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 ←7話:エピローグ →Prelude:Beginnings of rebellion for
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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
The final chapter Outside of Lie

Last Episode:Outside of Lie

 ←7話:エピローグ →Prelude:Beginnings of rebellion for
 悪神の野望に打ち勝ち、人間達が絶望を砕き希望を拾い集めて世界へ戻っていった後、
激戦が繰り広げられた聖地はそれまでの激闘が夢だったかのような静けさに包まれていた。
マヴガフによって破壊しつくされ、荒れ果てた石造りの肌に風が吹き抜けていく。
その場所に観測を終えて一人降り立った男。
彼は静かにその中を歩き、その中に残骸を見つけて歩み寄るとじっとローブの中から見下ろす。

「何故このような場所で寝ている、シャニーはどうした。」

ルネアだった。彼はシャニーたちに破れ倒れるマヴガフを見つけていたのだ。
その問いにしばらく反応はなく、死んでいるのかとさえ思ったときだった。
仰向けに倒れ、帽子に隠れた目元からぎらりと怒りが光り、睨みあげてきた。

「見てわかんねえのか、さっさと助けやがれ・・・!」

やはり生きていた。生命反応があるから確認しに来たのだが、無様な姿だ。
もう立つこともままならないのか、倒れたまま掠れた声で咽りながら救いを求めてくる。
だが、ルネアはやはりじっと見下ろしたまま“観測”を続ける。

「ふむ・・・あのような出来損ない如き相手にできぬとはな。」

いくら熾天使の権能を継承したとは言え、今の熾天使は人間だ。
ダイモニオン・エムブレムをもってしてもその不完全に敗れるとは。
ある程度予想はしていたが、予想を下回ったのか、それとも相手が予想を上回っていたのか。
分析に入ろうとする彼に、下からまた苦しそうにかすれる声が怒りを吐き出してくる。

「あのクソ羽!次会ったら絶対殺す・・・!」

ここまでの屈辱を味わったのは久しぶりだ。あの善神共の裏切りの時以来か。
殺意を丸出しにして、牙を、そして邪眼を震わせるマヴガフ。
それまで腕組みをし、どこに視線があるか分からないような感じで空を見上げ考え込んでいたルネアだが、
マヴガフが口にしたフレーズにふと、腕組みを解いて彼を見下ろした。
そのローブの中の眉間にしわがよったことはマヴガフからも分かり、彼の怒りの口元が歪む。

「強化したとは言え、やはり・・・所詮は人形と言う事か。」

次があると思っているらしいが、実験台に次があるのは観測内容がある場合だけ。
もう十分にデータは取れた。既に彼の嗜好は次のステップへと映り、使い終わった残骸などもはやゴミとしか映っては居ない。

「あ?テメェ・・・何言ってやがる・・・俺様が人形・・・うおっ?!」

もちろん、それを言われたほうが口元にありありと怒りを滲ませて睨みあげる。
だが、もはやルネアの視線は自分にはなく、どういうことか問い詰めようとようやく立ち上がりかけたときだ。
突然背中を乱暴に蹴り飛ばされてうつ伏せに倒れこむ。
すぐに手元にヨルムンガントを握り締めて立ち上がろうとすると、今度は頭を踏みつけられた。

「ヒャー、汚ねえ面!」

頭上から虫唾が走るほどに狂喜を叫ぶ声が降り注いでくる。
一体何者だというのか。睨みあげてやりたいのだが、踏みつける足が靴裏をこすりつけるようににじってくる。
「どんな気持ちだ?あん?どんな気持ち?ヒャハハハ!」まるでそんなマヴガフの怒りを楽しむかのように、踏みつけながら上体を屈め、
彼の視線に相手があわせてきた。漆黒と深緑で染まったローブの中に光る黄金の蛇眼。
それが好戦的にこれでもかと笑っている姿に、マヴガフは思わず目を見開き声を失う。

「ど、どうなってやがる?!」

シャニーたちから受けた傷はうずき、そして今頭を踏みつけられた感覚も間違いなく本物だ。
夢でも幻でもなんでもない。だが、目の前にある光景はとても信じられない。
「な、なんで俺様がもう一人?!」黒のローブの中にある挑発的な笑みは、まさに自分のもののはず。
驚愕を叫ぶマヴガフとは対照的に、“もう一人の”マヴガフは腹を抱えて笑い出した。

「バッカじゃねーの!俺様は『俺様』ただひとりに決まってんだろーが!ヒャハハ、あ~マジウケるぜ!」

人の頭を踏みにじったまま、腹を抱えて天を仰ぐ。
するとローブの頭がするりと抜けて、中から現れたのはマナに逆立ち天を突き刺す赫然なる髪と
すべてを見つめ、飲み込まんと野心溢れる黄金の蛇眼だった。

「目が覚めたか、ハデス。」

奇声とも取れる笑い声へルネアが放った言葉は、マヴガフの目をさらに見開かせる。
一体何がどうなっているというのか。ハデスは今、足元にいるはずなのに、
明らかにローブの中の視線は、頭上でへらへらと笑う男へと向いている。
男のほうも、ルネアに名を呼ばれてそちらを向くとニッと口元を持ち上げて首をぽきぽきと鳴らして見せた。

「ア~、ようやくな。しっかし・・・結局この恰好かよ。
 天下の大魔道師様でも、五人がかりの封印は早々解放できねえってか?」

自分の姿を見おろして舌打を始める男。視界に映る姿は明らかに人間。
人形共と同じ格好というのはどうにも気に入らないが、確かに力が蘇る感覚はある。
体の隅々まで力を入れてみると、彼はまた嬉しそうに口元を持ち上げた。

「今は奴らに勘付かれるわけにはいかん。敢えてその形にしたのだ。」

為そうと思えば、元の姿で復活させてやることだって出来たが、
今はその時ではないとルネアは男に釘を刺した。決して、力を行使するなと。
まだ彼自身だって復活から浅く、マナも不安定なはずだった。
その中では、“この形”のほうがマナの安定はいい。何せ、この形用にこの世界のマナは調整されているのだから。

「ちっ・・・あのクソ共!今度こそぜってーにぶっ殺してやんよ・・・!」

忌々しい過去を思い出した男は、ローブの中でもはっきりと分かるほど牙をむき出しにしている。
その鋭く切れ上がる黄金の蛇眼が見上げるのは間違いなく天上界であり、
赫然とする髪が怒りのマナに揺らめき、またローブを吹き飛ばしかけている。

「おい・・・テメェら・・・・これはどういうことだ!」

下から弱々しい声がしがみついてきて、人の怒りに水を刺してきた。
鬱陶しそうに見下ろすと、そこには自分と似ても似つかない情けない顔が睨みあげている。
しばらくの哀れな姿をニヤニヤと見下ろしていた男は、静かに踏みつけていた足を上げる。

「うおっ、ごほっ・・・。」
「テメェ、言葉遣いに気ィつけろや。・・・殺すぞ?」

渾身を振り下ろし、情けない顔に再び地面を舐めさせた。
細い足だが、その力は凄まじく地面が拉ぐ。そのまま押し付けるように踏みにじり、
彼は立場の違いをマヴガフに見せ付けながら一つ鼻で笑う。
その声は自分とそっくりで、そっくりがゆえにその嘲りが余計にマヴガフの怒りを爆発させた。

「テメェこそ調子に乗ってんじゃねえ!俺様はハデス様だぞ!」

これは驚いたと細い目を見開いた男は、ルネアを見つめて何か言いたげだ。
だがルネアもノリの悪いもので、彼は何も返すことはしなかった。
それでも、マヴガフにはルネアの反応が何かおかしい事をすぐに察していた。
その顔を舐めるように見下ろしてきたローブの男は、負け犬の見せる牙を指差して
額に手を当てながら天を仰いで馬鹿笑いを始める。

「ギャハハハ!テメェ、なかなかギャグのセンスがあるぜ!ま~だ自分が神だと思ってんのかよ!」

今までもこうしてこの世界の人形共にハデスを名乗ってきたのだろうか。
哀れなものではないか、自分の正体も知らずに、わざわざ人の復讐に手を貸してくれていたのだ。
だが本人にその気はなく、自分こそ神だと今なお信じて疑うこともない顔は、
真実を知るものにとってはこれ以上無いほどの猿芝居で腹が痛くて堪らない。
壊れたかのような奇声が辺りに飛び散り、抵抗も許されず浴びせられる。
「うるっせぇぞ!」ついに我慢の限界に達したマヴガフは男の足を跳ね除けると距離を開け、
手先に短剣を召喚すると、その視界に男とルネアを捉える。

「喰らい尽くせ!ヨルムンガント!!」
「キャンキャン人形の癖に良く喋る奴だなァ?」

これこそ、自身が神である事の証。神獣ヨルムンガントに渾身をこめて放つ。
命を受けた蛇たちはその刀身を蛇頭に変え、牙をむいて男達へと迫るが、
男は相変わらずポケットに手を突っ込んだまま、ローブの中でニタニタと嘲笑を浮かべるだけ。

「おい、テメェら、もういいぞ、好きにしてやれ!」

迫り来る邪蛇達にひときわ口元を釣り上げた男は彼らを呼び、ポケットから出した手先をまっすぐマヴガフへと向ける。
するとどうだろうか、蛇たちは何と男の指先に操られるかのように向きを変えたではないか。
向かう先はもちろん、今まで散々主でもないのに命令してきたあの男。

「な、なんだと?!ヨルムンガント!俺の命令が聞けねえのか!」

それまで従順だった神獣たちが自分に牙をむき仰天したマヴガフは思わず腰を引く。
だが、蛇たちは明らかに喉もとを狙って襲い掛かってきており、
彼は手元に残された立った一本の短剣でそれらを弾くことで精一杯だった。
その様子にほくそ笑んだローブの男は静かに歩き出すと、放り出されていた黒の聖書を拾い上げる。
息を吹きかけ埃を払い落とし、中をぱらぱら開いて覗く口元がまたニヤリとした。
確かに、8割がた封印は開放されている。あの人形も、しっかり仕事はしてくれたらしい。

「見せてやるよ、神の真の力ってもんをなぁ!ダイモニオン・エムブレム起動!!」

そろそろ、あの人形に神ではないことを思い知らせてやらねばなるまい。
男は黒き聖書とマナを連結させると、一気に自身のマナを注ぎ込んで方陣を展開して見せた。
凄まじい邪のオーラがわっと辺りに迸り、音速に駆抜けた風だけで地は抉れ空は裂けて捻れた。
ローブの頭部が吹飛び、赫然なる髪がマナに揺らめき空を焦がす。

「なっ、くっ、くそったれ!離しやがれ!」

目の前でまさか自分しか扱えないはずの悪神界の理を起動されても、マヴガフは自衛で手一杯。
いや、それどころかついに無数の蛇に絡みつかれ、締め上げられて身動きが取れなくなっていた。

「・・・・?!」

締め上げられあまりに苦しくて天を仰いだ視界に突然映った光景は、彼に言葉を失わせるに十分すぎた。
空を覆いつくす黒の大蛇たち。それらはギラギラとその黄金をぎらつかせて自分を見下ろしていたのだ。
今まで従えて来た者達に食われる。その危機感に彼は固まっていた。
その絶望を十分に楽しんだ赤髪の男が指を一つ弾くと、繋いでいた綱が切れたかのように一斉に降り注ぐ大蛇たち。

「どうだぁ?!気持ちいいだろォ、痛ぇだろォ!」

マヴガフの体に我先にと突っ込む、その大顎で食いつき、噛み砕こうとする神獣たち。
もはや悲鳴を上げることをさえも許されず、もみくちゃにされる彼を眺め狂喜を発する男。
「叫べ!嘆け!おらおら!ヒャーッハッハッハ!」さらに蛇を召喚して、次々マヴガフへと投げつけてやる。
もはや聖地は黒一緒に染まりあがり、蛇たちが蠢く魔界と化したが
蛇たちは突然何かに勘付くとマヴガフのもとを離れて主の手元へと戻っていった。

「おい、ハデス。そのくらいにしておけ。」

ルネアがマヴガフを守るように守護方陣を張り巡らせたからだ。
男も舌打はしているが、ルネアの言っていることも分かるようでそのまま蛇たちをしまう。

「今死なれては意味がない。」

そういいながらマヴガフに近づいたルネアはマナで彼を宙に釣り上げると
まだ意識があることを確かめるようにして顔を覗きこむ。

「俺様が・・・こんな・・・クソに・・・!」

血まみれの顔の中で僅かに黄金が動き、睨み付けてくる。
虚勢を張れるほどまだ元気なようだ。もう少し遊べるに違いないと、背後から嘲笑が近づいてくる。

「おいおい、一応テメェも“俺様”なんだぜ?自分で自分をクソだなんて、自虐癖でもあんのか?」

ポケットに手を突っ込みながら睨みあげるような眼光で近づいてきた男は
ヨルムンガントたちに蹂躙されて形歪むマヴガフの顔を舐めるように見上げてケラケラ笑っている。
だが、その笑いがふっと消えると、怒りを顕に睨み付けてくるマヴガフの顎をがっと掴んで顔だけ引き寄せる。

「いいか、よぉーく聞けや。この俺様が、正真正銘のハデス様なんだよ!」
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