら満足にできなかった。
悔し涙を流す。己のすべてを出し切っても、マヴガフを仕留め着れない。
だが、ここまでやってくれれば十分とそっと彼女を抱きしめて手を握るゲイル。

「シャニー、俺がお前に代わってマナを撃つ。マナの融合を頼む!」

彼女の想いを、命をかけて咲かせた花を無駄にさせるわけには行かない。
彼女が出来ないなら、代わりに自分がやって見せよう。それこそが相棒の、守護者の務めだ。
しっかり彼女の手を握り、自身のマナを彼女に与えながら右腕をそっと空へと伸ばす。
開かれた手のひらに渾身を篭め、その中に生み出された気弾が宙にもがく龍を狙う。

「ゲイル、お願い。みんなも、みんなもお願い!!」

残り僅かなマナを彼から受け取ったマナと融合させ次々ゲイルへと送る。
同時に彼女は胸元で手を握り締めて必死に心の中で世界中に祈った。
今こそ、皆の想いが必要な時だと。世界を絆という方陣で結んできた彼女の光の号令は
東の空で爆ぜる光と闇を見守るすべての生きる魂の心に直接響いたという。
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