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 ←Last Episode:Outside of Lie 
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「ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~」
The final chapter Outside of Lie

Prelude:Beginnings of rebellion for "ZERO"

 ←Last Episode:Outside of Lie 
 まだ自分の立場が分かっていないこの人形は、ちゃんと言ってやらないと分からないらしい。
だが、せっかく教えてやったというのに、死に掛けの彼はヘラヘラと壊れたように笑い出したではないか。

「適当言ってんじゃねーよ・・・。俺様がハデスだぞ。そうだよな、ルネア?」
「ま~だわからねえのか。」

弱々しく問いかけて来た声にルネアは何も返すことはしなかった。
それどころか、もう興味もないといったところか。視線すら注ぐ事もしない。
その横では両手を広げて呆れる男が嘲笑を垂れ流していた。

「こんなトロいのが俺様を演じてたのか。
 あのクソ羽に相当誤解されちまってるなぁ、機を見て挨拶しておかねえとナァ?」

いくら自分達が創った人形とは言え、この世界では今のところこのマヴガフがハデスで通っている。
おかげで随分と今までことがスムーズに運ぶことが出来たのはいいが、
あまり熾天使どもを調子に乗せるのも気に入らず、ちろちろ舌なめずりしはじめた。

「ハデス、妙な気は起こすなよ。」
「んなこた分かってる。いちいちうっせーよ、ウゼェな。」

ルケシオンの方角を見下ろすその眼差しは、明らかに熾天使を血祭りにして楽しもうとしている。
それをすぐに察したルネアが釘を刺すと、男は舌打しながら牙をむいてルネアに突っかかった。
だが今は、熾天使の前に始末しなければいけないものが目の前にいる。

「テメェも知ってんだろうが。ハデスってのは全てが本物であり、全てが化身だ。
 スオミに封印されているのもテメェより下位のコピー品だ。」

人間達の憎悪や憤怒、そうした闇や醜から生まれるマナの集合体。
それがハデスの原始体であり、人間が生きている限り不死身の神である。
男にとっては滑稽でならない。そうやって生まれた本物共が、我こそは神と叫ぶ姿が。
その成れの果てが今目の前の無様な姿だ。所詮、人形は人形に過ぎない。

「なぁ、そうだよなぁ、ルネア様よ?」
「あれほど出来損ないだったとは・・・そして今回も。私もまだまだ未熟と言う事だな・・・。」

失態を突きつけるかのように嫌味に塗れた口調でルネアを覗き込む男。
彼の言葉にルネアは一つため息をつくと額に手をやって自身の無明を恥じだしたではないか。
だが、マヴガフを驚かせたのはルネアの態度ではなく、その言葉であった。

「ちょっと待て・・・。ルネア、今回“も”ってのはどういうことだ!うごっ、おえっ。」

ルネアににじり寄ろうとしたその時だ。突然に足払いを喰らい視界が中に転がる。
すぐに起き上がろうとした彼の腹に足を振り下ろし、地面に打ちつける。

「いい面してんな?そう、テメェもハデス、そりゃ間違いねえ。この俺様が認めてやんよ。」

あまりに息苦しくて何も返せず苦痛に顔を歪ませる。
それを見下ろして勝ち誇った笑みを浮かべてくる男は、立場の違いを見せ付けるように足に力を篭める。

「だがよ、テメェも俺様とルネアが創った出来損ない。俺様を目覚めさせる為に創られた人形ってわけよ!」

確かに全てがハデスの化身。だが、彼らは少なくとも神ではない。
それを“本物”というだけで神を名乗るとは片腹が痛いと天を仰ぎ気に障る笑いを吐き出す。
当然だ、善神共と違い嘘が嫌いな悪神は、決して偽者などつくりはしない。
だが、数ある本物の中でも当然神は一人だけ。それがこの男。
すべての本物を創り上げてきたハデスを統べる者、悪神ハデスだというのだ。

「ハデスはセオ達五大神によって封印されていた。
 だが、今回お前が均衡の崩壊を導いてくれたおかげでその封印が弱まったのだ。」

ルネアの言葉を要約すれば、自分は利用されていたに過ぎないと言うこと。
ルネアはもちろん、このローブの男もこうなることを知っていたということか。
ダイモニオン・エムブレムを手に見下ろしてくる男は、復活を喜んでいるのかご機嫌だ。
人が瀕死の重傷を負っているその頭上で繰り広げられる神界の会話はにわかには受け入れがたい。

「ヒッヒッヒ、感謝してるぜ?マヴガフちゃんヨォ!」

感情を逆撫でる男のケラケラとした笑い声が舐めるように見つめてくる。
ヨルムンガントたちに食い荒らされ、腹を踏みつけられ身動き取れぬマヴガフは弱々しくも睨みつけるしか出来ないでいる。

「ま、“俺様”の復活に貢献できてテメェも嬉しいだろ?ヒャハハ!」

別に嬉しくなくともこの男にとってはまるで関係ないだろう。
何せ、自分の為に創った人形なのだ。どう人形が思うおうとも、結果さえ残してくれればそれで合格。

「こいつは他の化身とは違う、ハデスが創り上げた自身の権能そのものだ。
 お前達は・・・この男が創り上げた模造品に過ぎん。」

嘲笑をはきかけてくる男の横から、ついにルネアもまた真実を口にした。
どこにも逃げ場はない。ストレートな言葉がマヴガフを突き刺して彼の表情を奪う。
またローブの男は顔を手で覆いながら天を仰いで馬鹿笑いを始めている。

「嘘だらけな世界をぶっ壊そうとしてたら、まさか自分自身も嘘そのものでしたってな!
 こりゃ悲劇を通り越して喜劇だなァ、オィ?ウッハッハ~、超ツボったわ!」

認めるわけにはいかない事実を目の前にして、マヴガフの目元が震え始める。
もう、頭はすっかり悟っている。この男が、自分ではなくこの男が悪神ハデスなのだと。
否定できる材料が何もない。目の前でダイモニオン・エムブレムを開放し、ヨルムンガントを従える男から溢れ出すマナは
間違いなくハデスのマナなのだから。いや、違う、そんなはずはない。

「俺様は俺様だ!俺様こそが世界を・・・ぐあ!」
「なぁ、そろそろ答えろや?俺様が質問してんだろ?」

人形の分際で未だに立場を弁えずに喚き散らすマヴガフに舌打をしたハデスは、
眉間にシワを寄せるとマヴガフの腹に乗せていた足を軽く上げるや否やつま先で顎を蹴り上げた。
その勢いのまま仰け反った顔を踏みつけ、口元を釣り上げる。

「ねぇどんな気持ち?人のこと人形、人形って騒いで“俺様”だと思ってたら
 テメェも“俺様”に操られた人形だって知って、ねえ、どんな気持ち?」

嘲笑に揺れる声を抑えながら、人形を見下ろしてその憎悪の眼差しを観察しはじめる。
ここまで腹が煮えくり返る相手など今までいただろうか。エルピス・・・いや、この男はそれ以上に腹が立つ。
今までする側だったはずなのに、同じ顔に覗きこまれ今度はされる側。無性に腹が立って仕方がない。

「テメェ・・・必ず・・・殺す・・・ッ!」
「ギャハハハ!いいネェ、その憎悪!」

黒く光り、濁り、滾る怒りをぶつけても、ハデスは腹を抱えて笑うだけ。
何かできるものならやってみろ、そんな挑発的な目が見下ろしてケラケラ笑ってくるのだ。

「どいつもこいつも、何度顔合わせても同じ憎悪しかねえの。だけどテメェは違う!
 イヤァ!自分自身に憎まれるとは初めてだわ~!これだよ、俺様が求めてたモンはヨォ!」

よく分からない事を口走って悦に浸るハデスの下で、マヴガフは睨み続け牙で屈辱を噛み砕き続けていた。
何とかあの顔をゆがめてやろうとしても、もはや自分に残されているものは何もない。
ダイモニオン・エムブレムは奪われ、ヨルムンガントもハデスの下へ戻り、
手元に握り締める一本だけしか残っていない。この蛇も相手との力量差を前に完全に怯えており、
威嚇に唸ってはいるもののハデスが視線を移すや否やそのマナはびくついて震えている。

「ま、精々俺様のこと憎んでくれや?それが俺様の力になるってもんよ。キヒヒヒッ。」

尤も、そんな雑魚に用はないとすぐに視線をマヴガフに戻したハデスは覗き込むようにして屈み、
マヴガフに一つ挑発的な笑みを見せ付けると足を退かしてやった。
もう飽きた、というほうが正しいのかもしれないが。

「さて、と。マヴガフちゃんヨォ、テメェにはもうひとつ俺様のために役立ってもらうぜ?」

僕の蛇に命じてマヴガフを締め上げながら宙に吊るす。
その顔をにんまりと見つめたハデスは、使い古した人形へ残された最後の仕事を与える事にする。
もはや血まみれで殆ど身動き取れないマヴガフだが、それでも抵抗はやめない。

「誰がテメェなんかに・・・!いっそのこと殺りやがれ!」
「テメェに指図される筋合いはネェよ。そろそろ諦めて人形は大人しく操られとけ?楽になれんぜ。」

自分は神でもなく、世界を自身の手で再生することも叶わない。
その存在が他の誰かの道具としての価値しかないと分かった今、もうこれ以上存える意味などなかった。
それどころか、こんな男の為に生きるなど死んだほうがマシなのだが、
最後まで絶望を与えようというのか、この悪神は。その横では、不気味に何やら詠唱を始めるルネアの姿が映る。

「ハデスが封印から開放されたことを善神共に勘付かれるわけにはいかん。
 だが、彼らが気付くのも時間の問題だ。・・・その代わりを入れておかねばな。」

魔術師の神、真理の観測者ルネアの唱える呪術で浮かび上がる禍々しい魔法陣。
それは中心へと黒く、濁った渦を撒いてすべてを飲み込むブラックホールかのようだ。
つるし上げられたマヴガフは眼下に広がった底なし沼に目を見開く。

「ま、まさか?!」
「そゆこと!テメェが集めた力やダイモニオン・エムブレムは俺様が使ってやるから、安心してお寝んねしな。」

何が進められようとしているのかを察したマヴガフはもがき始めるが、神獣の締め上げる力は強くなるばかり。
焦燥とする彼の前で、ハデスは黒の聖書をマヴガフに見せ付けると背を向ける。

「ま、待てッ、待てよ!おい、コラ!やめろって言ってんだろ!」

絶望を湧き上がらせる悪神の狂気に満ちた笑いがどんどん遠ざかっていく。
伸ばせない手の代わりに首をありったけハデスへとせり出そうとするが、神は後ろ向きのまま手を振った。
ようやく振り向いた場所は魔法陣の端。彼はひときわ口元を釣り上げると両手を天へと掲げる。

「我、闇を支配せし者!冥府の扉よ今ここに開け!ダイモニオン・エムブレム、起動!!」

両手に集まった紫紺のマナを渾身で地面へと叩きつける。
電撃が走るように地面を張った蛇たちが魔法陣の中を駆け巡り中央を目指す。
彼らがマヴガフの足元、中央でぶつかり合った途端、地響きが起きて魔法陣が扉の如く口をあけた。
凄まじいマナの流れが足元で渦巻くなか、無情にも神獣たちは締め上げていた力を緩めた。

「ぐああああ?!」

底なし沼にまっさかさまのマヴガフへと伸びる無数の手。
もはや逃げ場などない彼を逃がすまいとする魔界の憤怒や憎悪に塗れた亡者たち。
マナを吸い上げられ、為すすべもないまま少しずつ、少しずつ飲まれていく。

「殺す・・・テメェら全員・・・ぶっ殺してやる!待ってろよ、コスモフォリアのクソ野郎共!!アーヒャハハハハ!」
「おー、こええ、こええ。さっすが“俺様”の憎悪はワケが違うってな、ヒヒヒッ。」

まだ諦めてはいない。必死にもがくマヴガフが怒りを迸らせる。
だが当然、ハデスにとってそれは負け犬の遠吠え。絶望に沈み行く者を見下ろして何とも楽しげ。
漲り、溢れて来る。化身から溢れ出す憎悪が、彼に力をさらに与えているのだ。

「無駄口を叩いていないで行くぞ、我々にはせねばならぬことがある。」

いつまでも悦に浸って動こうとしないハデスを後ろから呼ぶ声。
元々、出来損ないの人形に興味などないルネアが、これ以上待っていられないと歩き出していた。
指図されるのは気に入らず一度は舌打したハデスも、もはや前座は終わったと背を向けた。

「ケヒヒヒ・・・。では、参るとするか?この嘘だらけの世界を正しに。」

大分マヴガフががんばってくれたようだが、これからがメインショーの始まりと言ったところだ。
嘘つきには粛清を、崩れた均衡には再生を。それが神としての仕事。
すでにハデスには描かれていた。神界コスモフォリアを破壊し、全てをゼロへ回帰させるストーリーが。
その障壁になるであろう熾天使が舞い戻って行った下界を見下ろし、舌なめずりしてみせる。

「私には世界がどうなろうと関係ない。興味がある・・・それだけのことだ。」

観測者であるルネアにとって、均衡が保たれているか、それだけが監視すべきもの。
そのほかは全て、彼にとっては未知であり、ただの研究対象であった。
平穏な時代の未知であろうと、破壊と破滅へと向かう系譜であろうと、未知であれば彼にとってはどんな事柄でも良いのだ。
ただ、現状維持だけを良しとする世界だけはあまりにも無味乾燥で、変化をもたらそうとするハデスとの唯一の接点。
もちろん、ハデスにとってはルネアの興味など知ったことではない。
自分の役に立つかどうか、それだけである。もはや神界に未練などなく、すべて破壊の対象なのだから。

「エルピス・・・いや、シャニーだったかァ?今は花を持たせておいてやんよ、今は、な。キヒヒヒッ。」

冥界へと飲み込まれもはや腕だけしかこの世界に残されていないマヴガフを残し、
二人の神はそれぞれの為すべきを果たすために歩き出す。行き先など必要ない、全て目の前から破壊していくのみ。
ただ今は、その準備が必要だ。それが終わるまでの僅かな時間を熾天使に預け、
その間に生み出した希望で、良い絶望を熾天使が献上してくれることを精々期待して。
終わらぬ絶望は、決して途切れることはない。この世界が、嘘で創り上げられた幻想郷が消え去らぬ限り。
終止符を打とうというのだ、誰がこの道を否定できる。
偽善を語る神界に語りかけるように挑発的な笑みでローブの中から空を睨み上げるハデスは
手にした黒の聖書を完成させるべく、ルケシオンを後にするのであった。

ChaosTrigger~天神復活と破滅の魔道書~
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